なぜ移民と脱炭素は同じ形をしているのか——国連を動かした二組のコンビと、日本側の受け皿になった人たち【IOM・ローマクラブ・三極委員会】

移民も脱炭素も、設計者は同じ顔ぶれ

こんにちは。金子吉友です。

移民を増やせと言う国際機関と、脱炭素を進めろと言う国際機関。まったく別の話に見えますよね。

ところが、調べていくと設計図がそっくりなのです。

どちらも国連という土台を使い、どちらも「表に立つ人」と「後ろで支える人」という二人組がいて、どちらも先進国の側に負担を押しつける形になっている。

移民のほうは、ピーター・サザーランドとジョージ・ソロス。 脱炭素のほうは、モーリス・ストロングとデイヴィッド・ロックフェラー。

並べてみると、同じ形が浮かび上がります。

移民と脱炭素は、同じ形をしている
移民と脱炭素は、同じ形をしている

今回は、この二つのスキームを並べたうえで、では日本側で誰がそれを引き受けているのかというところまで下ろします。名前が出てくるのは、JICA、三極委員会、そして環境大臣に初入閣したあの人物です。

目次

移民はなぜ日本に向かってくるのか——二つの力

日本がなぜこれほど外国人を受け入れようとするのか。

力は二つの方向から来ています。内側からの要望と、外側からの圧力です。

移民は、二つの力で日本に向かってくる
移民は、二つの力で日本に向かってくる

内側からの力——経済界のニーズ

まず内側から見ます。

商工会議所、経団連、そして自治体。ここから「外国人労働者を入れてくれ」という声が上がる。そうしないと店をたたまなければいけない、廃業しなければいけない、日本の伝統技能が途絶えてしまう——こう言われると、右も左も関係なく、政治家はそれを解決すべき課題として受け止めます。

そして、要望に応えれば票が入る。

内側からの力 ― 票と要望
内側からの力 ― 票と要望

日本商工会議所には政治連盟があります。これも票田です。今回の内閣にも、商工会議所の政治連盟の支援を受けた議員が複数入っていると言われています。「自分の役割は商工会議所の利益を代弁することだ」と公言する政治家すらいる、という情報があります。

つまり、低コストの労働力を欲しがっている実業の世界があり、そこからのニーズが確かに存在する。ここはきれいごとで否定できない現実です。

外側からの力——国連とIOMの外圧

もう一つが外圧です。

IOM(国際移住機関)とは何か
IOM(国際移住機関)とは何か

国際移住機関(IOM)という組織があります。国連の中で移民政策を推進している機関です。

現在の事務局長は、エイミー・ポープという人物です。2023年5月15日の特別会合で選出され、2023年10月1日に就任しました。IOM初の女性事務局長です。前任は、ポルトガル出身のアントニオ・ヴィトリーノ。

ポープ氏の経歴がまた、くっきりしています。

  • 2013〜2015年——アメリカ国家安全保障会議で国境安全保障担当の上級部長
  • 2015〜2017年——大統領副補佐官兼国土安全保障担当副補佐官
  • 2021年——バイデン大統領の移民担当上級顧問
  • 2021年9月——IOMの管理・改革担当の事務局次長
  • 2023年10月——IOM事務局長

アメリカ政府の移民政策の中枢にいた人が、そのまま国連の移民機関のトップになった、という経歴です。

エイミー・ポープはどこから来たのか
エイミー・ポープはどこから来たのか

そのポープ氏が何を言っているか。

  • 「移民の力を活用しなければSDGsは達成できない」
  • 本物の難民と移民の区別を曖昧にしていく方向性
  • 「移民は気候問題の改善策になる」
  • 移住政策は外交政策に組み込まれるべきである

なんでやねん、という話なのです。

難民と移民はまったく別のものです。難民は迫害や戦争から逃れてくる人であり、移民は仕事や生活のために移り住む人です。この二つの線を曖昧にすると、「受け入れを断る理由」が消えます。そこを狙って曖昧にしているのではないか、というのが私の見方です。

※参照:国際移住機関(IOM) https://www.iom.int/news/amy-pope-makes-history-first-woman-director-general-iom

移民スキームの設計者——サザーランドとソロス

では、この流れを作ったのは誰なのか。

移民スキームを設計した二人
移民スキームを設計した二人

ピーター・サザーランドという経歴

ピーター・サザーランド(1946〜2018)。アイルランド出身の人物です。

この経歴を、まず並べてみてください。

  • ゴールドマン・サックス・インターナショナル会長——約20年
  • BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)会長
  • GATT事務局長、そしてWTOの初代事務局長
  • 三極委員会の欧州議長
  • ビルダーバーグ会議の運営委員
  • ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)会長(2008年〜2015年1月)
  • 国連事務総長の国際移住担当特別代表——亡くなる直前まで

ピーター・サザーランドが座っていた椅子
ピーター・サザーランドが座っていた椅子

投資銀行、石油メジャー、国際貿易機関、そしてグローバルエリートの会議体。そのすべてを渡り歩いた人物が、最後に取り組んでいたのが「移民」だったということです。

アイルランド大統領は追悼に際し、彼を「移住問題を政策の最前線に押し上げた人物」と評価しています。つまり、移民問題を世界の政策課題の中心に据えたのが、この人だったわけです。

コロンビア大学に置かれた事務局と、2016年の文書流出

ここからが興味深いところです。

大学に置かれた事務局と、流出した文書
大学に置かれた事務局と、流出した文書

ジョージ・ソロスの財団が、コロンビア大学のグローバル政策イニシアチブという組織に資金を出していました。そしてその事務局長を務めていたのがサザーランドでした。

2016年、ソロスの財団の内部文書が流出します。

そこに書かれていたとされる内容が、こうです。

  • サザーランドとソロスの財団の関係は非常に近い
  • 財団はサザーランドを経由してさまざまな情報を得ていた
  • サザーランドを経由して各国のエリートとつながることができた
  • 難民危機は、財団にとって影響力を拡大する新しい機会である

最後の一行が、すべてを物語っています。

流出文書に書かれていたとされること
流出文書に書かれていたとされること

2015年のシリア難民危機を思い出してください。大量の難民が欧州に押し寄せ、ドイツのメルケル政権が受け入れを表明して喝采を浴びた。あの混乱が「新しい機会」だと書かれていたということです。

ジョージ・ソロスという人物は、世界中のNPOに資金を投じ、カラー革命を支援し、左翼運動に金を流してきたと言われます。ブラック・ライヴズ・マター、アンティファ——こうした団体への資金の流れも指摘されてきました。

移民政策研究所(MPI)——カーネギーから独立したシンクタンク

もう一つ、押さえておきたい組織があります。

MPI(移民政策研究所)の素性
MPI(移民政策研究所)の素性

移民政策研究所(MPI)。ワシントンD.C.にある移民問題のシンクタンクです。

  • 2001年設立
  • カーネギー国際平和基金の国際移民政策プログラムから発展して独立した組織
  • 創設者はデメトリオス・パパデメトリウとキャスリーン・ニューランド
  • 2011年にはブリュッセルに「MPIヨーロッパ」を設立

カーネギーの移民部門から独立した——この一行で、素性はだいたい分かってしまいます。お里が知れる、というやつです。

そしてMPIが主張しているのが、不法滞在者の合法化と永住への道です。

なぜ不法滞在者を合法化する必要があるのでしょうか。法を破って滞在している人を合法化してしまえば、「法を守る」という前提そのものが崩れます。筋としては強制送還の一択のはずです。

なお、IOMもMPIに資金を提供しており、エイミー・ポープ氏もMPIの仕事を受けて基調講演などを行っています。国連の機関と、民間のシンクタンクと、資金の出し手が、同じ方向を向いて動いている——という構図です。

※参照:Migration Policy Institute https://www.migrationpolicy.org/about-mpi

IOMが国連の関連機関になった2016年

そして、決定的な出来事があります。

IOMは、こうして国連の中に入った
IOMは、こうして国連の中に入った

IOMの沿革を、正確に並べます。

  • 1951年——「暫定欧州移民移動政府間委員会」として設立。第二次大戦の避難民1,100万人を支援
  • 1989年——国際移住機関(IOM)に改称
  • 2016年6月30日——IOM総会が国連との関係強化を承認
  • 2016年7月25日——国連総会決議が承認
  • 2016年9月——国連総会で、移民対応に関する国連の関連機関となることが承認

つまり、もともと国連の外にあった組織が、2016年に国連の中に組み込まれたということです。

ここで指摘されているのが、サザーランドの役割です。IOM自身が、サザーランドを国連加入の立役者だと評価しているという情報があります。国連事務総長の国際移住担当特別代表という立場にいた人物が、IOMを国連の傘の下に引き入れた——という流れです。

ここからIOMは、国連の代理組織として、世界中の移民・難民問題をさばいていくことになります。

※参照:外務省「国際移住機関(IOM)」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000507871.pdf

脱炭素スキームの設計者——ロックフェラーとモーリス・ストロング

さて、ここからが本題です。

私は移民の構図を眺めていて、あることに気づきました。

これ、気候変動とまったく同じ形をしているのです。

脱炭素スキームを設計した二人
脱炭素スキームを設計した二人

ローマクラブ——『成長の限界』から始まった

気候問題の出発点は、ローマクラブです。

  • 1968年、ローマで最初の会合(名称の由来)
  • 1970年に正式に発足(スイス法人)
  • 1972年3月、報告書『成長の限界』を発表

ローマクラブと『成長の限界』
ローマクラブと『成長の限界』

『成長の限界』が何を言ったか。このまま人口増加と環境破壊が続けば、資源の枯渇と環境悪化によって100年以内に人類の成長は限界に達する。破局を避けるには、地球が無限であるという前提に立った従来の経済のあり方を見直し、世界的な均衡を目指さなければならない——というものです。

発表直後、世界の産業界からは猛烈な抗議と非難を受けました。「ゼロ成長論者」「反成長グループ」というレッテルを貼られたとされています。

このローマクラブを率いたのが、アウレリオ・ペッチェイという実業家です。イタリアの財界人で、フィアットやオリベッティの経営に関わった人物。設立にはデイヴィッド・ロックフェラーと、フィアットの経営者ジャンニ・アニェッリが関与していたとされます。

つまり、ペッチェイは据えられた人なのです。

ペッチェイは、据えられた人である
ペッチェイは、据えられた人である

60年代は「寒冷化」が問題だった

ここが、私がいちばん引っかかるところです。

1960年代まで、科学者たちが警告していたのは「地球の寒冷化」でした。ところが1970年代に入ると、急に温暖化の危機が叫ばれ始める。オゾン層の問題も、このころから一気に出てきます。

同じ科学者たちが、10年のあいだに逆のことを言い始めたわけです。

ここで「おかしいな」と気づく人は気づきます。

60年代は、寒冷化が問題だった
60年代は、寒冷化が問題だった

ローマクラブの思想的なルーツをたどると、マルサスに行き着きます。人口が増えすぎれば食料が足りなくなるという考え方で、その流れを汲んだ新マルサス主義の人たちが、産児制限・人口制限を言い始めた。ジョン・スチュアート・ミルなどもその系譜にあります。

この流れの先に、「このままでは地球が限界に達する」「石油が枯渇する」という脅しがあり、その中で気候学者が温暖化問題を取り上げていく。

そして、言葉も変わりました。「温暖化」ではまずいということで、「気候変動」に言い換えられていきます。

モーリス・ストロングという人物

この流れで国連を動かしたのが、モーリス・ストロングです。

モーリス・ストロングが作ったもの
モーリス・ストロングが作ったもの

モーリス・ストロング(1929〜2015)。カナダの実業家です。

  • ロックフェラー財団の理事、ロスチャイルド系財団の理事
  • 1972年6月——ストックホルムの国連人間環境会議を主導(国連環境問題の最初の国際会議)
  • その後、国連環境計画(UNEP)の初代事務局長(1975年まで)。本部をケニア・ナイロビに設置
  • 1992年6月——リオデジャネイロの地球サミット(国連環境開発会議)の事務局長
  • 国連の事務次長を歴任

この人物が国連の環境部門を一手に掌握しました。

そして1988年、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立されます。UNEPと世界気象機関(WMO)が母体です。UNEPを作った当人が、その延長線上でIPCC設立の流れを作ったという評価がなされています。

IPCCの報告書は、どう作られるか
IPCCの報告書は、どう作られるか

IPCCのレポートは、いまもNHKをはじめとする各国の主要メディアが引用します。

ところが、このレポートの作り方に問題があります。先にサマリー(要約・骨子)があり、そのストーリーを変えない形で、各科学者がレポートを作り込んでいく——という仕組みになっている。結論が先にあって、そこに合わせて書かれていくということです。

「そんな嘘は書けない」と断った科学者は、学会から追放され、仕事をもらえなくなっていく。だからまともな科学者はIPCCを敬遠する——これが現場で起きていることだ、と私は見ています。

データの取り方ひとつで、結論はいくらでも変えられるのです。

※参照:UNEP「Maurice Strong」 https://www.unep.org/unep-50-leaders-through-years/maurice-strong

クラウス・シュワブは、誰に据えられたのか

ダボス会議(世界経済フォーラム)も、同じ時期に生まれています。

ローマクラブとダボス会議は、兄弟である
ローマクラブとダボス会議は、兄弟である

  • ローマクラブ——1968年に最初の会合
  • 世界経済フォーラム——1971年に設立

わずか3年違いの、兄弟のような組織です。

設立者はクラウス・シュワブとされています。ところが、当時の彼は30代前半です。

考えてみてください。30代前半の学者が、欧米の政治家・銀行家・経営者・ジャーナリストを一堂に集められる人脈を持っているでしょうか。資金を持っているでしょうか。

持っているわけがないのです。ペッチェイと同じで、据えられた人です。

背景として語られるのが、シュワブの父オイゲンとアレン・ダレス(元CIA長官)のつながりです。そしてアレン・ダレスの部下だったのがキッシンジャー。そのキッシンジャーが、シュワブが留学したハーバードのプログラムで事務局を務めており、そこでシュワブをスカウトしたとされています。

私はこれを偶然とは思いません。

クラウス・シュワブの背後にあった線
クラウス・シュワブの背後にあった線

さらに言えば、アレン・ダレスもキッシンジャーも、ピルグリム協会のメンバーです。

私の見立てとしての格付けを書いておきます。

  • ピルグリム協会——最上位
  • 円卓会議(セシル・ローズ、アルフレッド・ミルナーを起源とする)
  • ビルダーバーグ会議/外交問題評議会(CFR)

英国系のグローバリズム勢力が上にいて、その下にアメリカ系の会議体がぶら下がっているという構図です。キッシンジャーは人口抑制についてのレポート(キッシンジャー・レポート)も書いています。

二つのスキームを並べると、同じ形が見える

ここまでくると、形が見えてきます。

二つのスキームを、並べて見る
二つのスキームを、並べて見る

移民のほうは—— ピーター・サザーランド(ゴールドマン・サックス、WTO、国連特別代表)が表に立ち、ジョージ・ソロスが後ろで支え、IOMを国連に組み込み、エイミー・ポープが現場を回す。

気候のほうは—— モーリス・ストロング(ロックフェラー財団理事、UNEP初代事務局長)が表に立ち、デイヴィッド・ロックフェラーが後ろにいて、ローマクラブと組み、IPCCを作って科学の権威をまとわせる。

構造は、一緒です。

どちらも国連を使っている。国連というのは、グローバリズムを進めるための手先になっている——移民政策においても、環境政策においてもです。

そして行き着く先も同じです。SDGs(持続可能な開発目標)と、ダボス会議のグレートリセット。1972年の『成長の限界』→国連アジェンダ21→2030アジェンダ・SDGs→グレートリセットという一本の線でつながっている。

先進国の足を引っ張り、骨抜きにし、文明を後退させる。その方向で設計されている、というのが私の見立てです。

日本側の受け皿——誰がこれを引き受けているのか

ここからが日本の話です。

外圧があるという話で終わらせてはいけません。外圧に内側から応えている構造があるからです。

外圧に、内側から応えている人たちがいる
外圧に、内側から応えている人たちがいる

JICA——2019年、官邸での会談

まずJICA(国際協力機構)です。

JICAの海外駐在員の年俸は1,460万円ほどと言われます。これに各種手当が加わり、長期の休暇もある。かなりの待遇です。

ところが、JICAの仕事そのものには逆風が吹いていました。中国の一帯一路によって、アフリカ・中東・南米の国々は「中国から金をもらったほうが手っ取り早い」という判断に傾いていく。日本型の国際協力へのニーズが相対的に落ちていったのです。

つまり、新しい食い扶持が必要になった。

2019年、官邸で何が決まったか
2019年、官邸で何が決まったか

そして2019年です。

当時のJICA理事長だった北岡伸一氏が、菅義偉官房長官に呼ばれて官邸に行き、二人は会談しています。この場で、これからはJICAが外国人政策の担い手になりなさい、と告げられたとされています。

そこからJICAに特別室が設けられ、世界中の拠点を使って現地の人材を教育し、日本に送り出す役割を担っていくことになります。

送り出し国にはブローカーがいて、日本側にも業者がいる。日本の自動車免許の訓練センターを海外に作って儲けている連中もいる。そのあいだをつなぐハブになった、という構図です。

付け加えておくと、移民として来る当事者の方々も、ある意味で犠牲者です。自国に働き口がなく、家族を養うために仕事のある国へ行きたいという一心で来る。ブローカーに騙され、借金を背負わされて日本に来て、仕事がなく闇バイトに流れるという人もいます。儲けているのは、座って手配しているブローカーです。

アフリカ・ホームタウンという事件

そして、昨年の出来事です。

アフリカ・ホームタウンの4市
アフリカ・ホームタウンの4市

2025年8月、横浜で開かれたTICAD9(アフリカ開発会議)に合わせ、JICAが国内4市をアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定しました。

  • 山形県長井市——タンザニア
  • 千葉県木更津市——ナイジェリア
  • 新潟県三条市——ガーナ
  • 愛媛県今治市——モザンビーク

事業の建前は交流でした。人材育成やイベント開催を通じて地域活性化とアフリカの発展につなげる、というものです。

ところが、ナイジェリア政府が「日本が特別なビザ制度を創設する」という誤った内容の声明を発表します。これがSNSで拡散し、木更津市には抗議の電話が鳴りやまない事態になりました。JICAと外務省は否定しましたが、混乱は収まらなかった。

国会にも質問主意書が出され、2025年9月、JICAは事業を撤回します。理由は「交流を実施する環境が損なわれたこと」でした。

交流事業に、誰が並んでいたか
交流事業に、誰が並んでいたか

ここで押さえておきたいのは、関わっていた顔ぶれです。

  • JICA——理事長は田中明彦氏(2022年4月〜)
  • JICAの副理事長がアフリカ開発会議のイベントで挨拶
  • 外務省——JICAを所管
  • 総務省——自治行政局国際室の室長がTICADのイベントで挨拶
  • 経済同友会——後援

一つの自治体の交流事業に見えて、中央省庁と経済団体がきれいに並んでいる。これが「アフリカ・ホームタウン」の正体でした。

なお、IOMのエイミー・ポープ事務局長も、TICADのために来日しています。そして訪問期間中に外務大臣を訪ねている。「これから日本が難民・移民の受け皿になりなさい」という話をしに来ているのではないか——と私は見ています。

※参照:秋田魁新報「ホームタウン事業撤回調整 JICA『移民増』誤情報拡散」 https://www.sakigake.jp/news/article/20250925CO0043/

三極委員会に名前のある政治家たち

もう一つ、名前を覚えておいたほうがいい組織があります。

三極委員会は、なぜ作られたか
三極委員会は、なぜ作られたか

三極委員会(日米欧委員会)。1973年に、デイヴィッド・ロックフェラーとズビグニュー・ブレジンスキーらによって作られました。

成り立ちが面白いのです。もともとビルダーバーグ会議は欧米の白人だけのシークレットクラブで、アジア人は入れませんでした。デイヴィッド・ロックフェラーが「日本を入れたらどうか」と提案したものの、にべもなく断られた。そこで「ならば別に作ろう」として、欧州・北米・日本の三極で運営する組織を立ち上げた——これが三極委員会です。

日本側では、山本正(日本国際交流センターの創設者)が設立に関わっています。

現在の日本(アジア太平洋)側の議長は、新浪剛史氏です。ダボス会議の常連であり、外交問題評議会の助言機関にも名を連ねている。サントリーホールディングスの会長職は、2025年のトラブルを受けて退いています。

三極委員会に名前のある日本の政治家
三極委員会に名前のある日本の政治家

そして、この委員会に名前がある日本の政治家たちです。

  • 小泉進次郎
  • 河野太郎
  • 武見敬三——厚生労働大臣経験者
  • 塩崎恭久——厚生労働大臣経験者

三極委員会のメンバーになっている人たちは、私の中では「イエローマーク」です。国のために動いているとは、どうしても思えない。グローバリズム政策を進める手先として動いているのではないか、と見ています。

笹川博義——環境大臣に座った人物

ここで、この連載をずっと読んでくださっている方なら「またか」と思う名前が出てきます。

笹川博義という人物
笹川博義という人物

2026年9月の内閣改造で、環境大臣に笹川博義氏が起用されました。初入閣です。原子力防災担当大臣、クマ被害対策担当大臣も兼務しています。

この人物の血筋を確認します。

  • 祖父——笹川良一(日本船舶振興会の創設者)
  • 伯父——笹川陽平(日本財団名誉会長)
  • 父——笹川堯(元衆議院議員)。その地盤を引き継いだ

そして経歴です。

  • 自民党 外国人労働者等特別委員会の事務局長
  • 自民党 外国人政策本部の「外国人制度の適正化等に関するPT」座長
  • 自民党 グローバル人材共生推進議員連盟の事務局長

外国人材の受け入れをめぐる自民党の実務の中心に、ずっとこの人がいたということです。

議員連盟に名前のある議員たち
議員連盟に名前のある議員たち

議員連盟に名前のある議員たちも、覚えておいたほうがいいでしょう。

  • 笹川博義(群馬)
  • 宮内秀樹(福岡4区)
  • 小林茂樹(奈良1区)
  • 武部新(北海道12区)
  • 塩崎彰久(愛媛1区)——塩崎恭久氏の子息

そして、ここに出てくる名字が、別の組織でまた出てきます。

NAGOMiとJCIE——提言する側と、受け取る側

外国人材共生支援全国協会、略称NAGOMi(なごみ)という団体があります。

NAGOMi ― 受け入れを推進するロビー団体
NAGOMi ― 受け入れを推進するロビー団体

  • 会長——武部勤(武部新議員の父)
  • 副会長——塩崎恭久
  • 名誉会長として二階俊博氏が名を貸していた

外国人労働者の受け入れを推進するロビー団体です。

そしてもう一つ、日本国際交流センター(JCIE)。

武見敬三氏がシニアフェローを務めていた組織であり、ここが「外国人材の受入れに関する円卓会議」を設置しています(2018年7月発足)。

その円卓会議の事務局長を務めてきたのが、毛受敏浩氏です。

  • 日本国際交流センター執行理事(2017〜2023年ごろの資料)
  • 現在は関西国際大学の客員教授として発信
  • 著書『移民1000万人時代 2040年の日本の姿』
  • 文部科学省の研修資料(2026年2月)でも「2040年代、外国人1000万人に」というテーマを扱っている
  • 日本に住む外国人は、2025年6月末時点ですでに395万人を超えていると指摘

提言する側と、受け取る側が同じ
提言する側と、受け取る側が同じ

ここで構図を整理します。

外部団体(NAGOMi・JCIEの円卓会議)が政策提言書を作る → 自民党の部会に提出する → その部会の事務局長が笹川博義氏 → そして笹川氏自身が、円卓会議のメンバーでもある。

提言する側と、受け取る側に、同じ人が座っている。

これが偶然だとは、私には思えません。

さらに、育成就労制度の設計調整を部会の事務局長として進めていたのが笹川氏であり、そこに全国知事会や自治体国際化協会が絡んできます。この両組織の会長・副会長を務めていたのが、宮城県知事の村井嘉浩氏です。

全部つながっています。

123万人という上限の、抜け穴

ここで、いま進んでいる制度の話もしておきます。

123万人という上限の、抜け穴
123万人という上限の、抜け穴

政府は「不法滞在の移民はゼロにする」と言い、永住の条件も厳しくすると言っています。保守層のなかには、これで安心だと見ている方もいます。

しかし、これはめくらましです。

仕組みを見てください。

  • 特定技能1号と育成就労を合わせて「123万人」という上限が設けられている
  • ところが、期限が書かれていない
  • 特定技能1号の人が、そこまで難しくない試験に合格すれば2号にステップアップする
  • 2号に上がった人は、この123万人という枠から外れる
  • 枠が空く。その空いた分を、また育成就労で補充する

つまり、穴の空いたバケツなのです。蛇口は開きっぱなしで、ずっと補充し続けられる。こういう状態を作りたかった、ということです。

このまま行けば、10年後には1,000万人を超える外国人が日本にいても、まったく不思議ではありません。

ここは、線を引いておく

例によって、確認できたことと、できなかったことを分けます。

記録で確認できること
記録で確認できること

記録で確認できること

  • IOMは1951年に「暫定欧州移民移動政府間委員会」として設立され、1989年に国際移住機関へ改称、2016年に国連の関連機関となったこと(IOM総会承認 2016年6月30日、国連総会決議 2016年7月25日、2016年9月の国連総会で承認)
  • エイミー・ポープ氏が2023年5月15日に選出され、同年10月1日にIOM事務局長に就任したこと。IOM初の女性事務局長であり、バイデン政権で移民担当上級顧問を務めていたこと
  • ピーター・サザーランドがゴールドマン・サックス・インターナショナル会長を約20年、BP会長、WTO初代事務局長、LSE会長(2008〜2015年1月)を歴任し、死去直前まで国連事務総長の国際移住担当特別代表だったこと
  • 移民政策研究所(MPI)が2001年に設立され、カーネギー国際平和基金の国際移民政策プログラムから発展したこと
  • ローマクラブが1968年にローマで最初の会合を開き、1970年に発足、1972年3月に『成長の限界』を発表したこと
  • モーリス・ストロング(1929〜2015)が1972年のストックホルム国連人間環境会議を主導し、UNEPの初代事務局長(〜1975年)となり、1992年のリオ地球サミットを主導したこと
  • 三極委員会が1973年に発足し、現在のアジア太平洋側の議長が新浪剛史氏であること
  • 2025年8月のTICAD9に合わせてJICAが4市(長井・木更津・三条・今治)をアフリカ諸国のホームタウンに認定し、ナイジェリア政府の誤った声明をきっかけに混乱が起き、2025年9月に撤回されたこと
  • 笹川博義氏が2026年9月の内閣改造で環境大臣に初入閣したこと。自民党の外国人労働者等特別委員会の事務局長の経歴があること
  • 「外国人材の受入れに関する円卓会議」が2018年7月に発足し、毛受敏浩氏が事務局長を務めてきたこと。同氏が2040年代に外国人1,000万人という予測を示していること
  • 日本に住む外国人が2025年6月末時点で395万人を超えていること

確認できなかったこと

  • 「ソロスの財団がMPIに資金提供している」——MPIの公開情報からは確認できませんでした
  • 「サザーランドがIOMの国連加入の立役者である」——そういう評価がある、という情報ですが、一次資料では確認できていません
  • 「JICA理事長の田中明彦氏が三極委員会のアジア太平洋議長だった」——三極委員会側の資料では確認できませんでした。配信では私が田中氏の名前を挙げましたが、ここは訂正しておきます

確認できなかったこと
確認できなかったこと

こうして分けても、残るものははっきりしています。

移民政策を世界の政策課題に押し上げた人物は、ゴールドマン・サックスとWTOの元トップだった。 気候問題を世界標準にした人物は、ロックフェラー財団の理事だった。 どちらも国連の中に自分の機関を作り、そこから各国に圧力をかけた。 そして日本では、その受け皿になる組織と、提言する団体と、受け取る党の部会に、同じ名前が並んでいる。

ここは、動きません。

まとめ——構造を見てください

国連は、誰のための機関になったのか

国連は、誰のための機関になったのか
国連は、誰のための機関になったのか

国連は、戦争を防ぎ、人々を守るために作られた組織だったはずです。

ところがいま、その国連が、移民政策でも環境政策でも「先進国に負担を押しつける側」に立っている。

移民問題では、IOMという機関を使って受け入れを迫る。 環境問題では、UNEPとIPCCを使って脱炭素を迫る。 そのどちらにも、民間の巨大な資金と、国境を越えた会議体がぶら下がっている。

別々の正義の顔をしていますが、やっていることは同じです。

情報を、どう扱うか

最後に、少し違う角度の話をさせてください。

情報を、どう扱うか
情報を、どう扱うか

こうした話をすると、必ず「陰謀論だ」と言われます。

私がお願いしたいのは、鵜呑みにしないでほしい、ということです。

誰々が言っているから正しい——これがいちばん危ない。私が言っているから正しい、というのも同じく危険です。「金子はこう言っていたな」と一旦そこに仮置きして、ご自分で検証するなり、他の人の見解と照合するなり、保留にするなりしていただきたい。

裏を取る。比較照合する。保留にする。鵜呑みにしない。

このメンタリティを持ち続けないと、やられます。

そしてもう一つ。AIはとても便利です。私も日常的に使っていますし、仕事の効率も質も上がりました。ただし、本当に知られてまずいことについては、「裏が取れていない」「根拠がない」「一つの解釈に過ぎない」という答えが返ってきます。そうすると、確信が持てなくなるのです。

便利なものに流れるというのは、手間暇を惜しむということです。そこには大量の資金が投じられています。私自身は、絶版になった古い書籍を調達し、その本が参照している本をまた取り寄せ、という作業を続けています。横につながった瞬間に、見えてくるものがあるからです。

SNSも同じです。関連情報が次々に流れてきて、気づけば夜中まで見てしまう。思考する時間、想像する時間を奪われている。時間を何に使うかというのは、意思決定の連続であり、これは戦いです。

表層ではなく、構造を見てください

「移民の話と脱炭素の話は別だろう」と思われるかもしれません。

しかし、設計図が同じなのです。

メディアが見せる表面は、こうです。 人手不足だから外国人を受け入れる。地球が危ないから脱炭素を進める。

その奥にある構造は、こうです。 国連の中に専用の機関を置き、民間の資金と会議体がそれを支え、先進国に負担と義務を課していく。そして日本側には、それを引き受ける人たちがいる。

私たちが見るべきなのは、誰が何を言ったかではなく、誰が誰とつながり、どの椅子に座っているかです。

そして日本は、どうするのか。

真の独立とは、真の主権とは、何か。

外からの圧力を止められないのであれば、せめて、内側から応えている人たちの名前くらいは、私たちが知っておくべきではないでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q1. 移民問題と気候変動問題を一緒に語るのは、無理があるのではないですか。

A. 政策の中身としては、まったく別のものです。ただ、「国連の中に専用機関を置く」「民間の巨大財団が資金と人脈を供給する」「先進国に義務を課す」という進め方が共通している、というのが今回の論点です。主張の内容ではなく、進め方の形を比べています。

Q2. IOMは難民を助ける国際機関ではないのですか。

A. IOMは1951年の設立以来、戦争による避難民の支援という重要な役割を果たしてきました。その実績は事実です。問題にしているのは、2016年に国連の関連機関になって以降、「移民の受け入れ促進」の方向に軸足が移っているように見えることと、難民と移民の区別を曖昧にする方向の発言が指導部から出ていることです。

Q3. アフリカ・ホームタウンは誤情報が原因で撤回されたと報じられています。事業そのものに問題はなかったのでは。

A. ナイジェリア政府の声明が誤っていたこと、それがSNSで拡散したことは、報道のとおりです。ただし、アフリカ側との事業内容のすり合わせが十分だったのかという指摘は、撤回を惜しむ側の社説からも出ています。私が注目しているのは、交流事業という建前のわりに、JICA・外務省・総務省・経済同友会が並んでいたという座り方のほうです。

Q4. では、私たちは何をすればいいのでしょうか。

A. まず、名前を覚えることだと思います。どの議員がどの議員連盟にいて、どの団体の提言を受け取っているのか。それは公開情報として調べられます。そして選挙では、政党ではなく、その人が何を言っているかで判断する。私自身は不偏不党で、賛同できる人がいればその人に入れますし、いなければ無効票を投じます。

ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。

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この記事を書いた人

反DS歴史研究者、調査ジャーナリスト。YouTube『あつまれニュースの森』(登録者10万人)にて反グローバリズムの視点で世界情勢・国内政治を解説。

本業だったコンサルタントから徐々に歴史研究にシフトしていく。日々リサーチする中、メディアや歴史が嘘だらけであり、この世界が一部の権力機構によって支配されてきたことに強烈な違和感と憤りを覚えるようになる。

グローバリズムの根源と実態を徹底的に研究。その歴史を旧約聖書まで遡り、現在のいわゆるディープステートのルーツがユダヤ系とアングロサクソン系の2系統にあることを突き止める。

2021年、YouTubeを開始し、グローバリストのルーツを徹底解剖するオンラインサービス『金子ゼミ』を立ち上げる。

グローバリストにより”修正”された歴史を”修復”する「歴史復元主義」を根本理念とする。

情報発信者としての信条は「左も右もない反グローバリズム・国益第一主義」「不偏不党」。

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