こんにちは。金子吉友です。
日本に住む外国人が1000万人を超える。そんな時代が、本当にやってくるかもしれません。
現在、日本に住む外国人はすでに400万人を超えています。 そして日本政府自身が、将来、外国人が人口の10%台を占める可能性も視野に入れながら、外国人受け入れの基本的なあり方そのものを検討し始めています。
ところがここで、非常に興味深いデータが出てきます。
いまから26年前、国連は人口減少が進む日本について、あるシミュレーションを行っていました。そこで出てくる数字が——
17.7%
この17.7%とは、いったい何なのか。

今日は、次の3つの問いをたどります。
- 26年前の国連の人口シミュレーションと、いま進んでいる日本の外国人受け入れ政策には、どこまで接点があるのか
- 日本の外国人政策は、どこで議論され、どのように政府や与党の政策へつながってきたのか。その「経路」
- 日本より先に大規模な移民問題を経験してきたヨーロッパでは、いま何が起こり、何が始まろうとしているのか
そして先に申し上げておくと、ヨーロッパの動きは、日本とまったく逆を向いています。
今日は、国連と日本政府の一次資料を中心に、この問題に迫っていきます。

26年前、国連が出した「17.7%」という数字

まず、この数字の出どころからです。
2000年に国連人口部が出した報告書があります。タイトルは——
『Replacement Migration: Is It a Solution to Declining and Ageing Populations?』
日本語にすれば「補充移民は、人口減少と高齢化への解決策となるのか」。
このReplacement Migrationというテーマは、このチャンネルでも複数回にわたって解説してきました。
ポイントは、「リプレイスメント」をどう訳すかで、意味合いがまったく変わってしまうということです。
- 日本政府はこれを「補充移民」と訳しています
- 私は「置き換え」「入れ替え」と訳してきました
「補充」と取れば、人口減少の分をどう穴埋めするのかという話になります。 ですがレポートを読んでいくと、「置き換える」という意味のほうが本質を突いているのではないか。私はそう解説してきました。
17.7%という数字の中身

この報告書は、人口減少や高齢化が進む国に一定数の移民が入った場合、人口構造がどう変化するのかを、いくつものシナリオで計算したものです。そして対象国の一つに、日本が入っています。
日本の人口規模を維持するシナリオでは、こう試算されています。
- 2005年から2050年までに必要となる純移民は、約1,700万人
- 年平均にすると、約38万人
- そして2050年には、1995年以降に入ってきた移民とその子孫が、日本全体の人口の17.7%を占めることになる
人口規模をこのまま維持しようとするなら、24年後には人口の17.7%になるまで移民を入れなければならない。そういう計算です。
これが国連文書に実際に書かれている数字であり、この17.7%という数字が、ここから一人歩きしてきたわけです。
ただし、ここは断定してはいけません

重要なので、はっきりさせておきます。
これは、国連が日本政府に「17.7%の移民を受け入れなさい」と言っているわけではありません。
あくまで人口学上のシミュレーション、計算結果として示された数字です。 国連が日本に数値目標を課したという話ではない。ここを混同すると、議論全体がおかしくなります。
8か月後、欧州委員会がこの報告書を引用した

そして、この国連報告書が発表された8か月後です。
欧州委員会が、EUの共通移民政策について公式文書を発表しました。 文書番号はCOM(2000)757。
この中で、国連の『Replacement Migration』の内容が実際に引用されています。
もちろん、EUがReplacement Migrationをそのまま政策として採用すると言っているわけではありません。引用しただけです。
しかし、人口減少、高齢化、労働力不足。これらの問題に対して移民がどのような役割を果たすのかを、欧州委員会が公式文書の中で議論していた。
こうした問題が、すでに25年以上前から現実の政策課題として欧州でも議論されていたということです。
日本政府も2004年に「補充移民論」を検討していた

では、日本政府はこの国連報告書をどう捉えていたのか。
実は、日本政府もこの報告書を認識していました。
2004年の内閣府の政府審議会資料を見ると、そのものズバリ「補充移民論等」という項目が出てきます。 そこでは、国連人口部が2000年に提示した補充移民について、具体的に検討されているんです。
つまり国連の補充移民論は、少なくとも20年以上前から、日本政府内部でも正式な検討材料になっていた。
ただし当時の議論は、非常に慎重なものでした。
「大量の移民によって人口減少や高齢化を解決することは現実的ではない」——そういう議論がなされていたわけです。
この20年で、何が変わったか

ところが、20年以上が経って変わってきました。
- 在留外国人は現在、400万人を突破しました
- 外国人労働者という括りで捉えても、250万人を超えています
- そして2026年、日本政府は「外国人の受け入れの基本的なあり方」そのものについて検討を始めています
この変化を、もう一度並べてみてください。
2004年の日本政府は、「大量の移民で人口減少を解決するのは現実的ではない」と言っていました。 ところが2026年の日本政府は、「外国人の受け入れの基本的なあり方」そのものを検討し、今年度中に基本方針をまとめようとしている。
同じ問題に対する答えが、22年で正反対に近いところまで動いたということです。 そしてその間、この転換について国民的な議論が行われた記憶は、私にはありません。
2026年8月7日、政府がワーキンググループを立ち上げた

2026年8月7日、政府はあるワーキンググループを立ち上げました。
「外国人の受入れの基本的な在り方の検討のためのワーキンググループ」。名前だけ聞くと非常に地味です。ですが議論している中身は、かなり重要です。
将来、日本に住む外国人は何人になるのか。外国人の増加が日本経済や社会にどのような影響を与えるのか。日本は外国人をどのように受け入れていくべきなのか。
こうした問題を検討し、政府は今年度中に基本方針をまとめようとしています。
政府推計──2070年に10.8%

では、日本の外国人人口は将来どこまで増えると推計されているのか。政府のワーキンググループで示された資料には、こう書かれています。
- 2020年──外国人人口は約275万人、総人口の2.2%
- 2030年──3.5%
- 2040年──5.2%
- 2050年──7.0%
- 2070年──外国人人口は約939万人、総人口の10.8%
およそ、日本の人口の9人に1人が外国人になるという数字です。
冒頭で「外国人1000万人時代」という話をしましたが、政府が検討材料としている人口推計でも、1000万人に近い数字が実際に出てきているわけです。
ただし、ここも正確に。
これは政府が「外国人を2070年までに10.8%にする」という目標ではありません。 一定の条件を置いた将来人口推計です。いまの増加率を勘案するとこのくらいになる、という数字であって、政策目標ではない。
17.7%と15.1%は、並べられない

さらに、国立社会保障・人口問題研究所——いわゆる社人研——が、外国人の流入数を変えた条件付きの推計も出しています。
外国人の純流入を年間25万人程度と仮定したケースでは、2070年の外国人人口比率は15.1%になります。
国連の最初の数字17.7%と、かなり近い数字が出てきている。
ですが——ここは慎重に見てください。
- 国連の17.7%は「1995年以降に入ってきた移民とその子孫」という基準です
- 社人研の15.1%は「外国人の実人口」という基準です
計算式が違うので、この二つを単純に並べることはできません。「国連の数字を日本政府が実行している」という話でもない。
それでも、いちばん重要なのはここです。
26年前には人口学上のシミュレーションだった「人口減少を外国人によってどこまで補うのか」という問題が、いま日本政府が基本方針を作る、現実の政策課題になっている。
政府は「人口の1割が外国人の時代」を見据えて、外国人政策を進めているということです。
「国際貢献」から「人材確保」へ──育成就労制度

日本の外国人政策の変化を、非常に象徴的に表しているのが育成就労制度です。
これまでの技能実習制度は、建前としては「日本で身につけた技能を母国へ持ち帰っていただく」=国際貢献という位置づけでした。 もっとも、実態を見ていくと非常にひどいものだったわけですが。
ところが、来年から始まる新しい育成就労制度は違います。 目的として掲げられているのが——
人材育成、そして人材確保。
ここが決定的な違いです。
日本語があまり話せない方も、技術を習得していない方も歓迎して、日本で育成していく。そういうコンセプトですから、高度人材が育成就労で来ることは、ほぼありません。
日本の人手不足に対応するために外国人材を確保する。それが制度の目的として、はっきり明示されたということです。
20道県が海外へ「獲りに行く」──自治体外交

しかも、外国人を確保しようとしているのは日本政府だけではない。その実態が明らかになりました。
2026年9月4日、産経新聞が47都道府県を対象に行った調査結果を報じています。
- 外国人を確保するために、海外の政府機関などと自治体独自の協力覚書を結んでいる——そう回答した自治体が、すでに20道県
- さらに愛知、京都、岡山、熊本の4府県が締結を検討している
- 相手国としてもっとも多いのがベトナム。続いてインドネシア、インド
- 一つの国だけでなく、複数の国と覚書を結んでいる自治体まで現れています
産経新聞はこれを「自治体外交」**と表現していました。
なぜ、自治体が自分で獲りに行くのか

自治体の回答を見ると、理由は非常に明確です。
人口の減少と、人手不足。
そしてもう一つ。円安やアジア新興諸国の経済成長によって、日本が外国人労働者から無条件に選ばれる国ではなくなってきているということです。
日本に来ても円安ですから、稼いで本国に送金しても、他のアジア諸国のほうが稼げるかもしれない。 東南アジアの人たちがインバウンドで日本に来ると、物価の安さに驚いて帰っていく。そういう時代です。
出稼ぎ先として、日本はもう魅力的ではない。 しかも単純労働だけを任されて技能も習得できないなら、技能実習としての魅力もない。
だから地方自治体が自ら動かなければ、外国人が来てくれない。やむを得ずやっている、というのが実態です。
さらに16道府県が、「労働力人口が減少する中で、地域の持続的発展には外国人材の受け入れが重要である」という趣旨の回答をしています。
ここまで来ると、外国人政策は単なる労働力不足の問題ではなくなります。 外国人の受け入れが「地域の存続」という問題と結びつき始めている。これは私の見立てです。
「移民1000万人時代」を唱える人物

そしてここからが、今回調べていて非常に興味深かったところです。
『移民1000万人時代──2040年の日本の姿』(朝日新書)という本を書いたのが、毛受敏浩(めんじゅ・としひろ)氏です。
毛受氏は、JCIE(日本国際交流センター/Japan Center for International Exchange)の執行理事を務めています。
非常に直接的なタイトルですよね。「移民1000万人時代」と、もう歌っているわけです。
毛受氏は、現在の外国人人口の増加ペースを考えれば、2040年代には日本に住む外国人が1000万人規模に達する可能性が極めて高いと指摘しています。
実際、そうなるでしょう。過激な本でも何でもありません。
育成就労で123万人を受け入れていくわけです。そのうち一定数が特定技能1号、2号へと上がっていく。 規制も緩和されていくでしょうから、特定技能2号になれば家族帯同が認められる。そこで本国から10人規模、下手をすると20人規模の家族が呼び寄せられる。 家族帯同の人数制限はありません。
このまま行けば1000万人は、2040年を待たずに、10年以内に実現してしまう可能性があります。
日本政府は「育成就労は移民制度ではない」「移民政策ではない」と言っています。 ですが実質的には、特定技能2号まで行って永住権を取得することを狙える制度です。 政府が何と言おうが、これは実質的な移民制度なんです。
「定住する日本社会」をどう設計するか

毛受氏の議論でもう一つ重要なのが、外国人を単なる労働力としてだけ見ていない点です。
人口が減少する地方をどう維持するのか。地方経済をどう再生するのか。 そして外国人が長期間日本で生活することを前提として、日本語教育、子どもの教育、社会保障、地域社会との共生。そうした制度を今から整備していく必要があると主張しています。
これは、別に間違った話ではありません。実際に人口が膨れ上がっていけば、そうなってくるでしょう。
つまり議論は「外国人労働者を一時的に受け入れる」という発想から、「外国人が定住する日本社会をどう設計するのか」という段階へ進んでいるわけです。 先ほどの20道県の動きとも、かなり重なってきます。
JCIEから自民党へ──政策形成のネットワーク

ここで、JCIEという組織そのものを見ておく必要があります。
JCIEには「外国人材の受入れに関する円卓会議」というプロジェクトがあり、毛受敏浩氏はこの円卓会議の事務局長を務めてきました。
なお、JCIEのシニアフェローには、元厚生労働大臣の武見敬三参議院議員も名を連ねています。
そして円卓会議のメンバーを調べていくと、一人の国会議員の名前が出てきます。
笹川博義(ささかわ・ひろよし)衆議院議員です。
では、笹川議員は自民党の中でどんな仕事をしていたのか。
- 自民党「外国人労働者等特別委員会」の事務局長
- 「グローバル人材共生推進議員連盟」でも、事務局長
ここで、笹川という名前について触れておきます
笹川博義議員の祖父にあたるのが、笹川良一氏(1899〜1995)です。
戦後の日本を考えるうえで、避けて通れない人物なので、事実関係だけ整理しておきます。
- 第二次世界大戦後、A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに約3年間収監されました。ただし最終的に不起訴となり、釈放されています
- 釈放後は右翼運動家として活動し、1963年には世界基督教統一神霊協会(統一教会)の日本進出に協力しています
- そして1968年には「国際勝共連合」の名誉会長に就任しました(1972年に辞任)
- また、モーターボート競走(競艇)の売上金を原資とする日本船舶振興会——現在の日本財団を作り上げた人物でもあります
なお、戦後の右翼人脈をめぐっては、笹川氏とアメリカの情報機関との関係もたびたび取り沙汰されてきました。 ただしこれについては、私が確認できた範囲では公的に裏付けられた事実ではありません。ここは指摘がある、というところまでにとどめます。
そして、もう一つ大事なことを申し上げておきます。
これは祖父の経歴であって、笹川博義議員ご本人の行動を評価するものではありません。 血筋で人を裁くのは、私の立場ではない。
ですが——戦後日本の保守政治と、統一教会を含む反共ネットワークと、巨大な公益財団。この三つを一本につないだ家系から出た議員が、いま日本の移民政策の実務ポストに座っている。この事実そのものは、知っておいて損はないと思います。
つまり——JCIEの円卓会議で毛受氏らと外国人受け入れ政策を議論していた政治家が、同時に自民党内部でも外国人政策に関わる実務的なポストに就いていたということです。
提言が、自民党と入管庁へ渡っている

そしてこれは、単なる人脈の話ではありません。
2021年、JCIEの「外国人材の受入れに関する円卓会議」は政策提言を発表しています。
タイトルは『アフターコロナ時代に向けての外国人受入れ政策のあり方──「選ばれる国」への新提言』。
- この提言は、実際に自民党政務調査会の外国人労働者特別委員会へ提出されています
- さらに、出入国在留管理庁長官にも提言を直接手渡し、意見交換を行っています
ただし、これは「裏で操っている」という話ではありません

ここは、はっきりさせておきます。
「JCIEが裏で日本政府の移民政策を操っている」という話ではありません。そんな証拠はありません。
むしろ逆で、すべて公開された形で行われています。
起きているのは、こういうことです。
- 民間の政策団体が、外国人政策について研究し、提言をまとめる
- 専門家、企業、NPO、そして政治家が、同じテーブルで議論する
- まとめた政策提言を、政府や自民党、各省庁へ提出する
- そして、その議論に参加していた政治家自身が、自民党内部でも外国人政策を取りまとめるポストに就いている
つまり現在の外国人政策は、ある日突然、霞が関から出てきたものではありません。政府の外側と内側をまたいだ、こうした政策形成のネットワークの中で、長年にわたって議論され、実行されてきたということです。
育成就労制度も、まさにこの流れで出来上がってきています。
そしてJCIEだけではありません。 こうした団体は無数にあり、自民党の大臣ポストを経験した人物が役員や会長を務め、そこから報酬が出る。天下り先にもなっている。そういう構造があります。
9月4日、コペンハーゲンの「Group of Five」

ここで、日本より先に大規模な移民問題を経験してきたヨーロッパに話を移します。
2026年9月4日、デンマーク、ドイツ、オーストリア、オランダ、ギリシャ。この5か国の移民担当相がコペンハーゲンに集まりました。 いわゆる「Group of Five」です。
議題は「Return Hub(リターン・ハブ/送還拠点)」。
対象となるのは、難民申請が却下され、EU域内に滞在する法的権利がない。しかし出身国への送還も難しい。そうした人たちです。
EU域外の第三国に送還拠点を設けて、そこへ移送するという構想。 デンマークは2027年末までに、最初の移送を始めることを目指しています。
EUは2026年6月に、送還制度で合意していた

この構想は、突然出てきたものではありません。
EUでは2026年6月、新しい送還制度について政治的な合意が成立しています。
- 一定の場合には、強制送還を義務化する
- 加盟国間で、送還決定を共有する
- さらに第三国との協定に基づいて、EU域外にReturn Hubを設置することも制度として想定されている
なぜ、ここまでやるのか。大きな理由の一つが送還率の低さです。 EUでは、退去命令を受けても実際には送還されない人が、かなりの割合で存在してきました。
欧州は「送還」、日本は「獲得」

いまEUが進めているのは、二つを同時に、ということです。
合法的な労働移民や必要な外国人材を受け入れる制度は続ける。一方で、不法滞在者や難民申請を却下された人については、送還を強化する。
「受け入れ」と「送還」。この二つを同時に進める方向へ移っている。
ここは、正確に見ておく必要があります。
「ヨーロッパは移民を受け入れた。失敗した。だから全部送り返そうとしている」——そこまで単純な話ではありません。
しかし一方で、ヨーロッパが大量の移民・難民を経験する中で、社会統合、治安、宗教、教育、福祉、文化的アイデンティティ。こうした問題が大きな政治争点になってきたことも事実です。
そしていま、そのヨーロッパが「誰を受け入れ、誰を送り返すのか」という制度を、改めて作り直している。
一方の日本は、政府が外国人材を獲得する動きを強化し、20道県が自治体外交で海外へ獲りに行っている。
欧州は「送還」。日本は「獲得」。これは私の整理です。もちろん単純な比較はできません。ですがこの対比から、日本が学ぶべきことはかなり多いのではないでしょうか。
ちなみに、ドイツ東部ザクセン=アンハルト州の選挙では、右派政党AfD(ドイツのための選択肢)が得票率44〜45%を獲得して圧倒的なトップに立ち、州レベルで初めて単独政権を実現しました。
移民政策に厳しい姿勢を訴えるAfDが、ここまで支持されている。この動きは、もうドイツでは止まらないでしょう。
ただし——その欧州の右派にイスラエルが接近しているという話は、このチャンネルで別途お伝えしてきたとおりです。 両手を開けて「反グローバリズム政党が政権に就くのは喜ばしい」とだけ言うのは、なかなか難しい。 それでも、行き過ぎた移民政策やリベラル政策への揺り戻しが欧州で起きていることは間違いありません。
まとめ──いま問うべきことは何か

最後に、ここまでの流れを一本の線で整理します。
- 2000年──国連が、人口減少を移民で補った場合に日本がどうなるかをシミュレーションし、17.7%という数字が出た
- 2004年──日本政府の資料にも「補充移民論等」という言葉が登場した
- 2026年──在留外国人が400万人を突破した
- 2026年8月7日──政府が、将来の外国人比率が10%台になる可能性も視野に入れて、受け入れの基本的なあり方の検討を始めた
- そして自治体も、海外へ外国人材を獲得しに行っている
- 民間の政策団体では、「移民1000万人時代」を前提とした社会の制度設計まで議論されている
ここで、公平な事実認識から始めます。
国連が日本に17.7%の移民を押し付けているわけではありません。 あれは人口学上のシミュレーションです。 政府の10.8%も政策目標ではなく、条件を置いた推計です。 国連の17.7%と社人研の15.1%は、そもそも計算の基準が違う。 そしてJCIEが裏で政府を操っているという証拠も、ありません。
しかし、残る動かしがたい事実があります。
26年前には人口学上の計算にすぎなかった問いが、いま日本政府が今年度中に基本方針をまとめる、現実の政策課題になっている。 そして政策提言をまとめた民間団体の会議に座っていた政治家が、同時に自民党で外国人政策を取りまとめるポストに就いていた。
表層ではなく、構造を見てください。そして、誰が得をするのかで見てください。
いま問うべきなのは、「国連が日本に17.7%を命令したのか」という話ではありません。もっと現実的な問題です。

- 人口が減っていく日本で、外国人をどこまで受け入れるのか
- どんな人を、どんな条件で受け入れるのか
- 一時的な労働者として受け入れるのか。それとも家族を含めて、長期間日本で暮らすことを前提とするのか
- そして外国人人口が5%、10%、あるいはそれ以上になったとき、教育、社会保障、治安、日本語、地域社会、そして日本の文化や社会のあり方を、どう維持していくのか
これは、外国人が好きか嫌いかという話ではありません。日本という国を、これからどう設計していくのかという話です。
日本より先にこの問題に直面してきたヨーロッパは、いま「どう受け入れるのか」だけでなく、「誰を受け入れ、誰を送り返すのか」という制度まで作り直しています。
日本は、その経験から何を学ぶのか。
20年後、30年後。私たちは、どんな日本を次の世代に残したいのか。
外国人人口が1000万人規模になってから考えるのでは、遅いかもしれません。まさにいま、議論しなければならない問題です。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 国連は日本に「17.7%の移民を受け入れろ」と言ったのですか?
いいえ、そうではありません。 2000年の国連人口部の報告書『Replacement Migration』は、人口減少・高齢化が進む国に一定数の移民が入った場合、人口構造がどう変わるかを計算したシミュレーションです。 日本の人口規模を維持するシナリオでは、2005〜2050年に約1,700万人(年平均約38万人)の純移民が必要で、2050年に1995年以降の移民とその子孫が人口の17.7%になる、という計算結果が示されただけです。
Q2. 政府は外国人を10.8%にすることを目標にしているのですか?
目標ではありません。 2026年8月7日に立ち上がった政府ワーキンググループの資料に示された、一定の条件を置いた将来人口推計です(2070年に約939万人・10.8%)。 なお国立社会保障・人口問題研究所の条件付き推計では、純流入を年25万人と仮定した場合に2070年で15.1%となりますが、国連の17.7%は「1995年以降の移民とその子孫」、社人研は「外国人の実人口」と基準が違うため、単純に並べることはできません。
Q3. 「自治体外交」とは何ですか?
2026年9月4日の産経新聞の調査で明らかになった動きです。 外国人材を確保するため、海外の政府機関などと自治体が独自に協力覚書を結んでいると回答したのが20道県。愛知・京都・岡山・熊本の4府県が締結を検討中。 相手国はベトナムが最多で、次いでインドネシア、インドです。背景には人口減少・人手不足に加え、円安で日本が「無条件に選ばれる国」ではなくなったことがあります。
Q4. JCIEが日本の移民政策を裏で動かしているのですか?
そうではありません。そのような証拠はなく、むしろすべて公開された形で行われています。 民間の政策団体が研究し、専門家・企業・NPO・政治家が同じテーブルで議論し、提言を政府や自民党へ提出する。そしてその議論に参加していた政治家が、自民党内部でも外国人政策のポストに就いている。 問題は「隠されていること」ではなく、こうした政策形成のネットワークが、私たちにほとんど知られないまま長年動いてきたことのほうです。

