29歳の福岡市長候補・佐々木彩乃氏に「後ろがない」は本当か──ダボス・麻生・清華・村上財団・米日財団、4つ+1のネットワークが一人の経歴に重なる理由

こんにちは。金子吉友です。

「若い。無所属。後ろ盾はない」──11月1日告示の福岡市長選に出馬を表明した29歳の女性候補について、メディアが描く像はだいたいこの三つに集約されます。ところが、ご本人が公開している文章、九州大学の公式サイト、財団の公式投稿、そして各団体の役員名簿を一枚ずつ重ねていくと、まったく別の絵が浮かび上がってきました。ダボス会議、麻生グループ、清華大学、村上財団、そして米日財団。一人の29歳の経歴の上に、少なくとも4つ、正確には「4つ+1」の国際的・国内的なネットワークが重なっているのです。

2026年9月24日の配信では、9月17日にお届けした第1弾の続編として、佐々木彩乃(ささき・あやの)氏の背後の人脈を徹底的に追いました。第1弾はダボス(WEF)の若手コミュニティと麻生泰氏という「二本の線」でしたが、今回はご本人のnoteの一枚の写真から高島宗一郎・福岡市長との接点を確定させ、さらに村上財団の「政治家養成塾」と笹川良一氏が100億円を投じた米日財団まで線を延ばします。そして最後に、その米日財団の理事会から、もう一本、麻生グループへと戻ってくる線をお見せします。

先に線引きをしておきます。今日お話しする主要な事実の多くは、WEF、九州大学、Bai Xian Asia Institute、カタリスト九州、村上財団、米日財団が自分たちで公開している情報です。そこから先の「誰が誰を紹介したのか」は、私の見立てです。確認できることと、確認できていないことは、はっきり分けてお伝えします。

目次

佐々木彩乃氏とは何者か──第1弾のおさらいと「4つ+1」のネットワーク

佐々木彩乃氏の経歴に重なる六つの次世代リーダー育成プログラム
ブラックストーン会長スティーブン・シュワルツマンと清華大学シュワルツマン・スカラーズの要点

まず、ご本人の経歴を短く整理します。1997年生まれ、九州大学法学部卒。在学中に香港大学へ1年間留学し、卒業後は清華大学のシュワルツマン・スカラーズ(修士課程)へ。その後ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に2021年9月から2025年1月までの3年半在籍し、退職後の2025年4月に一般社団法人カタリスト九州を設立して代表理事に就任。そして2026年9月16日、福岡市長選への無所属での出馬の意向が報じられました。

ここまでは、非常に優秀な若者の経歴に見えます。第1弾でお伝えしたのは、その経歴のそれぞれの節目に、次のようなネットワークが顔を出すという話でした。

  • ① WEF・ダボス系:世界経済フォーラム(WEF)の若手コミュニティ「グローバル・シェイパーズ」福岡ハブで活動し、副代表を経て代表を務め、2025年1月には「Davos 50」に選ばれてダボス年次総会に出席
  • ② 麻生グループ系:カタリスト九州の「特別アドバイザー」に、麻生セメント会長で麻生太郎元首相の実弟である麻生泰(あそう・ゆたか)氏が就いている
  • ③ 中国・アジア教育系:ブラックストーン会長スティーブン・シュワルツマン氏の寄付で設立された清華大学の奨学制度に合格。香港大学への留学はBai Xian(百賢)アジア研究院の奨学金によるもの
  • ④ 日米系:笹川良一氏が創立に関わった米日財団(USJF)の日米リーダーシップ・プログラム(USJLP)の2025年クラス

そして今回、これに⑤ 村上財団の「パブリックリーダー塾」が加わります。だから「4つ+1」です。

①のグローバル・シェイパーズについても、前回の要点だけ繰り返しておきます。WEFが最初につくった若手コミュニティは1992年の「グローバル・リーダーズ・フォー・トゥモロー(GLT)」で、それが発展して2004年に「ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)」になり、さらに若い30歳未満を対象に2011年に「グローバル・シェイパーズ・コミュニティ(GSC)」ができました。過去の名簿をまとめた資料では、高市早苗首相も1994年のGLTのメンバーとして掲載されています(ここは第1弾でお伝えしたとおり、WEFの現在の公式ページには個人別の古い名簿が残っておらず、過去の公表資料を編纂したアーカイブでの確認です)。そしてWEF自身は、この若手プログラムの目的を「発掘し、支援し、つながりを促進する」と説明しています。つまり、次世代のグローバルなリーダーを発掘して育てるという趣旨を、WEF自身が隠していないのです。とりわけシェイパーズは、ダボスの年次総会に招かれる資格を得られる。そこに、佐々木氏は選ばれているということです。

ここで一つだけ、清華のプログラムについて補足しておきます。シュワルツマン・スカラーズは、九州大学の発表によれば世界から4,700人以上が応募し、最終合格者は145人という、極めて倍率の高い奨学制度です。設立者のシュワルツマン氏は、世界最大級の投資ファンドであるブラックストーンの会長兼CEOで、ダボス会議や外交問題評議会(CFR)といった米財界人脈の中枢にいる人物です。トランプ大統領の選挙戦には多額の献金をしていますが、同時に「中国は敵ではない」と一貫して主張し、デカップリング(米中の切り離し)には与しない立場で知られます。中国市場に深く根を張り、「これからは中国のことをよく知らなければならない」という発想で、清華大学の中にこの奨学制度をつくった人物です。

ご本人はこのプログラムについて、「授業はすべて英語で、コロナ禍だったのでオンラインだったから、中国には行っていない」という趣旨の説明をしています。ただ、実際のカリキュラムには「中国を知る」ことが柱として入っています。そして主催者自身が「中国は敵ではない」と主張する人物です。ですから、「中国とは関係がない」という言葉を、どれだけ丁寧に言われたとしても、言葉だけでは信用ができないというのが私の見方です。判断するのは弁明ではなく、そのプログラムを設計した人物の思想とカリキュラムです。

※参照:九州大学(Schwarzman Scholars合格の公式発表・Bai Xian奨学金による香港留学の記述) https://www.kyushu-u.ac.jp/en/topics/view/374/

福岡で交差する線──高島市長・GSC福岡ハブ・麻生泰氏・Bai Xian

高島宗一郎福岡市長と世界経済フォーラム(WEF)・グローバルシェイパーズ福岡ハブの関係

ここからが今回の本題です。ご本人がnoteに「なぜ私は福岡市長選に出馬するのか」という記事を公開しており、私も読ませていただきました。幼少期からの背景と、市長選に臨む動機が丁寧に書かれています。その中で、私が目を止めたのが一枚の写真でした。

noteの一枚の写真が示した、高島市長との「接点」

スクリーンに映し出されたスライドには、「GSC福岡ハブ 10周年記念 未来へのバトンパス」とあります。記事の本文には、これが何の集まりなのかは具体的に書かれていません。ところが、このスライドを見れば手がかりがあります。GSC=グローバル・シェイパーズ・コミュニティ、つまりダボス会議(WEF)の若手コミュニティの福岡ハブの10周年の集まりだったわけです。そしてその写真には、高島宗一郎・福岡市長が写り、その隣に佐々木氏本人も写っています。

さらに記事にはこう書かれています。大学4年のときに、高島市長が立ち上げた団体に加入した、と。ここでも団体名は伏せられています。しかし、グローバル・シェイパーズ福岡ハブは2014年に高島市長自身が創設したハブです。この二つを重ねれば、伏せられた団体名は埋まります。ご本人は、その団体は「若者の力で福岡の課題を解決する」というミッションを持っていたが、加入した当時はほぼ活動していない状態で、そこに力を注ぎ、3年ほどかけてコミュニティを復活させたと書いています。

高島市長との接点は、ここです。

では、高島市長という人物は、なぜダボスにつながっているのか。調べていくと、ダボス会議との関わりが非常に深い人物であることが分かります。

  • WEFの関連会議に参加したことをきっかけに、2014年にグローバル・シェイパーズ福岡ハブを創設(日本で4番目のハブ。当時30代半ばでシェイパーズの年齢上限を超えていたため、現在は「創設キュレーター/卒業生(Alumni)」として記録されている)
  • 翌2015年から中国で開かれる「サマーダボス」に参加し、2018年まで連続出席、2023年にも現地で登壇
  • 2017年、スイスのダボス年次総会に、日本の地方首長として史上初めて招待され、2018年も出席
  • 現在は年次総会には出席せず、WEFの都市分野の諮問委員・公式寄稿者として関わりを保っている

なぜWEFが一人の地方首長に注目したのか。高島市長は、福岡を国家戦略特区に選ばせ、長年にわたって規制緩和を推進してきた人物です。ダボスが注目したのはそこです。つまり、WEFの側が高島市長を見つけ、高島市長がその関連会議に出席し、地元に若手のハブをつくり、そのハブに一人の大学生が加入した。接点は偶然の出会いではなく、制度の上に用意されていたわけです。ご本人がハブに関わり始めた2018年ごろから数えれば、市長との付き合いは6〜7年。学生時代から市長のビジョンに触れ続けてきた関係ですから、その関係が深くなっていったであろうことは、想像に難くありません。

ご本人は、福岡を「アジアのスイス」のような都市に変えていくというビジョンを掲げています。これは高島市長の目標に深く共感していることを示しています。2014年にハブができ、佐々木氏が加入し(ご本人は大学2年のときと書いており、私の計算では2018年ごろです)、2021年に副代表(Vice-Curator)、同年に角悠馬氏がキュレーターとしてコロナ禍で下火になったハブを再建し、佐々木氏は同じ年に水俣学習プロジェクト「One Month for the Future」を立ち上げ、2022年7月にキュレーターが交代し、2023〜25年ごろにご本人がプロフィールで「福岡ハブ代表」と語るようになり(グロービス知見録に記載)、2025年1月にDavos 50に選ばれて年次総会に出席、同年4月にカタリスト九州を設立、今年9月に出馬表明──この流れです。

一つ、私が不思議に思っている点があります。なぜ彼女がDavos 50に選ばれたのか。ダボスの年次総会は自費ではとても参加できない費用がかかります。呼ばれて行ったわけです。大学を出て、留学を二つして、BCGで会社員として働いていた方が、実績があるわけでもなく、なぜ選ばれたのか。ここは何か特別な理由、着目された理由があったのかもしれませんが、現時点では分かりません。探っていかなければならない点として残しておきます。

※参照:佐々木彩乃氏 note「なぜ私は福岡市長選に出馬するのか」 https://note.com/sasaki_ayano/n/nea065eab9b4d

FDCの役員名簿──麻生泰氏・高島市長・九州大学総長が並ぶ

福岡地域戦略推進協議会・カタリスト九州・Bai Xianの役員名簿の重なり

もう一つ見ていかなければならないのが、麻生泰氏との線です。第1弾でお伝えしたとおり、麻生氏はカタリスト九州の特別アドバイザーです。今回は、その麻生氏が会長を務める福岡地域戦略推進協議会(FDC)の役員名簿を見ます。

  • 会長:麻生泰(麻生セメント代表取締役会長。麻生太郎元首相の実弟)
  • 副会長:高島宗一郎・福岡市長
  • 副会長:九州大学総長(現在は石橋達朗総長)
  • さらに役員には、麻生セメントの常務取締役・財務部長の名前もあり、麻生グループの企業がしっかりと食い込んでいることも触れておきます

ここに九州大学の総長が入っていることに注目してください。佐々木氏は優秀な方で、大学2年のときに九州大学の総長賞を受賞しています。つまり総長も彼女を知っている。高島市長も福岡ハブで彼女をよく知っている。その二人が、麻生氏と同じ協議会の役員席に座っている。

ここからは私の見立てです。高島市長が佐々木氏を麻生氏に紹介するなり、つないだのではないか。だからこそ、2025年に設立されたばかりの一般社団法人の特別アドバイザーを、麻生グループの会長が引き受けているのではないか。カタリスト九州の公式サイトには「特別アドバイザー 麻生泰」と明記され、二人が隣同士で写る写真も掲載されています。これは偶然ではない、というのが私の見方です。ただし、繰り返しますが、「紹介した」という点は公開資料では確認できていません。確認できるのは、役員名簿の重なりです。

※参照:福岡地域戦略推進協議会(FDC)役員一覧 https://www.fukuoka-dc.jpn.com/about/boardmembers/

※参照:一般社団法人カタリスト九州(特別アドバイザー・理事) https://catalystkyushu.org/about

Bai Xianで「一周して、またつながる」

Bai Xian Asia Institute・麻生泰氏・佐々木彩乃氏・カタリスト九州が一周してつながる図

ここが、ネット上でもまだほとんど触れられていない点です。九州大学の公式サイトで、佐々木氏がシュワルツマン・スカラーズに合格したときの記事の最後に、こんな一文があります。「佐々木はBai Xian奨学金で香港大学に1年留学した」。ご本人は「香港大学に交換留学した」と説明していますが、実はそのとき、Bai Xian Asia Institute(百賢アジア研究院)の奨学金を得ていたのです。時期は2018年度後期から2019年ごろです。

では、Bai Xianの公式サイトへ行くとどうなるか。麻生泰氏が出てきます。Bai Xianの公式サイトは2026年1月の新年会の投稿で、麻生氏をこう紹介しています。「Mr. Yutaka Aso, Advisory Council Member of BXAI and Board Director of BXAIJ」──つまり、本部の諮問委員であり、日本法人(Bai Xian Japan)の取締役です。しかも麻生氏は英語のインタビュー媒体(AGEIST、2021年)で、2014年の設立当初から関わっていたことをほのめかしています。

整理します。

  • 佐々木氏は、学生時代にBai Xian Scholarとして香港大学へ留学した(2018〜19年)
  • 麻生泰氏は、そのBai Xian Asia Instituteの諮問委員を務め、設立当初(2014年)から関与している
  • そして現在、佐々木氏が代表理事を務めるカタリスト九州で、麻生氏が特別アドバイザーになっている

つまり、2018年に佐々木氏がBai Xianの奨学金を得た時点で、麻生氏はすでにその組織の幹部だった。ということは、2018年の時点で二人はつながっている可能性がある。しかもその2018年は、彼女がグローバル・シェイパーズ福岡ハブに関わり始め、高島市長と出会ったころです。高島市長と麻生氏はFDCで一緒ですから、「Bai Xianの奨学金を受けたらいいのではないか」という形でつながっていった可能性はあります。高島市長からの推薦だったのかもしれません。ここは可能性の話です。

さらに、カタリスト九州の理事の顔ぶれを見ると、日本Bai Xianアジア研究院の副理事長と理事長を務める人物が理事に名を連ねています。彼女の一般社団法人は、すでにBai Xianネットワークの人間が幹部になっている組織なのです。Bai Xian、佐々木彩乃氏、麻生泰氏、カタリスト九州──一周して、またつながってくる。これは偶然とは言えないでしょう。

※参照:Bai Xian Asia Institute(Advisory Council) https://www.bxai.org/who-we-are/our-organization/leadership-and-board/advisory-council/

東京とワシントンの線──村上財団の「政治家養成塾」と、笹川良一氏の米日財団

米日財団(USJF)と日米リーダーシップ・プログラム(USJLP)の概要

福岡の線を追ったあとは、東京とワシントンから延びてくる線です。ここで「村上ファンド」と「米国の財団」が登場します。

村上財団「パブリックリーダー塾」──2023年9月、BCG2年目で政治家を志していた

村上財団パブリックリーダー塾と佐々木彩乃氏、講師陣と修了生

村上財団が、今月18日にXでこう投稿しています。「村上財団が主催するパブリックリーダー塾の修了生である佐々木彩乃さんが、正式に福岡市長選への出馬を表明しました」。つまり、佐々木氏はこの塾に参加していた。これはもう事実です。

彼女が参加したのは第2期で、講師陣は次のような顔ぶれでした。河野太郎氏、野田聖子氏、日本維新の会の藤田文武氏、辻元清美氏、そして村上ファンドの村上世彰氏。かなりの割合が国会議員です。過去の主な講師には、石丸伸二氏、自民党の塩崎彰久氏、国民民主党の玉木雄一郎氏、林芳正氏、三浦瑠麗氏らが名を連ねています。修了生には、衆議院議員の英利アルフィヤ氏(千葉5区)や渡辺さや氏などがいます。

ここで注目すべきは時期です。第2期は2023年9月に始まっています。毎月開催で、9月に合宿が1回、あとは土曜日のオンライン。では2023年9月、佐々木氏は何をしていたか。BCGに在籍していました。入社が2021年9月ですから、ちょうど2年たったころです。BCGといえば、ほんの一握りの優秀な人しか入れない超難関の外資系コンサルティング会社です。その2年目、バリバリ働いている最中に、この塾に参加している。

そして、この塾のページには趣旨がこう書かれています。「将来的に政治家を志す10代、20代、30代の女性」。

つまり、佐々木氏は2023年には政治家を目指していたということが分かります。講師がほとんど政治家なのは、そういうことです。コンサル時代に、政治家を志していた。ここは注目すべき点だと思います。おそらく学生時代から高島市長との付き合いがあり、政治家は町を、行政を動かすことができるという実感があったのでしょう。触発されていたはずです。

※参照:村上財団「パブリックリーダー塾 第2期」 https://murakamizaidan.jp/public-leaders-academy2th/

米日財団USJLP──笹川良一氏の100億円と、出馬表明時点で「2年目の会期中」

次に見なければならないのが、米日財団(United States-Japan Foundation、USJF)です。その中核事業である日米リーダーシップ・プログラム(USJLP)の2026年度の紹介ページを見ると、2年目のデリゲート(メンバー)の中に、しっかりと佐々木氏の名前があります。

米日財団とは何か。1980年に設立された、日米関係だけを目的とする米国法人の民間独立財団です。創立メンバーは、笹川良一氏とアメリカの外交官アンジェ・ビドル・デューク夫妻。当時は日米貿易摩擦が激しい時代で、「お互いをよく理解できていないのではないか」という問題意識から作られた交流団体でした。そして笹川氏は、ここに莫大な資金を流し込みます。1980年度から83年度にかけて毎年25億円、計100億円を投じたとされています。ルーツをたどれば、笹川家、笹川グループ、日本財団ということになります。笹川一族については9月21日の配信と9月23日の配信で詳しく扱いましたので、あわせてご覧ください。

USJLPの仕組みはこうです。日米から毎年各10人前後を選抜し、対象は28〜42歳。2年連続で、各1週間、缶詰の会議(アメリカで1回、日本で1回)に参加する。修了後は550人超のネットワーク(フェロー)に登録されます。そのフェローとして名前がよく出てくるのが、河野太郎氏、そしてここでもまた英利アルフィヤ氏、さらに塩崎彰久氏(塩崎恭久氏の二世)です。

佐々木氏は2025年からこのプログラムに入っており、今年が2年目です。つまり、市長選への出馬を表明した時点で、すでにこのプログラムの2年目の会期に入っていることになります。

2026年度の紹介ページには、1年目のメンバーとして意外な名前も出てきます。武見綾子氏──元厚労相・武見敬三氏の娘です。WHOのコンサルタントや世界銀行などで働いた華やかな経歴ですが、父親が誰であるかは知っておく必要があります。そして、私が驚いたのが、チームみらいの現幹事長・古川氏がここにいることです。チームみらいはここに来るんだな、と。なぜこのプログラムに参加しているのか、私は疑問を感じています。もう一人、村上財団の塾の修了生だった渡辺さや氏も、ここに出てきます。

つまり、村上財団の塾と米日財団のプログラムには、共通する名前が並んでいます。英利アルフィヤ氏、渡辺さや氏、そして佐々木彩乃氏。英利氏はUSJLPに2018〜19年に参加していますから、村上財団の塾でつながった英利氏から「こちらも受けておいたほうがいい」と情報が流れ、去年から参加した──そういうこともあるかもしれません。ここは私の仮定です。確認できるのは、両方のプログラムに同じ名前が並んでいるという事実だけです。

※参照:米日財団 USJLP 2026年度デリゲート一覧 https://us-jf.org/ja/usjlp/2026-delegates

理事会から、もう一本の線──国際文化会館・三極委員会・そして麻生巌氏

米日財団理事会から国際文化会館・三極委員会・麻生巌氏へつながる線

米日財団の理事会を見ると、香ばしい方々がいらっしゃいました。近藤正晃ジェームス氏です。竹中平蔵氏の相関図をつくっていたときにも度々出てきた人物で、Twitter Japanの代表や世界銀行などを歴任しています。この方が米日財団の理事を務めている。

そして近藤氏は、公益財団法人・国際文化会館の理事長でもあります。この国際文化会館は、設立にジョン・D・ロックフェラー3世が関わった組織で、昨年から、三極委員会のアジア太平洋グループの事務局を務めています。三極委員会とは、アメリカ・ヨーロッパ・アジアの政治家、資本家、企業経営者といったエリートが集まるグローバリストの会議体です。

では、国際文化会館の理事のメンバーを見るとどうなるか。麻生巌氏──麻生グループの人間が、ここに出てきます。

だから、ループするんです。米日財団の理事会から国際文化会館へ、国際文化会館から三極委員会へ、そして理事名簿から麻生グループへ。福岡で麻生泰氏につながった線が、ワシントンと東京を回って、また麻生グループへ戻ってくる。

※参照:米日財団 理事・スタッフ一覧 https://us-jf.org/ja/board-and-staff

まとめ──なぜ「後ろがない」は成り立たないのか

佐々木彩乃氏の人脈相関図(WEF・麻生・中国アジア教育・日米の4ネットワーク)

ここで整理をします。佐々木彩乃氏は、

  • 清華大学のシュワルツマン・スカラーズで修士課程を修了し
  • Bai Xianの奨学金で香港大学に留学し
  • 米日財団のリーダーシップ・プログラムを現在も受けており
  • 村上財団のパブリックリーダー塾を修了し
  • 学生時代からダボスのグローバル・シェイパーズ福岡ハブに関わって代表を務め、Davos 50に選ばれてダボス年次総会に招待された

──そういう方が、29歳で福岡市長選に立候補している、ということです。

ここで、公平に申し上げておきます。noteの文章だけを読めば、福岡をこよなく愛している人だと感じます。世界を経験して、グローバルは実は福岡にあるのだと気づいた、と書いています。その気持ち自体を疑う根拠はありません。そして、麻生泰氏が今回の出馬を支援している、あるいは出馬そのものに関与したという事実は、現時点の公開資料からは確認できていません。ですから、そこまでは言いません。

しかし、残る事実があります。ご本人の公約サイトを見ると、5つほどの項目が1〜2行ずつ書かれているだけで、具体的なことはほとんど書かれていません。政治家としての経験は全くない。国際的なリーダーシップ・プログラムを次々と受け、あるいは受けている途中の方が、その若さを武器に票を取りにいく。そして高島市長は続投しないと表明しています。つまり佐々木氏は、その後継として出てくるのです。高島市長は自民党と公明党の支援を得て当選してきた市長です。「無所属」と言っても、基盤は自公です。その後継者として出てくる以上、強力な対抗馬が現れない限り、彼女が地盤を引き継いで勝つ可能性は十分にあります。

もう一つ、私が注目しているのは、これらのプログラムに共通する「機能」です。運営主体も目的も違います。全部が一つの組織で裏で一体運営されている、という話ではありません。しかし、優秀な若者を選抜する。奨学金や研修の機会を与える。世界中の同世代と出会わせる。すでに活躍している政治家や経営者との接点をつくる──この四つの機能は共通しています。そういう機能を持つネットワークが世界にいくつもあり、一人の若者がそのすべてを通過してきた。私たちが今回見ているのは、その結果です。

表層ではなく、構造を見てください。メディアが描くのは「若くて後ろ盾のない無所属候補」です。しかしその奥には、村上財団があり、麻生グループがあり、米国の財団のネットワークがあり、高島市長が持つ福岡の経済界の広い人脈があります。「後ろがない」という言葉は、成り立ちません。むしろ後ろは、たくさんある。だから佐々木氏は、今回の市長選の有力候補なのです。

そして、もし彼女が市長になれば何が起きるか。これは私の見立てです。米日財団のプログラムに参加する方々はグローバル志向ですから、規制緩和はどんどん進むでしょう。福岡が長く推進してきたワンヘルスの政策も引き継がれるでしょう。福岡は中国の進出が非常に激しい地域でもあり、「福岡をどんどん世界に」と言う市長のもとでは、中国も含めた移民がさらに入ってくる可能性があります。副首都構想には6つの自治体が名乗りを上げていますが、福岡市も絡んでくるでしょう。そして高島市長は、九州に道州制を導入することに賛成している方です。道州制というところで、日本維新の会、橋下徹氏、大前研一氏、竹中平蔵氏といった系譜とつながってきます。佐々木氏は、これらの政策と非常に親和性の高い人物だと思います。もしかしたら、自民や公明が裏で動いて彼女を市長にする計画があるのかもしれません。ここは可能性の話として置いておきます。

これは遠い国の話ではありません。福岡の話です。そして私たちは政治家を見るとき、その人が選挙に出た瞬間から見始めます。でも、その人の人的ネットワークは、選挙に出る10年前から形成されている。リーダーは、リーダーになった日から作られるわけではない。では、そのネットワークを誰が作っているのか。真の独立とは、真の主権とは、何か。私は佐々木氏の動向を、継続してウォッチしていきます。

ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。

今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 佐々木彩乃氏と高島宗一郎・福岡市長の接点は確認できるのですか? はい。ご本人のnote記事に「大学時代に高島市長が立ち上げた団体に加入した」とあり、掲載写真のスライドに「GSC福岡ハブ10周年」と記されています。グローバル・シェイパーズ福岡ハブは2014年に高島市長が創設したハブで、写真には高島市長と佐々木氏が並んで写っています。

Q2. 麻生泰氏は佐々木氏の出馬を支援しているのですか? 公開資料から確認できるのは、麻生氏がカタリスト九州の特別アドバイザーであること、福岡地域戦略推進協議会(FDC)の会長として高島市長・九州大学総長と役員席を共にしていること、Bai Xian Asia Instituteの諮問委員であることです。出馬への支援・関与は現時点では確認できておらず、「高島市長が紹介した」という点は金子の見立てです。

Q3. 村上財団の「パブリックリーダー塾」とは何ですか? 村上世彰氏の村上財団が主催する、「将来的に政治家を志す10代〜30代の女性」を対象とした塾です。佐々木氏は2023年9月開始の第2期修了生で、当時はBCG在籍2年目でした。講師は河野太郎氏・野田聖子氏・藤田文武氏・辻元清美氏ら国会議員が中心で、修了生に英利アルフィヤ衆院議員がいます。

Q4. 米日財団(USJF)とUSJLPとはどのような組織ですか? 米日財団は1980年に笹川良一氏と米外交官デューク夫妻が創立した、日米関係だけを目的とする米国法人の財団で、笹川氏が1980〜83年度に計100億円を投じたとされます。USJLPはその中核事業で、日米から毎年各10人前後(28〜42歳)を選び、2年連続・各1週間の会議に参加させ、修了後は550人超のフェロー・ネットワークに登録されます。佐々木氏は2025年クラスで、2026年が2年目です。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

反DS歴史研究者、調査ジャーナリスト。YouTube『あつまれニュースの森』(登録者10万人)にて反グローバリズムの視点で世界情勢・国内政治を解説。

本業だったコンサルタントから徐々に歴史研究にシフトしていく。日々リサーチする中、メディアや歴史が嘘だらけであり、この世界が一部の権力機構によって支配されてきたことに強烈な違和感と憤りを覚えるようになる。

グローバリズムの根源と実態を徹底的に研究。その歴史を旧約聖書まで遡り、現在のいわゆるディープステートのルーツがユダヤ系とアングロサクソン系の2系統にあることを突き止める。

2021年、YouTubeを開始し、グローバリストのルーツを徹底解剖するオンラインサービス『金子ゼミ』を立ち上げる。

グローバリストにより”修正”された歴史を”修復”する「歴史復元主義」を根本理念とする。

情報発信者としての信条は「左も右もない反グローバリズム・国益第一主義」「不偏不党」。

目次