こんにちは。金子吉友です。
1994年5月、ワシントン。「謹聴、謹聴、これで目を覚ましなさい」という書き出しの匿名文書が出回りました。 4ページ半。内容は、「小沢一郎は日米双方にとって危険人物だ」。
この文書はファックスとコピー郵送と手渡しで、ニューヨーク、そしてアメリカ全土のオピニオン・リーダーの間に広がっていきました。クリントン大統領も熟読したと言われます。
そして、その文書が触れていたのが、小沢一郎氏と、創価学会名誉会長・池田大作氏と、パナマの独裁者ノリエガ将軍を結ぶ線でした。
これは、ニューヨーク市立大学の霍見芳浩(つるみ よしひろ)教授が、1994年の著書『アメリカ殺しの超発想』に書いたことです。
先に、この記事の書き方をはっきりさせておきます。ここから書くことには、「記録で確認できること」と「一冊の本が主張していること」が混ざっています。だから、その二つを節ごとに分けて書きます。 混ぜて語れば、確かな部分まで一緒に疑われるからです。
まず、公的な記録で確認できるところから始めます。


目次
まず確認できることから──ノリエガ将軍とCIA
CIAの訓練を受け、CIAに籍を置いていた軍人

マヌエル・ノリエガ。パナマ共和国の軍人です。経歴がこうです。
- 1967年、パナマ国内にあるアメリカ陸軍米州学校で、諜報と防諜の訓練を受けた
- ノースカロライナ州のフォート・ブラッグで、心理作戦のコースを受講
- 1988年2月までCIAに籍を置いていた
- 1983年、パナマ軍最高司令官に就任
つまり、アメリカが訓練し、アメリカが雇っていた人物です。ここは争いがありません。
そして彼は、コロンビアの麻薬組織メデジン・カルテルと結びつき、パナマからアメリカ合衆国へコカインなどを密輸するルートを私物化していました。

CIAはノリエガにいくら払ったのか

ここは、裁判で争われた論点です。
- CIAは、長年の政治的便宜に対して16万ドルを支払ったと認めました
- 1991年の訴追側の主張では、陸軍とCIAが支払ったのは約32万ドル
- 一方、弁護側は「情報提供の対価として1,100万ドル以上を受け取っていた」と主張しました
金額には大きな開きがありますが、「アメリカの情報機関がノリエガに金を払っていた」こと自体は、アメリカ政府が公式に認めています。
1989年、パナマ侵攻

1989年12月、アメリカ軍はパナマに侵攻しました。 当時のブッシュ(父)大統領が挙げた目的は、米国人の生命の安全、パナマの民主主義の維持、麻薬取引撲滅、パナマ運河条約の遵守です。
侵攻はノリエガを逮捕するまで2週間以上に及び、2,500人とも4,000人とも言われるパナマ人が犠牲になりました。 国連総会は、賛成75・反対20・棄権39で非難決議を採択しています。これは1999年2月16日の衆議院予算委員会で、日本共産党の佐々木陸海議員が国会で述べた内容です。
ノリエガは麻薬密輸の罪でアメリカで有罪となり、2007年に釈放されました。
つまり、CIAが訓練し、CIAが雇い、コカイン密輸を黙認していた人物を、最後はアメリカが軍隊を送って捕まえた。 ここまでが、公的な記録の話です。


池田大作氏とノリエガ将軍──創価学会側の記録で確認できること
次に、池田大作氏とノリエガの関係です。ここも、まず創価学会の側の資料で確認できる範囲から書きます。
1974年3月、パナマ訪問

池田大作氏は1974年3月、パナマを訪問しています。
これは創価学会に批判的な人が言っているだけの話ではありません。創価大学が出している学術誌『創価教育』第3号に掲載された論文の訪問日程表に、1974年3月7日から4月13日の訪問先として「U.S.A., Peru, Panama」と記載されています。 また、聖教新聞(2018年5月20日付)も、池田会長(当時)が1974年3月18日にパナマを初訪問したことを紹介しています。
『創価学会年表』(1976年)には、1974年3月19日のノリエガとの会見が記載されていると指摘されています。
「ノリエガ庭園」と「池田展望台」
そして、両者の関係を示すものとして挙げられるのが、静岡県富士宮市の創価学会・白糸研修道場にあった庭園の石碑です。碑文はこうだったとされます。
> パナマ共和国フラメンコ島に「池田展望台」が設置されたことに鑑み、日パ両国の友好親善の固き絆として、ここ多宝富士大日蓮華山を望む白糸研修道場の園を「ノリエガ庭園」と命名するものなり
1987年8月12日付とされ、ノリエガ失脚後に撤去されたと伝えられています。
ここは線を引きます。この碑文の実物や撤去の経緯について、私は一次資料を確認できていません。 複数の記事が同じ内容を伝えていますが、出所をたどると同じところに行き着きます。ただし、パナマ訪問と会見があったこと自体は、創価学会側の資料で確認できます。

1994年、ワシントンで出回った「オザワ告発リポート」
ここから、霍見芳浩氏の著書『アメリカ殺しの超発想』(徳間書店、1994年10月)の内容に入ります。以下は、この本に書かれていることです。
匿名の4ページ半

1994年5月初めから、ワシントンである匿名文書が出回り始めました。
書き出しは「謹聴、謹聴、これで目を覚ましなさい」。内容は「オザワ(小沢一郎氏)は日米双方にとって危険人物だ」。
その後、この「オザワ告発リポート」は、ファックスやコピー郵送や手渡しで、ニューヨーク、そしてアメリカ全土の各界のオピニオン・リーダーの間にどんどん広がりました。

誰が書いたのか
文書には「ワシントン発、94年5月2日」とあるだけで、署名はありません。
霍見氏は、文章力と内容の確かさから、こう推察しています。
> 40歳代以上のアメリカ人男性で、国務省またはCIAの日本担当のアナリストか、彼らに近い政治学者のものと考えられる
びっしりと書かれた4ページ半。 小沢氏が唱えている改革のレトリックは、日本国民やアメリカ政府を安心させるための偽装だと喝破してもいた、と書かれています。

リポートが書いていたこと

内容の要点がこうです。
- レーガン、ブッシュ両大統領時代から、アメリカ政府が「小沢レバー」を使って日本を操ってきた。その実情を暴いて、いまクリントン政府がまた小沢レバーに頼っているのは、日米双方のためにも、世界のためにもならない
- 筆者は、1994年4月の細川護熙総理の辞任とそれに続く羽田孜政権の誕生、社会党とさきがけの与党離れの経過を見極めて、これらを全て裏から操った小沢氏こそが日本政治のガンであり、アメリカにとっても有害な存在だと論じている
- リポート発表後に起こった村山富市政権の誕生と小沢氏の失脚で、リポートの信憑性は一段と高まり、クリントン大統領も熟読した
1994年6月末の村山連立政権の誕生で、生まれて初めて野党に回された小沢氏は、7月末、ニューヨークとワシントンの昔のスポンサーたちの間を回って、「小沢レバーの復活を支持してくれ」と懇願して歩いていた──これも同書の記述です。




霍見芳浩氏が書いた「三角関係」
ここが、この本のいちばん踏み込んだ部分です。
リポートが触れていたもう一つのこと

同書によれば、「オザワ批判リポート」はもう一つ重大なことに触れていました。
> 同リポートは、小沢氏が、創価学会名誉会長で偽本尊を作ったりしてとかく会員の中でも批判のある池田大作と連携して、池田大作氏の野望である政教一致による日本の支配と、そのためのハク付けとして「ノーベル平和賞」の獲得に、小沢氏が協力している事実も暴露する。 > 池田氏と同盟を結んでいる小沢氏は、アメリカにとってますます好ましくない人間だとも明言している。


CIAに近いアメリカ人が語ったという「線」
霍見氏は、このくだりを読んで思い出したことがあると書いています。
> 実はこのくだりを読んだとき、私もひとつ思い出すことがあった。それは、ブッシュ前大統領が金丸、そして小沢両氏を思うままに操っていたころ、両氏に与えるアメ玉だけでは説明がつかないと思うことがいくつかあったのだ。
> そこで、CIAに近いアメリカ人が聞かせてくれたのが、小沢氏、池田氏、そしてパナマの独裁者だったノリエガ将軍を結ぶ線だった。
> ノリエガ将軍は、ブッシュ氏がCIA長官時代には、その手先となって、キューバのカストロ首相やニカラグアなど中米の革命グループ攪乱に協力した。
> そして、その代償として、(ノリエガは)パナマを中継地として、時にはCIAの輸送機も使ってアメリカに南米コロンビア産のコカインを輸出する挙を大目に見てもらっていた。
> このためにブッシュ氏の弱みを握ったとして、ノリエガ将軍は、ブッシュ氏が大統領となったアメリカを、好きなように操れると過信したのだ。


ノリエガが「吐かされた」とされる中身
そして、パナマ侵攻と逮捕のあとの話です。
> しかし、こんなノリエガを放置しておいたら自分の政治生命が危ないと知って、ブッシュ大統領は89年就任早々に、米軍による電撃的なパナマ侵攻をやって、ノリエガ将軍を「戦犯」として捕らえ、アメリカのフロリダにさらって来た。
> このノリエガ将軍が吐かされたものの中に、池田大作氏が創価学会の金をパナマで運用し、ノリエガ将軍の麻薬取引の資金繰りにも使わせていたことと、このあがりから、池田氏は小沢氏へ相当な額を常時渡していた、というものがあった。

アマコスト駐日大使という「ムチ」
同書はこう続きます。
> ブッシュ氏はこの(ノリエガの)自白の証拠書類もがっちりと手に入れて、金丸、そして小沢の両氏を操作するムチとして使っていた。
> もちろん、アマコスト駐日大使は、このムチを必要に応じて直接使用した中心人物であったということだった。
> この話は「小沢のパナマコネクション」として、アジア・太平洋諸国の政府の間にも知れ渡っている、と教えてくれたアジアの外交官もいる。知らぬは日本のみということだろうか。
マイケル・アマコスト氏についても、同書は踏み込んでいます。
> アマコスト氏の、国務省のキャリア外交官というのは、実は表の顔だ。氏が国務省アジア担当次官補に加え、駐フィリピン大使や駐日大使という、アメリカとして隷属させ続けたい国々に関係した要職についていた経歴からもわかるように、氏の裏の顔はCIAの要人だった。
> 国務省のキャリアとは、ディープカバー(潜行中の見せかけの肩書)なのである。こうなったら、小沢氏などの小悪党はそれこそ蛇ににらまれた蛙のようなもの。





ここは、どこまで言えるのか

長く引用してきたので、はっきりさせます。
確認できること:
- ノリエガがCIAの訓練を受け、CIAに籍を置き、報酬を受け取っていたこと(アメリカ政府が公式に認めている)
- ノリエガがコカイン密輸ルートを握っていたこと、1989年の米軍侵攻で逮捕され有罪になったこと
- 池田大作氏が1974年3月にパナマを訪問し、ノリエガと会見したこと(創価学会側の資料に記載)
- マイケル・アマコスト氏が1989年から1993年まで駐日大使を務め、国務省アジア担当次官補や駐フィリピン大使を歴任したこと
- 霍見芳浩氏が、1994年刊行の自著に上記の内容を書いたこと
確認できないこと:
- ノリエガの「自白」の存在そのもの。 公開された裁判記録にこの内容があるという確認は取れていません
- 池田大作氏が創価学会の資金をパナマで運用したという事実。 創価学会側がこれを認めた記録はなく、裁判で確定したものでもありません
- 小沢一郎氏への資金提供。 同様です
- アマコスト氏がCIAの要人であったという事実
さらに、確認した結果として、こうも言えます。国会会議録を検索すると、「ノリエガ」の言及は1990年代に6件ありますが、池田大作氏や創価学会と結びつけて取り上げた記録はありません。(「パナマ 池田大作」で0件)
霍見氏自身、この話を「CIAに近いアメリカ人が聞かせてくれた」ものとして書いています。伝聞です。 その伝聞を、ニューヨーク市立大学の教授が、実名の著書に、匿名の告発文書と重ねて書いた。そこまでが事実です。
それを「証拠がある」と言ってしまえば嘘になります。「本に書いてある」までが、私たちが立てる地面です。
ただし、国会で別の形の言及はありました。1992年11月6日の参議院本会議で、猪木寛至(アントニオ猪木)議員が、「日本では報道されませんでしたが、ノリエガ裁判での記録に竹下氏や青木建設の名前が出ているという事実を総理は御存じでしょうか」と質問しています。 これは国会会議録に残る公式な発言です。
※参照:霍見芳浩『アメリカ殺しの超発想』(徳間書店、1994年) 国会会議録検索システム(1992年11月6日 参議院本会議)
CIAと麻薬──構造として見ると

ここで、もう少し広い話をします。「CIAが麻薬の流れに関わっていた」というのは、この一件だけの話ではありません。
1998年、CIAの監察長官が認めたこと
1998年、CIAの監察長官は、何十ものコントラ部隊がコカイン取引に関与していたこと、そしてレーガン・ブッシュ政権が証拠の多くを隠していたことを認めました。 ジャーナリストのロバート・パリーが『失われた歴史』で扱った件です。
ワシントン政界には「コントラ・ドラッグの疑惑はでたらめだ」という常識が長く定着していました。それが、CIA自身の内部調査で覆った。

アフガニスタンのアヘン
もう一つ、私がこの配信で触れた話です。
タリバンは政権を取ったあと、宗教上の理由でアヘンの栽培を全面的に禁止しました。 アフガニスタンは世界有数のアヘン生産地で、そこで採れたアヘンはヨーロッパや日本やアメリカへ流れていました。その流れが、宗教上の理由で一気に断たれた。
そしてアメリカ軍の侵攻後、生産は復活しています。
私が配信で申し上げたのは、2001年の開戦の説明への疑問です。アメリカはウサマ・ビンラディンがアフガニスタンに潜伏しているという理由で攻撃を始めました。しかし私が調べた範囲では、その時点でビンラディンはアフガニスタンにおらず、アメリカ軍もそれを把握していた。 それでも攻撃は始まりました。
対イラク戦に向けた拠点の確保、天然ガスのパイプライン利権、そしてアヘン。目的は一つではなかったはずです。
ここも線を引きます。「だからアメリカがアヘン利権のために侵攻した」とまでは、公開された資料では言えません。 言えるのは、禁止され、侵攻があり、復活した、という順序だけです。
ただ、ノリエガの件と並べると、形が同じであることには気づきます。 麻薬の流れを握る勢力がいて、情報機関がそれを承知していて、不都合になると軍事力で処理される。場所と年代が違うだけで、やっていることの形が揃っている。
文鮮明の資金と、同じ構図
前回の記事で扱った統一教会の件も、同じ形をしています。
コンソーシアム・ニュースの1998年8月19日の記事(サミュエル・ブリクセン)は、ウルグアイのバンコ・デ・クレディトに4,200人の日本人女性信者が現金を持ち込み、「Cami II」という匿名団体の口座に、1日で1,900万ドル、最終的に約8,000万ドルが入金されたと報じています。
そして同じ記事に、1980年のボリビアの「コカイン・クーデター」への言及があります。ボリビアの軍事政権は麻薬生産を保護していたとされ、後のボリビアの調査では、文鮮明側の代表がクーデターの準備に400万ドルを投じたと主張された、と書かれています。
前回の記事で私は「ボリビアのクーデターへの統一教会の資金提供は確認できなかった」と書きました。原記事にアクセスできていなかったためです。今回、原記事を確認したので訂正します。 ただし、これは「後のボリビアの調査でそう主張された」という記述であって、確定した事実ではありません。




満州から続く一本の線──ここまでのおさらい
今回の話を、これまでの連載につなげておきます。
統一教会はCIAのフロントになった
アメリカ下院のフレイザー委員会が1977年11月29日に公表した447ページの報告書(詳しくはこの記事)は、CIAの機密文書を引用しながらこう記しています。1954年に文鮮明が設立した統一教会は、1961年にKCIA(韓国中央情報部)部長・金鍾泌の指示で「韓国政府機関」として再組織され、アメリカや日本で政治工作を行っていた。
つまり1961年の時点で、統一教会はCIAのネットワークの中に入った組織になっていたということです。
ロックフェラーとの密約
文鮮明は1960年代初頭、金鍾泌とともに訪米し、その過程でネルソン・ロックフェラーとデイヴィッド・ロックフェラーの兄弟と面談しています。そこで「世界統一政府」という目標で意気投合し、「日本の愛国的保守勢力を骨抜きにする」という密約を交わした、とされます。
これはフリッツ・スプリングマイヤーの著作による記述で、一次資料は確認できていません。 ここははっきり書いておきます。
ただ、表向きの「反共」と、実際に起きたことのズレは残ります。反共を掲げた組織が、日本の保守政治をアメリカから動かせる形に組み替えた。その結果だけは見えています。
笹川良一から松井一郎へ、竹中平蔵から玉木雄一郎へ

笹川良一の系譜も、同じ図の中にあります。
- 松井一郎氏の父・松井良夫氏は笹川良一のお抱え運転手で、子分の関係でした。笹川が住之江競艇の電気設備関連の工事を松井良夫氏の会社(株式会社大通)に融通したことで事業が一気に拡大し、松井家は政治の世界へ進出します。その地盤を継いだ松井一郎氏が、橋下徹氏を担ぎ上げて大阪維新の会を立ち上げました
- その橋下氏を担ぎ上げたもう一人が、菅義偉元首相です
- 笹川良一の三男・笹川陽平氏は現在、日本財団の名誉会長。自民党の歴代首相を自分の別荘に一堂に集められる人物です
- 日本財団傘下の東京財団の理事長を務めたのが竹中平蔵氏。このポジションを使って森政権に接近し、週に一度の会合を持ち、小泉政権で大臣として迎えられました。郵政民営化、株主資本主義の導入、プライマリーバランスという指標の導入、派遣法改正──どれも、その後の日本の形を決めたものです
- その東京財団で研究員をしていたのが玉木雄一郎氏です(2007〜2008年に在籍)。ハーバード大学ケネディスクールに学び、ジョセフ・ナイ氏と卒業式で並んで写真を撮っています
竹中氏は世界経済フォーラムの要職にあり、ダボス会議の日本からの参加メンバーを事実上決める立場だと言われています。その竹中氏の目にかなったのが玉木氏だ、ということです。
小池百合子氏と笹川家
小池百合子氏も同じ系譜の中にあります。都知事選に立候補した際、笹川良一の次男・笹川堯氏(笹川陽平氏の兄)が自民党議員として全力で応援し続けました。
そして、小池氏の父・小池勇二郎氏は、かつて勝共連合の応援を受けて衆議院選挙に出馬し、落選しています。
清和会は統一教会、経世会は創価学会

ここまでの話を、日本の政治の側から整理します。
自民党には、二つの宗教との回路がありました。
- 清和会(岸信介 → 福田赳夫 → 安倍晋太郎 → 三塚博 → 森喜朗 → 町村信孝 → 細田博之 → 安倍晋三)と、統一教会・国際勝共連合(満州のアヘンから続く系譜はこちら)
- 経世会(田中角栄派 → 竹下登・金丸信 → 小沢一郎)と、創価学会
小沢一郎氏は経世会の人です。金丸信氏のマネージャーと呼ばれ、1989年の第1次海部内閣の発足時に、竹下登氏と金丸氏の推薦で、47歳という史上最年少で自民党幹事長に抜擢されました。
ここで配信の訂正をします。私は配信で「金丸氏が竹下登の反対を押し切って小沢を幹事長に据えた」と申し上げましたが、通説は「竹下と金丸の推薦による起用」です。
その後、金丸氏は1992年8月、東京佐川急便から5億円の献金を受けていたことが発覚して副総裁を辞任し、のちに議員辞職しました。
清和会は統一教会と共生し、経世会は創価学会と近かった。そして、どちらの背後にもCIAの影がある。 これが、今回私が申し上げたかった構図です。




まとめ──「本に書いてある」と「証拠がある」の間にある距離
今回の話は、これまでで最も断定しにくい回でした。
ノリエガの自白とされるものの中身は、公開された裁判記録で確認できません。池田大作氏の資金運用も、小沢一郎氏への資金提供も、認められたことはなく、裁判で確定してもいません。国会で取り上げられた記録もありません。
だから私は、この記事で「〜だった」と書くことを避けました。「〜と書かれている」としか書いていません。
ではなぜ、こんな確定しない話を取り上げたのか。
確定しないこと自体が、この話の中身だからです。
ノリエガはCIAが訓練し、CIAが雇った人物でした。コカインを運ぶルートを握っていました。アメリカは彼を使い、不都合になったら軍隊を送って捕らえ、秘密裁判にかけて特別監獄の奥に閉じ込めた。 彼が何を知っていて、何を話したのかは、閉じ込めた側が持っています。
都合の悪いことを知っている人間を、自分の手元に閉じ込めておける。それができる国が、相手国の政治家の弱みを握っている。 これが「ムチ」という言葉の意味です。
霍見氏の本が正しいかどうかは、私には断定できません。でも、「弱みを握られた政治家が、握った側の言う通りに動く」という仕組みそのものは、日本の戦後政治のあちこちに、はっきり痕跡を残しています。 対米自立を言い出した政治家が、どういう形で表舞台から消えていったか。その並びは、前回までの記事で見てきたとおりです。
私がこの一年、満州から統一教会から創価学会まで追いかけてきて行き着いたのは、特定の誰かが悪い、という話ではありませんでした。
この国の政治家は、外国に弱みを握られる場所に、自分から座りに行った。 選挙に勝つために宗教団体の動員を借り、資金を借り、秘書まで受け入れた。借りたものには値札が付いていて、その値札を握っていたのは日本人ではなかった。
だから、この構造を変える方法は一つしかありません。 宗教団体の動員がなくても、怪しい資金がなくても勝てる政治家を、私たちが選ぶことです。それは、投票する側が「誰に借りがある人なのか」を見るようになる、ということです。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「池田大作氏が創価学会の資金でノリエガの麻薬取引を支えていた」というのは事実ですか。
A. 事実として確認されたものではありません。 出どころは、ニューヨーク市立大学の霍見芳浩教授が1994年の著書『アメリカ殺しの超発想』に書いた内容で、同書は「CIAに近いアメリカ人が聞かせてくれた」伝聞としてこの話を紹介しています。創価学会側が認めた記録はなく、裁判で確定したものでもありません。 国会会議録を検索しても、池田氏とノリエガを結びつけて取り上げた記録はありません。一方、池田氏が1974年3月にパナマを訪問しノリエガと会見したこと自体は、創価学会側の資料で確認できます。
Q2. ノリエガとCIAの関係は、どこまで公的に確認されていますか。
A. かなりの部分が公式に確認されています。 ノリエガは1967年にアメリカ陸軍米州学校で諜報・防諜の訓練を受け、フォート・ブラッグで心理作戦のコースを受講し、1988年2月までCIAに籍を置いていました。CIAは彼に16万ドルを支払ったと認めており、訴追側は陸軍とCIAで約32万ドル、弁護側は1,100万ドル以上と主張しました。金額には争いがありますが、支払いの事実そのものはアメリカ政府が認めています。
Q3. 「CIAが麻薬に関わっていた」というのは陰謀論ではないのですか。
A. 少なくとも一件は、CIA自身が認めています。 1998年、CIAの監察長官は、何十ものコントラ部隊がコカイン取引に関与していたこと、レーガン・ブッシュ政権が証拠の多くを隠していたことを認めました。これは内部調査の結果です。ただし「CIAが組織として麻薬を売っていた」という形で確認されたわけではありません。 確認できているのは「取引に関与する勢力を使い、その事実を伏せていた」という範囲です。
Q4. この記事に出てくる「オザワ告発リポート」は実在するのですか。
A. 実物を私は確認していません。 霍見氏の著書に、「ワシントン発、94年5月2日」とされる匿名の4ページ半の文書として紹介されているものです。著者は筆者を「40歳代以上のアメリカ人男性で、国務省またはCIAの日本担当のアナリストか、彼らに近い政治学者」と推察していますが、これも推定です。文書そのものの公開や、筆者の特定はされていません。
今回の配信はこちら
創●学会、小沢一郎と南米要人、CIA、ブッシュ、自民党、すべてつながる… 自民党とCIAと宗教の黒々した秘密
(金子吉友の反DSチャンネル『あつまれニュースの森』/2026年10月23日配信)

