こんにちは。金子吉友です。
福岡市長選に、29歳の女性が立候補する意向を表明しました。
佐々木彩乃さん。
この方の経歴を調べていたら、ちょっと気になるものが出てきました。
九州大学、香港への留学、清華大学、そしてボストン・コンサルティング・グループ。ここまでは、非常に優秀な若者の経歴に見えます。
ところが、その先を追っていくと――
ある国際的なネットワークが、何度も顔を出してくるんです。
しかも調べてみると、これは佐々木さん一人の話ではありませんでした。
日本の政治家にもいる。海外の政治家にもいる。世界的な企業経営者にもいる。
そして彼らの経歴をさらに遡っていくと、まだ何者でもなかった若い時代に、ある共通点が見えてくる。
今日は、29歳の市長候補の経歴を入口に、その背後にある「次世代リーダー」をめぐる国際的な人材ネットワークを追ってみたいと思います。
先に申し上げておきます。今日ご紹介する事実の大半は、WEF(世界経済フォーラム)やBai Xian、九州大学、そして当事者の団体自身が公開している情報です。隠されているものを暴くという話ではありません。

29歳の福岡市長候補・佐々木彩乃氏
まず、事実関係から整理します。
- 2026年9月16日、福岡市長選挙に、一般社団法人の代表理事を務める佐々木彩乃さんが、無所属で立候補する意向を固めたことが報じられました
- 福岡市長選は11月1日告示、11月15日投開票です
- 女性の出馬意向は、福岡市長選では初めてとされています
ここで、一点だけ訂正しておきます。
配信では「現職の高島市長も出馬する」と申し上げましたが、高島宗一郎市長は2026年8月23日に、5選不出馬を表明しています。4期16年での退任です。「同じ人間が長く続けることには、慎重でなければならない」「次に挑もうとする方が、手を挙げやすい道をつくる」というのが、その理由でした。
そして佐々木さんは、「高島市政の継承」を掲げています。
経歴を追う
- 1997年、長崎県島原市生まれ
- 九州大学法学部を卒業
- 香港大学に1年間留学
- 日米学生会議に参加
- 外務省のJENESYS訪韓団、One Young Worldなどにも参加
- 大学卒業後、清華大学のSchwarzman Scholars(シュワルツマン・スカラーズ)へ
- その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社。戦略コンサルタントとして約3年半
学生時代から、かなり国際的な活動をしています。
※参照:[読売新聞オンライン] https://news.yahoo.co.jp/articles/74c0d8d6eddffcf0718dadd79ce6d342c0625cbc

Schwarzman Scholarsとは何か
まず、清華大学のSchwarzman Scholarsから見ていきます。
これは、Blackstone(ブラックストーン)創業者 Stephen Schwarzman(スティーブン・シュワルツマン)氏の寄付によって設立された、将来のリーダー育成を掲げる全額奨学金付きの修士プログラムです。
九州大学によると――
- 佐々木さんが選ばれた年は、世界から4,700人以上が応募
- 最終合格者は145人
倍率にして、およそ32倍です。
ここまででも、相当華やかな経歴です。
でも、私が気になったのはここからです。
佐々木さんのプロフィールに、こんな名前が出てきます。
Global Shapers Community(グローバル・シェイパーズ・コミュニティ)。
佐々木さんはこの福岡Hubで活動し、2025年まで代表(Curator)を務めていました。
そして2025年には「Davos 50」――世界を変える若者50人の一人として選ばれ、World Economic Forum(世界経済フォーラム)の年次総会、いわゆるダボス会議に参加しています。
ここで私は思ったんです。
29歳の市長候補がダボス会議に行った。それ自体よりも、そもそもなぜ20代の若者がダボスにつながっているのか。
補足しておくと、ダボス会議は通常、参加費だけで数百万円規模、滞在するホテルも1泊数十万円という世界です。自費で気軽に行ける場所ではありません。もっとも、招待枠での参加であれば参加費が免除されている可能性は高く、そこは断定しません。

Global Shapers Communityとは何か
Global Shapers Communityを作ったのは、World Economic Forum、WEFです。
WEF自身の資料によれば――
- 2011年に設立
- 現在、1万人を超える若者が、500を超える都市Hubで活動
- 基本的に若い世代、特に30歳未満の人材を中心に構成されている
設立の動機も、WEF自身が説明しています。「世界人口の半分が27歳未満である」ことを踏まえ、20代の新興リーダーを自分たちの活動に組み込むためだ、と。
WEFがGlobal Shapersを紹介した資料には、Shapersについて「potential、achievements、drive」――つまり将来性、実績、社会に貢献しようとする意欲を持った若者として説明されています。
これだけなら、世界規模の青年交流団体のようにも見えます。

しかし、若者を「意思決定の場」につなぐ仕組みでもある
ところが、現在のWEFの説明を読むと、もう少し踏み込んでいるんです。
WEFはGlobal Shapersについて、若者を単に会議へ招待するだけではなく、意思決定の場に参加させることを重視しています。
- 2025年のWEFの記事では、ダボス年次総会に30歳未満のリーダーの席を確保し、Global Shapersが世界のリーダーとともにセッションを設計したり、WEFの取り組みに参加したりすると説明
- 2023年の活動報告では、197人のGlobal Shapersが、WEFの会議や国連総会、COPなどを含む意思決定の場に参加したとされています
つまり、これは単なる交流会ではない。
若者を世界規模でつなぎ、国際的な意思決定の場へ接続する仕組みが、制度として存在しているわけです。
ここで私は、ひとつの疑問を持ちました。
なぜ、そこまで若いうちからなのか。
なぜ20代の段階で世界中から人材を集め、国際会議へ参加させ、政治家、経営者、研究者、活動家などと接点を作るのか。
もちろんWEF側の説明は明確です。
- 若者の声が政策決定の場で十分に反映されていないから、その参加を増やす
- 若い世代のアイデアを社会課題の解決につなげる
これはWEFが公に掲げている目的です。
ただ、制度の構造だけを見れば、もう一つの側面も見えてきます。
将来有望な人材と、彼らが大きな権限を持つずっと前から関係を築くことができる。
私はここに注目しています。

もう一つの次世代リーダー組織──Young Global Leaders
そして調べていくと、WEFにはGlobal Shapersとは別に、さらに有名な次世代リーダーのコミュニティがあります。
Young Global Leaders、YGLです。
- WEFは2004年、40歳未満の優れたリーダーを世界中から集めるForum of Young Global Leadersを設立
- 2026年のWEFの説明では、毎年新しいYoung Global Leadersを選び、3年間の構造化されたリーダーシップ・プログラムを提供するとしています
- Executive Education、没入型の研修、世界規模の会合など
- 現在のコミュニティは1,400人を超え、120か国以上に広がっています

WEF自身の言葉──「発掘し、支援し、つながりを促進する」
ここで非常に興味深いのが、WEF自身の表現です。
YGLの20周年の記事で、Nicole Schwab(ニコル・シュワブ)氏は、過去19年間の活動についてこう説明しています。
「identify, support and facilitate connections between young leaders」
日本語にすれば――
若いリーダーを「発掘する」。「支援する」。そして彼らの「つながりを促進する」。
これ、まさに制度の本質をかなり率直に表していると思うんです。
私は今回、少し刺激的な言葉を使えば「青田刈り」という表現が頭に浮かびました。
※ただし、これはWEF自身が使っている言葉ではありません。私の見方です。
WEF側からすれば、将来性のある若者を早期に発掘して育成し、国境を越えたネットワークを作る「次世代リーダー育成」です。
その仕組みをどう評価するかは、皆さんそれぞれ考えていただきたい。
ただ、仕組みそのものは隠されていません。むしろWEF自身が公開しています。

この仕組みは、30年以上前からある
そして、Young Global Leadersにも前身があります。
1992年にWEFが設立したGlobal Leaders for Tomorrow、GLTです。
- 当時は43歳未満で、すでにビジネス、政治、学術、芸術、メディアなどで実績を持つ若手を集めたコミュニティ
- その後、2004年に現在のYoung Global Leadersへ発展します
つまりWEFは、少なくとも30年以上にわたり、若い世代の有力人材を選び、国際的なネットワークへつなぐ仕組みを運営してきたことになります。
「最近始まった話」ではないんです。

日本にも名前がある──ただし出典の留保が必要です
ここで日本を見ると、さらに興味深い名前が出てきます。
高市早苗首相です。
過去のGlobal Leaders for Tomorrowの名簿をまとめた資料では、高市氏は1994年のGLTとして掲載されています。
ただし、ここは出典を正確に申し上げます。
- 今回確認できた現在のWEF公式ページには、個人別の古い名簿が残っていません
- 確認できたのは、過去のWEF公表資料をもとに編纂されたアーカイブ資料です
- ですから、ここはその出典を明示した上で紹介します
さらに一点、注意が必要です。ネット上では「高市氏はダボス会議のYoung Global Leaderだ」という言い方も見られますが、GLT(1992〜2003年)とYGL(2004年〜)は別のプログラムです。この二つを混同した主張には疑義が呈されています。GLTとYGLは区別して語るべきです。
重要なのは、個人の評価ではありません
私が言いたいのは、高市氏個人をどう評価するかではありません。
このネットワークには、特定の思想や一つの政党だけが入っているわけではない、ということです。
実際、日本のGlobal Shapersを調べていくと、さまざまな分野の方が出てきます。
- アーティストのスプツニ子!氏(東京藝術大学准教授)は、2018年にGlobal Shapersに選出
- メディアアーティストの落合陽一氏(筑波大学准教授)もGlobal Shapersに選ばれ、2022年にはYoung Global Leadersにも選出されています
政治家、企業経営者、研究者、アーティスト、社会活動家。立場も思想もまったく異なる人々が参加しています。
だから「WEFのメンバーだから、その人はこういう思想だ」と単純化するのも違う。
私が見たいのは、誰が、どの段階で、どんなネットワークに接続されているのかという構造です。

WEFより前に、別のネットワークがあった──Bai Xian
ここで佐々木さんに戻ります。
佐々木さんの経歴をもう一度調べていると、実はWEFより前に、別の「次世代リーダー育成」のネットワークに参加していたことが分かります。
Bai Xian(バイ・シェン)Asia Institute、百賢亞洲研究院です。
- 佐々木さんは2018年から2019年、Bai Xian Exchange Scholarとして香港大学へ留学しています
- Bai Xianが運営しているのが、Asian Future Leaders Scholarship Program(AFLSP)
名前の通り「アジアの未来のリーダー」を育成する奨学プログラムです。
規模も具体的です。
- 2014年、Ronald K.Y. Chao氏によって設立
- 毎年最大100名に奨学金を給付
- 東アジア5都市の8大学と提携
- 給付額は1人あたり年間最大25,000米ドル、在学期間を通じて最大50,000米ドル
そして佐々木さんは単に奨学金をもらって留学しただけではありません。
Bai Xianの公式サイトには、2020年、卒業生がプロジェクトや事業をどう立ち上げたかを議論するイベントで、佐々木さんがモデレーターを務めた記録も残っています。
つまり、卒業後もコミュニティとの接点が続いている。

一人のキャリアに重なる、六つのプログラム
さらに、その後は清華大学のSchwarzman Scholars。これも九州大学自身が「未来のリーダー育成」のためのプログラムと説明しています。
並べてみましょう。
- ① Bai Xian Asia Institute(香港大学留学)
- ② Schwarzman Scholars(清華大学)
- ③ Global Shapers Community(福岡Hub代表)
- ④ Davos 50(ダボス会議参加)
- ⑤ US-Japan Leadership Program
- ⑥ Salzburg GlobalのAsia Policy Leadership Forum
こうして並べてみると、一人の若者のキャリアの中に、複数の国際的なリーダー育成・交流プログラムが重なっていることが分かります。
もちろん、これらが全部一つの組織で、裏で一体運営されているという話ではありません。運営主体も目的も違います。
しかし、共通した機能があります。
- 優秀な若者を選抜する
- 奨学金や研修の機会を与える
- 世界中の同世代と出会わせる
- すでに活躍している政治家や経営者などとの接点を作る
そういう共通した機能を持つネットワークが、世界にはいくつも存在するわけです。

そして、麻生泰氏が登場する
ここからが、今回調べていて私が一番「おや?」と思ったところです。
2025年4月3日、佐々木さんはBCGを退職し、一般社団法人Catalyst Kyushu(カタリスト九州)を設立します。代表理事は佐々木彩乃さん。
ミッションは「2050年までに福岡からアジアに新しい風を創り出す」です。
では、そのCatalyst Kyushuの公式サイトを見てみます。
特別アドバイザーとして、ある人物の名前が掲載されています。
麻生泰さん。
- 株式会社麻生 代表取締役会長
- 麻生セメント株式会社 代表取締役会長
- 福岡地域戦略推進協議会(FDC)会長
- 九州経済連合会 理事・顧問
- 慶應義塾連合三田會 11代目会長、福岡雙葉学園理事長、麻生塾塾長
- 1946年生まれ、福岡県飯塚市出身。慶應義塾大学法学部卒、英オックスフォード大学New College卒
- そして、麻生太郎元首相の実弟です
これはSNSの噂ではありません。Catalyst Kyushuの公式サイトに「特別アドバイザー 麻生 泰」と掲載されています。
さらに2026年8月7日、Catalyst Kyushuが主催した「ASIA NEXT FORUM 2026」。
- このフォーラムのFounding Partnerが、麻生泰さんが会長を務めるFDC
- そして麻生さん自身も、開会のトークに登壇しています
- テーマは「Shape the Voice of Asia – Founding the Next Asia」
※参照:[福岡地域戦略推進協議会(FDC)] https://www.fukuoka-dc.jpn.com/pressrelease/28603/

一周して、またつながる
ただし、ここは線を引いておきます。
麻生泰さんが今回の福岡市長選への出馬を支援している、あるいは出馬そのものに関与したという事実は、現時点の公開資料から私は確認できていません。
だから、そこまで言うつもりはありません。
確認できるのは、この二つです。
- 佐々木さんが代表を務めるCatalyst Kyushuの特別アドバイザーに麻生泰さんが就いていること
- そして両者が福岡・九州での活動を通じて組織的な接点を持っていること
ところが。ここからもう一本、線がつながります。
さっき出てきたBai Xianです。
麻生泰さんをBai Xian Asia Instituteの公式サイトで調べてみると――
現在、Advisory Council Member(諮問委員)として、正式に名前が載っています。「Mr. Yutaka ASO — Chairman, Aso Cement Company Limited」として掲載されています。
Bai Xian自身によれば、このAdvisory Councilは、組織の戦略的方向性を定め、Asian Future Leaders Scholarship Programの発展を支える役割を担っています。
つまり整理すると、こうです。
- 佐々木彩乃さんは、学生時代にBai Xian Scholarとして香港大学へ留学していた
- 麻生泰さんは、そのBai Xian Asia Instituteの諮問委員を務めている
- そして現在、佐々木さんが代表理事を務めるCatalyst Kyushuで、麻生さんが特別アドバイザーになっている
Bai Xian。佐々木彩乃さん。麻生泰さん。Catalyst Kyushu。
一周して、またつながってくるんです。
さらに、接点は麻生氏一人ではありませんでした
今回、Catalyst Kyushuの公式サイトを実際に確認していて、配信では触れていなかった事実が出てきました。
役員の顔ぶれです。
- 理事 田中達郎氏 ―― 慶應義塾大学法学部卒。2011年に三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長、2012年にシティグループ・ジャパン・ホールディングス取締役会長、2023年にアポロ・マネジメント・ジャパン会長。そして「日本百賢アジア研究院 理事長」
- 理事 堀越秀一氏 ―― 一橋大学経済学部卒。東京銀行入行、三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司の董事長、東アジア本部長などを歴任。そして「一般社団法人 日本百賢アジア研究院 副理事長」
つまりCatalyst Kyushuの理事のうち二人が、Bai Xianの日本法人にあたる日本百賢アジア研究院の理事長と副理事長なのです。
しかも田中達郎氏は、Bai Xian Asia InstituteのAdvisory Councilにも「Mr. Tatsuo TANAKA — Japan Chair, Apollo Management Japan Limited」として名前が載っています。
Bai Xianとの接点は、麻生泰さん一人ではなかった。
なお、Bai XianのAdvisory Councilの顔ぶれ自体も、なかなかのものです。董建華氏(第13期中国人民政治協商会議副主席)、柳井正氏(ファーストリテイリング会長兼社長)、Mark Schwartz氏(ゴールドマン・サックス・グループ シニアディレクター)、喬宗淮氏(元中国外交部副部長)、石広生氏(元中国対外貿易経済合作部長)、項懐誠氏(元中国財政部長)、徐匡迪氏(第10期中国人民政治協商会議副主席)、そして日本の元駐中国・駐インド大使や元駐ウクライナ大使など。
日中の政財官のかなり上層が、一つの奨学プログラムの諮問委員会に並んでいます。

確認できること/確認できていないこと
ここでも、注意が必要です。
麻生さんがBai Xian時代から佐々木さん個人を選抜したとか、指導したとか、政治家になるよう育てたとか、そういう事実を示す資料は確認できていません。
そこは絶対に混同してはいけません。
私が確認できたのは、次のことだけです。
- 公開情報だけでも、同じ人材育成ネットワークの中に両者の名前がある
- その後、福岡で同じ団体の代表理事と特別アドバイザーとして再び接点を持っている
- さらに同じ団体の理事二人が、そのネットワークの日本法人の理事長・副理事長である
ここは事実として非常に興味深いと思います。ですが、それ以上のことは言いません。
因果関係と、相関関係。ここを混ぜた瞬間に、議論は信用を失います。

なぜ、そこまで若いうちからなのか
ここまで調べて、私は今回のテーマを少し修正しました。
最初は「ダボスは若い人材を早い段階から発掘している」という話だと思っていたんです。
もちろん、それは重要です。Global Shapersという30歳未満を中心とした世界規模のコミュニティがある。その中からダボス年次総会へ参加する若者もいる。さらに40歳未満にはYoung Global Leadersがある。
しかし佐々木さんの経歴を追ってみると、それだけではない。
Bai Xian。Schwarzman Scholars。Global Shapers。Davos。US-Japan Leadership Program。Salzburg Global。それぞれ別の団体です。
しかし共通しているのは、若いうちに人材を見つけ、教育や奨学金、国際会議、人的交流を通じて、同世代やすでに社会の中枢にいる人々とのネットワークを作るという点です。
考えてみれば、これはものすごく合理的なんです。
50歳になって大臣や大企業のCEOになった人物と初めて関係を作るより、20代、30代のまだ若い時代から一緒に学び、議論し、国境を越えて交流していた方が、はるかに深い人的関係を築くことができます。
だから私は今回、「青田刈り」という言葉を使いました。
ただ、繰り返しますが、これは秘密の仕組みではありません。
WEFもBai XianもSchwarzman Scholarsも、自分たちが次世代リーダーを発掘し、育成し、ネットワークを作ることを公に掲げています。
問題は、それを私たちがどこまで知っているかです。

私たちは、いつから政治家を見ているのか
私たちは政治家を見るとき、その人が選挙に出た瞬間から見始めます。
でも、その人の人的ネットワークは、選挙に出る10年前、20年前から形成されているかもしれない。
どこまで見るべきか。
- どこで学んだのか
- 誰と出会ったのか
- どんな奨学プログラムに選ばれたのか
- どんな国際会議に参加したのか
- 誰がメンターだったのか
- どんな同窓ネットワークに入っているのか
そこまで見て初めて、その人物が歩いてきた道の全体像が見えてくる。
これは、誰かを疑うための作業ではありません。その人がどんな世界観の中で育ってきたのかを知る、ごく普通の有権者の仕事です。

これは「陰謀」なのか
こういう話をすると、すぐに「陰謀論だ」という話になりがちです。
でも今回、私が紹介している主要な事実の多くは、WEF、Bai Xian、九州大学、そして当事者の団体などが自分たちで公開している情報です。
- Global Shapersが若者を意思決定の場へ参加させていることも、WEF自身が書いている
- Young Global Leadersについて「若いリーダーを発掘し、支援し、つながりを促進する」と説明しているのもWEF自身です
- Bai XianがAsian Future Leaders Scholarship Programを運営していることも公開されています
- 麻生泰さんがBai XianのAdvisory Council Memberであることも、Bai Xian自身が掲載しています
- 佐々木さんがBai Xian Exchange Scholarだったことも公式記録に残っています
- そしてCatalyst Kyushuが、麻生泰さんを特別アドバイザーとして掲載している
ここまでは、すべて公開情報です。

ここから先は、評価が分かれる
その先をどう評価するかは、別問題です。
- 「世界規模で優秀な若者を育てる素晴らしい仕組みだ」と評価する人もいるでしょう
- 一方で、「国境を越えた民間ネットワークが、将来の政治家や政策決定者と非常に早い段階から関係を築くことについて、もっと透明性や検証が必要ではないか」と考える人もいるでしょう
私は、この二つを混ぜないことが重要だと思っています。
確認できる事実は事実として示す。そこから先は、読者の皆さん自身に考えてもらう。
そして、もう一つ申し上げておきたいことがあります。
佐々木さんご本人が、何か悪いことをしたという話では、まったくありません。優秀な若者が、与えられた機会を最大限に活かしてきた。それは、褒められこそすれ、責められる筋合いのものではありません。
問われているのは、個人ではなく仕組みのほうです。

まとめ──リーダーは、なった日から作られるわけではない
今回、入口は一人の29歳の市長候補でした。
でも調べていくと、見えてきたのは一人の経歴ではありませんでした。
Bai Xian。Schwarzman Scholars。Global Shapers。Davos。Young Global Leaders。
世界には、まだ権力を持つ前の若者を発掘し、教育し、世界規模の人的ネットワークにつなげる仕組みがあります。
しかもそれは、少なくとも1992年のGlobal Leaders for Tomorrowから数えて、30年以上にわたって運営されてきた。
そして、そのネットワークを通った人たちが、その後どこへ進んでいくのか。
政治なのか。企業なのか。国際機関なのか。社会運動なのか。
ここを見ることは、これからの世界を考えるうえで非常に重要だと思います。
メディアは、今回の出馬を「29歳、女性初」という見出しで報じます。
それは事実です。ですが、その奥にある構造は報じられません。
表層ではなく、構造を見てください。
私が今回一番考えさせられたのは、これです。
「リーダーは、リーダーになった日から作られるわけではない。」
そのずっと前から、人と出会い、学び、ネットワークを作っている。
では、そのネットワークを誰が作っているのか。
そして日本は、自国の次世代リーダーを、自分たちの手で育てる仕組みを持っているのでしょうか。
真の独立とは、真の主権とは、何か。
それは、自国の将来を担う人材を、誰に育ててもらうのかを、自分たちで選べることではないでしょうか。
これからも追っていきたいと思います。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 佐々木彩乃氏に何か問題があるということですか?
まったくそういう話ではありません。佐々木さんは九州大学法学部を卒業し、4,700人以上が応募して145人しか合格しない清華大学のSchwarzman Scholarsに選ばれ、BCGで戦略コンサルタントを務めた、極めて優秀な方です。与えられた機会を最大限に活かしてこられた結果であり、責められる筋合いのものではありません。今回の記事が扱っているのは個人ではなく、「若いうちに将来のリーダー候補を発掘し、国際的なネットワークにつなぐ仕組みが世界に複数存在する」という構造のほうです。
Q2. 麻生泰氏が佐々木氏の出馬を支援しているのですか?
現時点の公開資料からは、確認できていません。麻生泰氏が佐々木氏の出馬を支援している、あるいは出馬に関与したという事実を示す資料は見つかっていません。確認できるのは、①Catalyst Kyushuの公式サイトに麻生氏が特別アドバイザーとして掲載されていること、②麻生氏がBai Xian Asia InstituteのAdvisory Council Memberであること、③佐々木氏が学生時代にBai Xian Exchange Scholarだったこと――この三つです。相関関係と因果関係を混同してはいけません。
Q3. 高市早苗首相はダボス会議のYoung Global Leaderなのですか?
正確には違います。高市氏について確認できるのは、1992年設立のGlobal Leaders for Tomorrow(GLT)の1994年名簿に掲載されているという記録で、しかもそれは現在のWEF公式ページではなく、過去のWEF公表資料をもとに編纂されたアーカイブ資料での確認です。GLT(1992〜2003年)とYoung Global Leaders(2004年〜)は別のプログラムであり、この二つを混同した「高市氏はYGLだ」という主張には疑義が呈されています。出典と時期を区別して語るべきです。
Q4. これは陰謀論ではないのですか?
記事で挙げた主要な事実は、ほぼすべてWEF、Bai Xian、九州大学、Catalyst Kyushu、FDCなどが自分たちで公開している情報です。隠されたものを暴いたわけではありません。問題は、それが隠されているかどうかではなく、私たちがどこまで知っているかです。そのうえで、この仕組みを「優秀な若者を育てる素晴らしい取り組み」と評価するか、「透明性の検証がもっと必要だ」と考えるかは、読む人それぞれの判断です。**確認できる事実と、そこから先の評価を混ぜないことが重要だと考えています。

