こんにちは。金子吉友です。
あの、大敗したはずのカマラ・ハリスが、還ってくるかもしれません。 「ハリス陣営が、2028年大統領選への再出馬を準備している」──そんな噂が、いまアメリカで流れ始めています。
ですが、今日の本題は、ハリス個人の去就ではありません。この噂の裏側で、民主党という政党そのものが、音を立てて割れ始めているのです。片や、AIPAC(イスラエル・ロビー)が支援する伝統的な主流派。片や、急成長する社会主義勢力DSA。そして共和党側の本命は、ピーター・ティールが後ろ盾のJ・D・ヴァンス副大統領。
つまり2028年のアメリカ大統領選は、「シオニズムか、社会主義か」という究極の選択を迫られる選挙になりつつあるのです。今日は、いま民主党の内部で起きている分裂の実態から、この「カオス」の構図を読み解いていきます。
カマラ・ハリス「再出馬」の噂──情報源はアンドリュー・ヤン氏の伝聞

まず、冒頭の噂の出どころを、正確に押さえておきましょう。ここを曖昧にすると、それこそ「事実の空白に物語を流し込む」ことになってしまいますからね。
「カマラ・ハリスが2028年大統領選への再出馬を準備中」──この情報は、実は主要メディアが報じたものではありません。 発信源は、アンドリュー・ヤン氏。台湾系アメリカ人の政治家・起業家で、152万人以上のフォロワーを抱えるインフルエンサーでもあり、自ら政党を立ち上げた人物でもあります。
そのヤン氏が、こう投稿したのです。「ハリス陣営が、彼女が再び大統領選に出る準備をしていると聞いた」と。
お分かりでしょうか。これは「伝聞」です。確定情報ではありません。ですから、この噂自体は割り引いて見る必要があります。
そのうえで、私の見立てを申し上げます。仮にハリスが出てきたとしても、彼女は前回の選挙で、トランプ大統領に大差をつけられて敗れています。惨敗です。 その彼女が再び出てきたところで、勝てるということにはならないでしょう。他に有力な候補がいなければハリスが出てくるのでしょうが、出たところで人気がない。 そういう候補なのです。
では、なぜこの「弱い候補」の名前が今ごろ浮上するのか。答えは、民主党の内部にあります。 民主党はいま、ハリスのような主流派の候補を立てるのか、それともまったく別の勢力の候補を立てるのかをめぐって、引き裂かれつつあるのです。
考えてみれば、これは奇妙な話です。前回、歴史的な大敗を喫した候補の名前が、性懲りもなく再浮上する。 普通の政党であれば、敗戦の総括を経て、新しい顔を立てるはずです。それができない。つまり民主党の主流派には、ハリス以外に「全国区で戦える顔」が育っていないということです。バイデン時代から続く人材の枯渇。そこに、後で述べる社会主義勢力の台頭が重なって、党内の権力闘争が露呈し始めた──これが、いまの民主党の姿なのです。
※参照:アンドリュー・ヤン氏のSNS投稿(2026年7月)/金子吉友『あつまれニュースの森』2026年7月28日配信「カマラ・ハリス出馬の噂 2028年大統領選はカオス!!」
民主党でいま何が起きているのか──AIPAC系候補が「社会主義DSA」に連敗中

いまの民主党を理解するキーワードは、DSA(アメリカ民主社会主義者)です。
DSAは、アメリカ最大の社会主義団体です。会員数は10万人を超え、ニューヨーク市長選での勝利以降、さらに急増しています。そしていま民主党の内部では、このDSAが推す社会主義系の候補と、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)が支援する伝統的な主流派・中道派の候補という、二大勢力がせめぎ合っているのです。
DSAは政党ではありません。民主党の候補者の中から「推す候補」を選び、組織力と草の根の運動員で選挙を戦う「党内党」のような存在です。かつてその「顔」だったのがバーニー・サンダース氏であり、いまの看板がAOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)議員とマムダニNY市長です。白人のエスタブリッシュメントが仕切ってきた伝統的な民主党に対し、若者・移民・低所得層を基盤にした社会主義勢力が、内側から党を乗っ取りつつある──そういう構図だと考えてください。
AIPAC系候補が、立て続けに負けている
注目すべきは、その勝敗です。今年2026年の2月のニュージャージー、そして6月のニューヨークと、AIPACが支援する候補が、DSA系の候補に立て続けに敗れているのです。
なぜか。イラン戦争とガザの戦争を経て、イスラエルという国の本質があらわになり、アメリカ国民のあいだで「イスラエル離れ」が起きているからです。いまや「親イスラエルであること」が、選挙における負債になりつつある。「AIPACが支持している」と分かれば、有権者は「こいつはイスラエルの手先だな」と敬遠する。逆に、AIPACが支持していない候補に共感が集まる。この逆転現象が、選挙結果に如実に表れ始めているのです。
この構図は、イラン戦争の記事でお伝えした、戦争に反対したマッシー議員がAIPAC系の約20億円で落選させられた話の、いわば裏返しです。ロビーの金はいまも議員を縛っていますが、有権者の側が、その金を見抜き始めたということです。
ここは強調しておきたいのですが、「AIPACの支援」は長年、アメリカの選挙で最強の武器でした。豊富な献金、組織票、メディアの好意的な扱い。議員たちは、AIPACに逆らえば対抗馬に資金を注がれて落選させられるからこそ、9割以上がロビーに従ってきたのです。その最強の武器が、いま初めて「持っているだけで負ける武器」に変わりつつある。 これは、アメリカ政治の地殻変動と言っていい現象です。そしてこの変動は、イギリスのバーナム政権の記事でお伝えした「政権が代わってもイスラエル・ロビーの構造は変わらない」という英国の姿と、ちょうど対をなしています。ロビーの支配と、それに対する有権者の反乱。大西洋の両側で、同じ火種がくすぶっているのです。
マムダニNY市長という「事件」
その象徴が、ニューヨークのゾーラン・マムダニ市長です。
ニューヨークというのは、伝統的に富裕層が市長を選んできた街です。ウォール街のお膝元であり、金融資本の意向を無視して市長になることは不可能とすら言われてきました。その街で、ウガンダ出身のムスリムで、政治家としての実績がほとんどない無名の若者が、ニューヨークの富豪たちが支援し、トランプ大統領までバックについていたクオモ候補を破って当選するという、ミラクルを起こしました。ニューヨーク市民が、金融エリートたちに「ノー」を突きつけた形です。
マムダニ氏は、イスラエルを非常に厳しく批判してきた政治家でもあります。ガザの惨状を目の当たりにして「イスラエル離れ」を起こしたニューヨークの市民たち──とりわけ若い世代が、彼のもとに集まったのです。かつて「反イスラエルを口にしたら政治生命が終わる」と言われた街で、反イスラエルを公言する候補が勝つ。 時代の変わり目を、これほど象徴する出来事はありません。
ただし、マムダニ氏を「ただの社会主義者」と見ると、本質を見誤ります。私が注目しているのは、その支援構造です。
- ジョージ・ソロス氏の支援:ソロス氏はトランプ大統領と激しく対立してきましたから、トランプと犬猿の仲のマムダニ氏を支援するのは「敵の敵は味方」の構図です。
- ムスリム系団体の資金:アラブ系のロビー団体とその傘下のPAC(政治活動委員会)を経由して、複雑で分かりにくい形で資金が流れています。しかも、そのロビー団体の設立経緯をたどるとハマスと関係のある組織に行き着き、団体の一つはUAEからテロ組織認定すら受けています。
そして重要なのは、DSAという勢力そのものが、単なる社会主義ではないことです。DSAは、社会主義であると同時に、強烈な親パレスチナ・反シオニズムなのです。この「社会主義+反シオニズム」という組み合わせこそ、いまの民主党の地殻変動の正体です。
この流れを、系譜として眺めてみてください。2016年と2020年、サンダース氏が大統領予備選で巻き起こした「政治革命」の熱は、主流派の壁に阻まれて頂点には届きませんでした。ですがその熱は消えることなく、2018年に当時28歳のAOCを下院に押し上げ、そして2026年、マムダニ氏をニューヨーク市長の椅子に座らせたのです。世代を継いで、着実に「上」へと迫っている──これがDSAの怖さです。一過性のブームではなく、10年がかりの組織運動として、民主党を内側から作り替えつつある。そしてその原動力になっているのが、学生ローンと家賃に苦しむ若い世代の絶望です。「資本主義は自分たちに何もくれなかった」と感じる世代は、社会主義の看板に抵抗感を持ちません。ここが、冷戦を知る上の世代との、決定的な断層なのです。
予備選日程が火をつけた「党内分裂」──サウスカロライナ先行は左派封じか

そんな中、決定的な火種が投げ込まれました。2028年大統領選に向けた、民主党予備選の日程です。
Axios(アクシオス)は7月26日の記事で、民主党内が明確に分裂していると報道。ブルームバーグも、この予備選スケジュールをめぐって党内に波紋が広がっていると報じました。複数のメディアが同時に「民主党の分裂」を書き始めたのです。
なぜ「日程」ごときで割れるのか
公開された日程は、1月22日のサウスカロライナから始まり、次にネバダ、その後ニューハンプシャーなどへ続くというものです。ここで議論になったのが、「なぜサウスカロライナが最初なのか」という点でした。
鍵は、バーニー・サンダースです。サンダース氏は社会主義を掲げる進歩派の重鎮で、DSAがかつて「顔」として支援してきた人物。大統領選にも何度も出馬してきました。そのサンダース氏は、過去の予備選で、南部のサウスカロライナではことごとく勝てていません。 南部では票が取れないのです。逆に、ネバダでは勝ててきた実績があります。
思い出してください。2020年の民主党予備選でも、序盤に勢いに乗ったサンダース氏の前に立ちはだかったのが、まさにサウスカロライナでした。ここで主流派が一気に巻き返し、サンダース氏の勢いは止まった。「南部の州は、進歩派の防波堤」──これは民主党主流派にとって、実証済みの必勝パターンなのです。その州を、わざわざ予備選の先頭に置く。この配置の意味を、進歩派が読み取れないはずがありません。
もうお分かりですね。「サウスカロライナを最初に持ってくるのは、緒戦で進歩派を叩き、その勢いを封じ込めるためではないか」──そういう批判が、党内から噴き出しているのです。DSA系候補が次々に勝っている流れの中で、この日程は「左派封じ」に見える、と。
26対19という数字が示すもの
私が注目したのは、この日程が投票で決められたという事実です。民主党全国委員会の規則委員会のメンバーによる投票で、結果は26対19でした。
19人が反対したということです。つまり、党の中枢にすら、「ネバダを先にすべきだ」=進歩派に有利な日程を支持する勢力が、これだけいるということなのです。民主党の内部では、「DSAの候補を立てた方が勝てるのではないか」という考え方が、確実に広がりつつあります。
考えてみれば、当然の計算です。AIPAC系の主流派候補は現に負け続けており、有権者の「イスラエル離れ」は止まらない。 勝てる候補を立てるのが政党の本能だとすれば、勝っているDSA系に舵を切るのは合理的なのです。ですが、それは同時に、党を長年支配してきたエスタブリッシュメントとロビーの資金構造を、自ら手放すことを意味します。だからこそ主流派は日程操作という「制度の武器」で抵抗する。理念の対立に見えて、実は既得権益をめぐる生存闘争──これが民主党分裂の本質です。
このまま行けば、どうなるか。いまDSA所属で最も人気があるのは、AOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)議員です。社会主義者で、反イスラエル。AIPACから一切金を受け取っていないことが、逆に人気の源泉になっています。イラン戦争の記事で触れたように、NDAAの危険な条項に警鐘を鳴らした数少ない議員でもあります。私は、AOCは2028年の予備選に出てくると見ています。予備選で勝てるかどうかは別として、負けたとしても、副大統領候補に指名される可能性が高い。 ハリスが大統領候補になるにせよ、その隣にAOCが立つ構図は、十分にあり得るのです。
整理しましょう。「大統領候補ハリス+副大統領候補AOC」あるいは「AOCが予備選を勝ち抜く」──どちらに転んでも、民主党のチケットには社会主義・反シオニズムの色が濃く入り込むということです。主流派が日程操作で抵抗しても、DSAの勢いはもう、党の外枠を壊すところまで来ている。 これが「カオス」の第一の意味です。
※参照:Axios(2026年7月26日付・民主党の党内分裂に関する報道) ※参照:ブルームバーグ(民主党予備選日程をめぐる党内対立の報道)
マムダニ市長の「公営食料品店」は成功するのか

ここで、いま話題になっているマムダニ市長の目玉政策にも触れておきましょう。今後のアメリカの方向性を占う、試金石だからです。
マムダニ市長は、政府運営の食料品店5店舗をオープンし、価格を小売価格の30%引きに設定すると発表しました。「社会主義の公約を実行し始めた」と話題です。
ただし、報道であまり取り上げられていない中身を見ると、実態はやや異なります。
- ニューヨーク市が土地と建物を所有し、日常の運営は民間のオペレーターが行う「ハイブリッド型」です。政府が直接運営するわけではありません。
- 割引の対象は卵・パン・牛乳・米・パスタ・肉・魚などのコア商品に限定され、月1回、小売価格の30%引きセールを行うという設計です。「すべての商品が常に3割安くなる」わけではないのです。
私は、これがうまくいくとは到底思えません。 理由は三つあります。第一に、近所の小売店が打撃を受け、小さな店舗が潰れていく。第二に、そのコストは結局、市民の税金で負担される。第三に、過去にカンザスシティなどで試みられた公営スーパーは、うまくいかなかったという前例があるからです。
当選したばかりで実績がないため、計画だけを発表して「公約は守っています」と示すパフォーマンスの側面もあるでしょう。実現は来年以降、効果が見えるのは2〜3年後です。ですが確実に言えるのは、DSA系の知事や議員が増えれば、この種の社会主義的政策がアメリカ中に広がっていくということです。
そして、ここに一つの皮肉があります。低所得層を助けるはずの政策が、地域の小さな商店を潰し、税負担を重くし、結果として街を貧しくしていく。 社会主義的な再分配政策が繰り返し陥ってきた罠です。それでも人々がこの政策に飛びつくのは、それだけアメリカの物価高と格差が、庶民の生活を追い詰めているからにほかなりません。「公営スーパーが支持される」こと自体が、アメリカという国の衰弱の症状なのです。
共和党の本命J・D・ヴァンスと、その背後にいるピーター・ティール

では、対する共和党はどうか。本命は、J・D・ヴァンス副大統領でしょう。組み合わせとしては、ヴァンスとルビオ国務長官のコンビが有力です。
ここで見るべきは、ヴァンス氏個人ではなく、その背後にいる人物です。
現職のトランプ大統領は、憲法の規定で三選はありません。だからこそ共和党の2028年は、「トランプの後継を誰にするか」ではなく「トランプ路線を誰が相続するか」の争いになります。そして、その相続人の椅子に最も近いのがヴァンス氏であり、その椅子を用意した人物こそが、これから述べる男なのです。
ピーター・ティール。 PayPal創業者にして、シリコンバレーの右派の帝王です。ヴァンス氏は大学を出た後、ティール氏の投資会社ミスリル・キャピタルで働き始め、そこで師弟関係を結びました。 いわばヴァンスは、ティールの一番弟子なのです。そしてヴァンスを副大統領候補に押し上げたのも、ティール氏です。 トランプ大統領に対して「副大統領にはヴァンスを指名しろ」と働きかけたことは、以前お配りした「トランプ大統領とピーター・ティールの相関図」でお示しした通りです。
そのティール氏と共にパランティア社を共同創業したアレックス・カープ氏は、強烈なシオニストとして知られるユダヤ系の人物で、パランティアはイスラエルべったりの企業です。ティール氏自身はユダヤ系ではありませんが、やはり親イスラエル。つまりヴァンス氏は、シオニズムの系譜に連なる候補だと私は見ています。
パランティアという企業についても、少し補足しておきます。同社はビッグデータ解析を武器とする情報企業で、CIAをはじめとする米情報機関や国防総省を主要顧客としてきました。つまりティール人脈は、「シリコンバレーの金」と「安全保障の中枢」の両方に足場を持っているのです。その企業がイスラエルと密接であり、その創業者が、次期大統領の最有力候補を「弟子」として育ててきた。2028年の共和党のチケットは、事実上、この人脈の掌の上にあると言っても過言ではありません。
「いや、ヴァンス副大統領は最近、イスラエルに厳しい発言もしているじゃないか」と思われるかもしれません。確かにそうです。ですが、実際に大統領選挙になれば、イスラエル・ロビーとメガドナーからの献金が必要になる。だからシオニズム寄りの発言をしていかざるを得ないのです。 トランプ大統領も、そうでした。2015年ごろまでは、イスラエル・ロビーを敵に回すような発言を平気でしていた。それが選挙になると、彼らの金が必要になり、変わってしまった。 ヴァンス氏も、同じ道をたどるでしょう。
個人の信条など、この構造の前では、ほとんど意味を持ちません。誰が候補になっても、共和党の候補である限り、ロビーの金と組織を無視しては戦えない。イスラエル・ロビーが、事実上アメリカの大統領を決めている──イラン戦争がえぐり出したこの構造は、2028年も変わらないのです。ネタニヤフの圧力やクシュナーの影響といった個別の要因はあっても、それらは構造の上に咲いた花にすぎません。根は、ロビーによる政治の掌握そのものにあります。
まとめ──シオニズムか社会主義か。どちらを選んでも「カオス」なアメリカ

ここまでの構図を、整理します。
もちろん、公平を期して申し上げれば、ハリス再出馬はまだ伝聞の段階であり、AOCの出馬も私の予測です。マムダニ市長の政策も、始まってすらいません。断定できる段階にないものは、断定しない。 そのうえで、動かしがたい流れがあります。
- 民主党側:AIPAC系の主流派候補が連敗し、DSA=社会主義かつ反シオニズムの勢力が急伸。予備選日程をめぐり党は26対19に割れた。このまま行けば、民主党から出てくるのは強烈な社会主義・反シオニストの候補です。
- 共和党側:本命ヴァンス氏の背後にはピーター・ティールとパランティアがおり、選挙の金を握るのはイスラエル・ロビー。つまり共和党から出てくるのはシオニズムの候補です。
2028年のアメリカ大統領選は、「シオニズムか、社会主義か」を選ばされる選挙になる。以前この配信で提示した予測が、複数メディアの報じる「民主党分裂」によって、いよいよ濃厚になってきたということです。どちらを選んでも、良い未来は開けない。だから私は「カオス」と呼ぶのです。
表層ではなく、構造を見てください。
実は昨日、私はチャンネル桜の討論番組に出演してきました。テーマは「ワシントンからトランプまで、アメリカとは何だったのか」。4時間近い討論で私が申し上げた結論は、こうです。アメリカが本当に独立していたのは、建国から南北戦争までの約90年間だけ。それ以降は、英国系・ユダヤ系のグローバリストたちに振り付けられた「道具」だった──と。
「アメリカは、独立宣言の理念に輝く自由の国だった」──私たちはそう教えられてきました。ですが、中央銀行の設立をめぐる攻防、南北戦争、そして20世紀の二つの大戦。節目節目でこの国の舵を握ってきたのは、国際金融資本でした。 ワシントンからトランプまでを振り返ったとき、浮かび上がるのは「自由の国」ではなく、「使われてきた国」の姿なのです。
だからこそ、誰が大統領になっても、アメリカがかつての覇権国として復活することは、もはやありません。 イラン戦争を始めてしまったツケはあまりに大きく、中間選挙は共和党に厳しい結果となるでしょう。トランプ政権の間に、アメリカはもっとボロボロになっていく。取り返しのつかないところまで突き進んでいくしかない──それが私の見立てです。討論では、マックス・フォン・シュラー小林氏が「中間選挙が実施されない事態や、内戦すらあり得る」と指摘されていました。宗教問題に詳しい小川寛大氏は、アメリカ南部を実際に取材され、昼間から酒や薬に沈み、仕事もなく、産業も起こせない地方の実態を語られていました。数字の上の経済成長は、金融・IT・AIといった実態の見えにくい産業のもので、恩恵にあずかるのは北部やシリコンバレーの一握り。中間層は、もはや幻想なのです。
思い返せば、ソ連が崩壊したのは1991年でした。あのとき世界は「社会主義の敗北、資本主義の勝利」を確信したはずです。それから約35年。その勝者だったはずのアメリカで、社会主義が最大の政治潮流として蘇りつつある。歴史の皮肉と言うほかありません。しかも、それを育てたのは外部の敵ではなく、格差と戦争という、アメリカ自身が作り出した病なのです。
ここで、あえて視点を引いて見てみましょう。日本の大手メディアは、この民主党の分裂をほとんど報じません。報じるとしても、「ハリス氏再登板か」といった表層の人事話に終始するでしょう。ですが本当のニュースは、アメリカの二大政党制そのものが、イスラエル・ロビーへの態度を軸に組み替わりつつあるという、構造の変化です。「民主党 対 共和党」という見慣れた枠組みで眺めている限り、この地殻変動は見えません。「ロビーに従う勢力」対「ロビーに逆らう勢力」という新しい対立軸で見たとき、初めて、マムダニ氏の当選も、予備選日程の攻防も、ヴァンス氏の立ち位置も、一本の線でつながるのです。
そして、私たち日本は、この光景を他人事として眺めていてはいけません。 国家情報局の記事でお伝えした通り、日本はそのアメリカに、安全保障も、情報も、経済も委ねてきました。委ねた先の国が、「シオニズムか社会主義か」という不毛な二択に引き裂かれ、内戦の可能性まで語られながら、衰退の道を確定させつつある。沈みゆく船に、私たちは国の命運を縛りつけたままでよいのか。ならば日本は、誰に、何を委ねるのか。真の独立とは何か、真の主権とは何か。 アメリカの2028年は、私たち自身の未来を映す鏡として、静かに見つめ続けなければなりません。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
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今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. カマラ・ハリスの2028年再出馬は確定情報ですか? いいえ、確定ではありません。情報源は台湾系アメリカ人の政治家・起業家アンドリュー・ヤン氏(フォロワー152万人超)の「ハリス陣営が再出馬を準備していると聞いた」という伝聞投稿で、主要メディアは報じていません。前回大敗しているため、出馬しても勝てないだろうと金子は見ています。
Q2. DSA(アメリカ民主社会主義者)とは何ですか? 会員10万人超の、アメリカ最大の社会主義団体です。単なる社会主義ではなく強烈な親パレスチナ・反シオニズムの立場を取り、AOCやマムダニNY市長を支援。AIPAC支援の民主党主流派候補を選挙で連破しており、民主党内の勢力図を塗り替えつつあります。
Q3. なぜ民主党の予備選日程が「党内分裂」を招いたのですか? 2028年予備選が進歩派のサンダースが勝てない南部サウスカロライナ(1月22日)から始まる日程になったため、「進歩派・DSA系の勢いを緒戦で封じ込める狙いだ」との批判が噴出したからです。規則委員会の投票は26対19で、党中枢にも19人の反対がいたことが分裂の深さを示しています。
Q4. J・D・ヴァンス副大統領はなぜ「シオニズムの系譜」とされるのですか? ヴァンス氏はピーター・ティール氏の投資会社ミスリル・キャピタル出身の「一番弟子」で、副大統領候補への指名もティール氏がトランプ大統領に働きかけたものです。ティール氏と共にパランティアを創業したアレックス・カープ氏は強烈なシオニストで、同社はイスラエルと極めて密接なため、金子はヴァンス氏をシオニズム系統の候補と分析しています。

