こんにちは。金子吉友です。
2026年9月14日、東京・内幸町の日本プレスセンターで、ある記者会見が開かれました。
新しい政治団体「新世党」の設立です。
つくったのは、ウズベキスタン出身の女性と、韓国出身の男性。
お二人とも、帰化した日本人です。
このニュースを、皆さんはどう受け止めるでしょうか。

先に、いちばん大事なことを申し上げておきます。
帰化して日本国籍を取得した人が政治に参加すること。これは、まったく正当な権利です。完全に合法です。
「帰化した人は政治に関わるな」――今日の話は、絶対にそういう話ではありません。そんなことを言い出したら、それこそ差別です。
そのうえで、私が今日お話ししたいのは、別のことです。
この新世党は「入口」だということ。そして、これから同じような政治団体が確実に増えていくということ。
昨日お伝えしたスウェーデン総選挙の話を、強く思い起こさせる現象です。

9月14日に何が起きたのか──党名は二つの街から取られた
まず、事実関係から整理します。
- 2026年9月14日、東京・内幸町の日本プレスセンターで記者会見
- 発表されたのは、新しい政治団体「新世党」の設立
- 記者会見には、日本と海外のメディアが集まりました
党名の由来は、こうです。
- 新宿の「新」
- 世田谷の「世」
- そこに「新しい世の中を創る」という意味も重ねている
活動の中心は東京都で、いきなり国政をめざす話ではありません。
スローガンは、「日本を、愛する。」
※正確に申し上げると、これは法律上の「政党」ではなく「政治団体」です。公職選挙法・政党助成法上の政党要件は満たしていません。ここは、報道やSNSで「帰化政党」という言い方が広がっているので、押さえておいてください。

二人が、ここに至るまで
では、この二人はどういう方なのか。公開されている情報で見ていきます。
代表 オルズグル氏(40歳)
- ウズベキスタンの首都タシケント生まれ
- 現職の世田谷区議会議員
- 2023年4月、立憲民主党の公認候補として当選
- 2025年8月に離党届を出し、以後は無所属
若くして来日し、就職し、結婚し、ご自身で事業を立ち上げ、そこから政治家になられた方です。
共同代表 鄭宰旭氏(61歳)
- 「てい あきら」と名乗っておられます
- 韓国の釜山生まれ。1985年に留学生として来日
- 新宿・新大久保を拠点に、約40年、商売と地域活動を続けてこられました
この方には、一つポイントがあります。
2026年8月19日に、新宿韓国商人連合会の会長を退任しておられるんです。
その退任の挨拶に、こう書かれています。
「会長という役職からは退きますが、新しい立場で、地域と社会のためにできることに取り組んでまいります」
「新しい立場で」。その時点では、何も明かしていません。
そして約1か月後、新世党の共同代表として会見の場に現れた。
地域団体の長を退いて、政治の側に回ったわけです。

新世党が掲げる四つの柱
政策の柱は、四つです。
- ① 地域の安全・安心
- ② 挑戦者・起業家・事業承継への支援
- ③ 文化の継承と、コミュニティ基盤の強化
- ④ 次世代教育と、グローバル人材の育成
並べてみると、特別に変わったものはありません。日本の地方政治でよく見る政策の並びです。

「共生」ではなく「共創」
そしてキーワードが、「多文化共創」です。
「共生」ではなく、「共創」。
鄭氏の説明を引用します。
「ただ『共に暮らす』のではなく、『共に地域をつくり、共に責任を担う』」
この言葉選びは、意識的なものでしょう。
「共生」という言葉は、日本では長らく「受け入れる側が配慮する」という含意で使われてきました。それに対して「共創」は、責任を双方に置くという意味になります。
言葉としては、よく練られています。

設立の発表文に、書かれていること
さらに、設立の発表文には、こう書かれています。
- 「日本の法律や地域のルールを守り、日本の文化を尊重する」
- 「外国人を増やすことを目的とした考え方ではない」
- 「日本の文化や地域のルールを外国人に合わせて変えていく、という考え方でもない」
この三つです。
いかがでしょうか。
非常に抑制的なんです。
外国人優遇ではない、とはっきり書いてある。日本人の立場に立った書き方だとも言えます。
そして――日本人が外国人政策の何を不安に思っているのか、かなり正確に押さえている。

共同代表・鄭宰旭氏の政策から、二つ
鄭氏ご自身の公式サイトには、区政向けの政策も載っています。その中から、二つだけ引用します。
一つ目──「察してください」ではなく
「『新宿ルール』を大切にし、明確に伝え、『察してください』ではなく責任ある多文化共生と安心・安全な暮らしを両立する」
「察してください」ではなく。ここは、私も唸りました。
日本社会は、明文化しない文化です。
ゴミの出し方も、夜の静かさも、はっきり言葉にしない。察してもらうことで、成り立ってきた。
その「察する」が通じない相手が増えると、日本人は何が起きているのか説明できないまま、不安だけを抱えることになる。
その構造を、この方は正確に理解しておられます。
二つ目──経済効果だけを優先しない
「観光振興や外国人受け入れによる経済効果だけを優先せず、まず地域住民の安全・安心・生活環境を守ります」
外国人受け入れによる経済効果を優先しない、と書いてあるんです。
日本の保守系の候補者が言っていても、まったくおかしくない内容です。
ですから――これをもって「危険な政治団体が生まれた」と決めつけるのは、フェアではありません。
掲げている中身を読む限り、理解できる部分が多い。これは率直に申し上げておきます。

では、書かれていないことは何か
何度も読み返して私が気になったのは、書かれていることではありません。
書かれていないことのほうです。三つあります。
一つ目──外国人の参政権について、賛成なのか反対なのか
新世党の四つの柱にも、鄭氏の政策にも、一言も出てこないんです。
今の日本で投票できるのは、日本国籍を持つ人だけです。
この線を動かすべきだと考えているのか、動かすべきではないのか。まだ何も表明されていません。
二つ目──帰化の要件について、どう考えているのか
今より緩めるのか、今のままでいいのか、もっと厳しくするのか。ここも、書かれていません。
三つ目──「多文化共創」を制度に落としたら、何が変わるのか
理念としては、私も「なるほど」と思いました。
ただ、理念は制度にした瞬間に、必ず線引きの話になります。
誰に、どこまで、どの権利を認めるのか。
そこが決まらないうちは、賛成も反対も判断できません。
もちろん、設立してまだ数日の団体です。すべてを今すぐ出せというのは無理でしょうし、「隠している」とも言いません。
ただ、有権者としては、必ず聞いておくべき三点だと思います。
それともう一点──規制する側と、される側
鄭氏ご自身は、住宅宿泊事業、いわゆる民泊を営んでおられます。
そして政策では、「違法民泊の根絶」と「適正な民泊の支援」を掲げている。
どちらも正論なんですが、規制する側と、される側が重なるわけです。
これは出自とは何の関係もない話で、日本人の議員でも同じことを聞かれます。選挙になれば、当然問われる点だと思います。

「排外主義」の一語が、議論を止める
ここからが、私がいちばん引っかかった部分です。
今回の設立をめぐって、報道でもSNSでも、すぐに出てきた言葉があります。
「排外主義への懸念」です。
毎日新聞の記事によれば、新世党の側も、排外主義的な主張の高まりを懸念している、と説明しています。
この点について、私の見立てを申し上げます。
私は、この「排外主義」という言葉の使われ方には、慎重であるべきだと思っています。
なぜか。
この一語を貼ると、議論がそこで止まるからです。
日本人が外国人の増加について不安を口にした瞬間に、差別主義者のレッテルが貼られる。だから、誰も口に出さなくなる。
ですが――口に出せなくなった不安は、消えるわけではありません。
水面下にたまって、最後にはもっと極端な形で噴き出します。
ヨーロッパで起きてきたのは、まさにそれです。
ですから「排外主義」という言葉で片づけるのは、いちばんまずいやり方だと思います。
ここからは、私の推測です
そして、ここから先ははっきり「私の推測」だと申し上げたうえで、書きます。
「排外主義を懸念して政治団体を立ち上げた」という説明の仕方に、私は一つのスタンスを感じます。
仮にこうした政治団体が今後拡大し、国政に進出するようなことがあれば、言論の規制に関わる政策が出てくる可能性はないだろうか。SNS上の発言が「差別」と判断されれば罰則が科される――そうした方向の法整備が図られる可能性を、私は警戒しています。
※ここは重要なので、はっきり書いておきます。新世党がそうした政策を掲げているという事実は、現時点でまったくありません。これは私の懸念であって、事実の指摘ではありません。
言葉の使い方一つに、スタンスは現れる。私はそう考えているので、この一語を注視したい、ということです。

不安の正体は、民族ではなくルール
今、日本人の多くが外国人の増加について不安を感じている。これは事実です。
ただ、その不安の中身は、民族に対する憎しみではないんです。
もっと具体的なことです。
- ゴミの出し方が守られない
- 夜中の騒音がひどい
- 健康保険の使われ方に疑問がある
- 生活保護の不正受給が報じられる
- 土地や不動産が買われていく
- 学校で日本語が分からない子どもが増えて、授業が回らない
つまり、生活の実感から来ている不安なんです。
「あなたは外国人が嫌いなんですね」という話ではありません。
「ルールが守られていないのではないか」という話なんです。
実際、昨日のスウェーデン回にいただいたコメントに、こんなものがありました。
地方にお住まいの方で、5か月ほど前、自宅の隣にインドネシア人の方々の会社寮ができた。それ以来、朝から夜遅くまで生活臭が自宅に充満し、毎日その匂いを強制的に嗅がされているという。区役所の環境保全課に相談したところ、事業所の寮であり、そこで作業しているわけではないので介入できないとして、口頭注意で終わった――そういう内容でした。
※これは一視聴者の方からの投稿であり、私が独立に事実確認をしたものではありません。ですが、こうした相談が現場で行き場を失っている、という構図そのものは、決して珍しい話ではないと思います。
「一般家庭が事業所を相手に生活環境の改善を求めるのは、非常に大変だ」――この訴えを「多文化共生」の一言で片づけられたら、日本人の側が納得できないのは当然でしょう。
そして面白いことに、新世党の四つの柱も、その一番目が「地域の安全・安心」でした。鄭氏の政策も、「ルールを守る新宿」を掲げています。
つまり新世党の側も、地域に不安があることを前提にしているんです。
不安が実在することは、双方が認めている。だとすれば、あとは中身の議論をすればいいはずなんです。

日本国籍を取得する人の、顔ぶれが変わった
ここから、数字を見ていきます。
まず、帰化です。日本国籍を取得する人が、毎年どれくらいいるのか。
法務省の統計によると、2025年の帰化許可者数は9,258人です。(不許可は666人、許可率は約93%)
多いと感じるか、少ないと感じるか。これは人によると思います。
ただ、注目すべきは中身のほうです。
- 中国 3,533人――これが2年連続で最多
- 韓国・朝鮮 2,017人
ここに、大きな変化があります。
かつて、日本に帰化する人といえば、圧倒的に韓国・朝鮮籍の方でした。1990年代には、年に1万人前後という時期もあったんです。
ところが、そこからずっと減り続けている。
そして2024年。この年に、中国が初めて韓国・朝鮮を上回りました。
中国が3,122人、韓国・朝鮮が2,283人。この年に、順番が入れ替わったんです。
※配信では「2023年」と申し上げましたが、法務省の統計を確認したところ、順番が入れ替わったのは令和6年=2024年です。ここは訂正しておきます。
つまり、日本人になる人の顔ぶれそのものが、静かに入れ替わっている。
※参照:[法務省 帰化許可申請者数等の推移] https://www.moj.go.jp/MINJI/toukei_t_minj03.html

新宿区で、いま起きていること
次に、地域の数字です。新宿区。鄭氏が40年活動してこられた、あの街です。
2025年1月1日の住民基本台帳で見ると――
- 新宿区の外国人住民は 48,097人
- 区の総人口が 352,717人
- 割合にして 13.64%
- 区民の7人から8人に1人が、外国籍
- 東京都内61の市区町村の中で、外国人比率は1位
そして、もっと象徴的な数字があります。
2026年1月12日に行われた新宿区の成人式――今は「はたちのつどい」という名前ですね。
2026年1月5日時点で、対象者は4,286人。そのうち外国籍の方が2,114人でした。
割合にして、約49%。ほぼ半分です。
新宿区で20歳になった人の、およそ2人に1人が外国籍だった。
これが、日本のある区で、今年実際に起きたことです。
ただし、この数字の読み方には注意が必要です
ここは、正確に押さえておかなければなりません。
新宿区には早稲田大学をはじめ、大学や専門学校が多く、留学生が非常に多く住んでいます。この「はたちのつどい」の対象者に外国籍が多いのは、その留学生が大きく効いています。
つまり、この49%という数字は、「新宿区の若者の半分が定住外国人になった」という意味ではありません。一時的に滞在している留学生も、相当数含まれています。
また、実際に式典に参加したのは約1,100人で、対象者全員ではありません。
それでも、私はこの数字を軽く見るべきではないと思います。
なぜなら、留学生であっても、その一部は日本で就職し、定住し、帰化していくからです。数字がそのまま将来を表すわけではない。しかし、方向は示しています。
※参照:[日本経済新聞] https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFH121NY0S6A110C2000000/

帰化した人は「外国人」ではありません
ここで、非常に大事な話をします。
今申し上げた新宿区の外国人住民、48,097人。この人たちは、選挙で投票できません。外国籍だからです。
ところが、帰化した人は違います。
- 日本国籍を取得した瞬間に、その人は日本人です
- 選挙権も、被選挙権もある
- 政治団体をつくることもできます
今回の新世党が、まさにそうです。完全に合法です。
ここを間違えないでいただきたいんです。
今日の話は、「帰化した人は政治に関わるな」という話では絶対にありません。そんなことを言い出したら、それこそ差別です。
日本国籍を持っている以上、その人は日本人であって、政治に参加する権利は完全に平等です。ここは、譲れません。
ただし、です。
- 毎年9,000人が帰化して、有権者になる
- その子どもたちも、日本人として育って、有権者になっていく
ここで、新宿区の数字をもう一度思い出してください。20歳の約半分が外国籍でした。
この人たちの全員が帰化するわけではありません。
ですが、日本で育って、日本語で教育を受けて、日本で働く人たちです。その中から帰化する人が出るのは、ごく自然なことでしょう。
これが10年、20年、30年と積み重なったとき、有権者の構成そのものが、少しずつ変わっていきます。
誰も不正をしていません。全員が合法です。それでも、変わるんです。

スウェーデンが、先に景色を見せてくれています
ここで、前回お話ししたスウェーデンの話を、少しだけ振り返ります。
2026年9月13日の総選挙です。
- 左派・中道左派ブロックが176議席。右派ブロックが173議席。わずか3議席差
- 本人または親がヨーロッパ以外で育った「非欧州背景」の有権者では、およそ70%が左派を支持。右派は約27%
- 移民の多い地区になると、左派支持が90%を超える地域まであります
- そしてスウェーデンは今、人口のおよそ28%が外国背景です
この状態で、3議席差の選挙をやる。
そうなると、外国背景の有権者がどちらに入れるか。それが、政権の行方を決めてしまう。
全員が、正規の有権者として一票を投じただけです。それでも、結果が動くんです。
念のために申し上げておきます。
外国背景の有権者が左派に偏るのは、その人たちが悪いからではありません。
移民に厳しい政党には、自分の生活が懸かっているから投票しにくい。誰だって、自分の立場を悪くする政党には投票しません。日本人だって、同じことをします。
つまり、人間として当たり前の行動なんです。その当たり前の積み重ねが、国の政治を動かしてしまう。そこが、怖いところなんです。
詳しくはスウェーデン総選挙でなぜ反移民政党が後退したのかをご覧ください。

移民政策は、やがて有権者政策になる
ここまでの話を、いちど整理します。
移民政策というのは、多くの人が「労働力の政策」だと思っています。人手が足りないから、何万人受け入れる。そういう話だと。
ですが、違うんです。
- 移民政策は、まず「人口政策」になります――受け入れた人が住み着いて、家族を呼んで、子どもが生まれる。人口構成が変わります
- そして人口政策は、最後に「有権者政策」になります――帰化する人が出て、日本で生まれ育った二世が有権者になる。有権者の重心が、少しずつ動いていく
この三段階には、時間差があります。
- 労働力の話をしている段階では、誰も政治の話だと思っていません
- 人口の話になったころには、もう変えるのが難しくなっている
- 有権者の話になったときには、もう手遅れです
なぜなら、そのときには、移民政策を厳しくする政策そのものが、選挙で勝てなくなっているからです。
ここが本質です。ヨーロッパの国々は、全部この順番で来ました。
そして今、日本はどの段階にいるのか。
まだ、一段階目です。人手不足だから受け入れよう、という段階です。
だからこそ、今なんです。

新世党は「入口」です──増え方には、順番がある
繰り返しますが、新世党そのものが危険だ、という話ではありません。
むしろ、掲げている中身を読む限り、理解できる部分が多いと思っています。
問題は、新世党の中身ではないんです。新世党が「入口」だということのほうです。
今回、帰化した一世のお二人が、政治団体を立ち上げました。日本では、おそらく初めてに近いケースです。
ですが、今後はどうでしょうか。
- 毎年9,000人が帰化していきます
- 新宿区では、20歳の約半分が外国籍です
- そして日本で生まれ育った二世、三世が、有権者になっていきます
そうなれば、こういう政治団体は、これから確実に増えます。一つや二つでは、なくなります。
しかも、増え方には順番があります。
- 最初は、今回のように、区議会や市議会といった地方からです
- 外国人の比率が高い自治体から始まる。新宿区もそうですし、群馬県の大泉町や、愛知県の一部もそうでしょう
- そこで議席を取った人たちが、次に都道府県、そして国政をめざす
ヨーロッパの国々で起きたのも、この順番でした。
そして、その中に新世党のような抑制的な団体ばかりが出てくるとは限りません。
もっとはっきりと、外国にルーツを持つ人の利益を掲げる団体も出てくるでしょう。特定の宗教的背景を共有する人たちが、その利益を掲げる団体をつくることも、十分に考えられます。
それを止めることはできません。全部、合法だからです。止めるべきでもありません。
ですから、こういうことになります。
出口では、もう何もできない。やれることがあるとすれば、入口しかないんです。

日本には、まだ議論する時間がある
ただ、私は日本について、悲観していません。
なぜなら、日本はまだ一段階目だからです。
- スウェーデンは人口の約28%が外国背景
- 一方の日本は、2025年末の在留外国人が412万5,395人。初めて400万人を超えましたが、人口に占める割合は3.36%です
桁が違います。
ただし、この割合は前の年の3.04%から上がっています。しかも前年比9.5%増、4年連続で過去最多。つまり、増えるスピードは速い。
1年で約35万人の増加は、奈良市や長野市の人口に匹敵する規模です。
それでも、まだ議論する時間は残っている。
これは、ヨーロッパの国々にはなかったものです。
向こうは、気づいたときにはもう議論ができなくなっていた。日本は、まだできるんです。
ところが高市政権は、ブレーキをかけるどころか、アクセルを踏んでいる。私には、率直に言って正気の判断とは思えません。
※参照:[nippon.com] https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02750/

まとめ──入口で決めておくべき三つ
では、その入口で何を決めるべきなのか。三つあります。
一つ目──受け入れの総量
毎年何人受け入れるのか。上限を決めるのか、決めないのか。
今の日本には、はっきりした総量の目標がありません。
人手が足りない業種から要望が出て、そのつど枠が広がっていく。この積み上げ方式では、10年後に何人になるのか、誰にも分かりません。
「育成就労は123万人と決めているではないか」と言われます。ですが、そうではないんです。
育成就労で入ってきた人は、特定技能1号に進み、2号まで行けば、その123万人という枠から外れます。
枠が空けば、また新しく育成就労で入れればいい。ベルトコンベアのように、特定技能2号へ進む人が増えていく。そして2号になれば家族帯同が認められる。
これでは、実質的に無制限です。
「10%までなら許容できる」という意見も聞きます。ですが私は、10%を目標にしてはいけないし、上限として掲げるのもだめだと思います。一度10%を許容してしまえば、もう元には戻れないからです。
二つ目──帰化の要件
在留年数、言語能力、納税の実績、そして日本の法律や慣習を尊重する意思。ここをどう設計するのか。
帰化というのは、その人を有権者にする手続きです。つまり、政治の構成を決める手続きでもある。
だとすれば、正面から議論されなければおかしいんです。
なお、この点については実際に動きがありました。2026年4月1日から、法務省は帰化審査の運用を見直し、居住要件を「5年以上」から「原則10年以上」に引き上げています。納税の確認期間は5年、社会保険の納付確認は2年に拡大されました。
※ただし、これは国籍法そのものの改正ではなく、審査「運用」の変更です。国籍法の条文は「引き続き5年以上日本に住所を有すること」のままで、事実上の厳格化にとどまります。背景には、永住許可が10年、帰化が5年という「逆転現象」の解消という目的がありました。
政権はこれを成果として掲げていますが、私は「まったく足りない」と考えています。
そしてもう一点。帰化したあとで日本人に重大な迷惑をかけるような行為があった場合、国籍を剥奪するルールも検討されるべきだと私は考えています。これは相当に重い制度論であり、簡単に実現する話ではありません。ですが、議論すること自体を避けるべきではないと思います。
三つ目──参政権の線引き
ここが、いちばん怖いところです。
帰化した人に参政権が認められるのは、当然です。日本国籍なのですから。
今問題になっているのは、外国籍のまま投票できるようにするかどうかです。
地方選挙ならいいのか。ここを、あいまいにしたまま進めてはいけません。
この一線を越えたら、日本もスウェーデン化、欧州化への道に入ることになります。
補足──被選挙権について、日本には基準がない
調べていて、もう一つ気になったことがあります。
アメリカ合衆国憲法では、被選挙権にこう定められています。
- 上院議員 ―― 30歳以上、かつ合衆国市民となってから9年以上
- 下院議員 ―― 25歳以上、かつ合衆国市民となってから7年以上
- 大統領 ―― 「natural born citizen(出生による市民)」であること。つまり帰化した市民は、大統領になれません
明文で、はっきり書いてあるんです。
ところが日本には、こうした基準がありません。
帰化してすぐでも、地盤があれば議員になれる。国会議員にもなれる。そして理論上は、総理大臣になる道も残っています。
これは、おかしいと思いませんか。
関連して、こういう経緯もあります。2016年9月、日本維新の会が、外国籍を有する日本国民(国籍選択期間内の者と日本国籍の選択宣言をした者を除く)には衆参両院の被選挙権を認めない、という法案を検討・提出しました。選挙公報に外国籍の得喪の履歴を掲載することも盛り込まれていました。
しかしこの法案は、審議未了で廃案になっています。
あの議論は、どこへ行ってしまったのでしょうか。
そしてヨーロッパは、この三つを全部、後回しにしました
- 労働力が足りないから受け入れる
- 来てしまったから、生活を保障する
- 定住したから、国籍を認める
そのつど、目の前の問題に対応してきた。その結果が、今の姿です。
最後に、三点だけ繰り返します。
一つ目。新世党を「危険だ」と決めつけるのは、フェアではありません。設立の発表文には、日本の法律とルールを守る、外国人を増やすことが目的ではない、とはっきり書いてあります。
二つ目。ただし、参政権への立場、帰化の要件、そして「多文化共創」の制度設計。この三点は、これから必ず問われるべきだと思います。
三つ目。帰化した日本人が政治に参加すること。これは、まったく正当な権利です。止める話ではないし、止めてはいけません。
止められないからこそ――その手前にある入口の設計を、日本人自身が、今、決めておかなければならない。
表層ではなく、構造を見てください。
これは、誰かを排除する話ではありません。どんな国の姿を次の世代に渡すのかを、私たち自身が決めるという話です。
真の独立とは、真の主権とは、何か。
それは、自分たちの国のかたちを、自分たちの手で選び取ることではないでしょうか。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 帰化した人が政治団体をつくるのは、法律上問題があるのですか?
まったく問題ありません。完全に合法です。日本国籍を取得した時点で、その人は日本人であり、選挙権も被選挙権もあり、政治団体をつくることもできます。参政権は日本国籍を持つ人に等しく認められており、そこに出自による区別はありません。「帰化した人は政治に関わるな」という主張は、差別にあたります。今回の記事は、そうした主張とはまったく別のものです。
Q2. 新世党は危険な団体なのですか?
現時点の公開情報から「危険だ」と決めつけるのは、フェアではありません。設立の発表文には「日本の法律や地域のルールを守り、日本の文化を尊重する」「外国人を増やすことを目的とした考え方ではない」「日本の文化や地域のルールを外国人に合わせて変えていく、という考え方でもない」と明記されています。内容は抑制的です。ただし、外国人参政権への立場、帰化要件への考え方、「多文化共創」の具体的な制度設計については何も書かれておらず、この三点は今後問われるべきだと考えます。
Q3. 新宿区の「20歳の約半分が外国籍」という数字は、どう読めばいいのですか?
数字自体は事実です。2026年1月5日時点で、はたちのつどい対象者4,286人のうち2,114人が外国籍でした。ただし読み方には注意が必要です。新宿区には早稲田大学など大学・専門学校が多く、留学生が非常に多く住んでいます。この数字には一時的に滞在している留学生が相当数含まれており、「新宿区の若者の半分が定住外国人になった」という意味ではありません。実際の式典参加者も約1,100人です。それでも、留学生の一部は就職・定住・帰化へと進むため、方向としては注視すべき数字だと考えます。
Q4. 日本はもう手遅れなのですか?
まだです。スウェーデンは人口の約28%が外国背景ですが、日本は2025年末の在留外国人が412万5,395人で、人口に占める割合は3.36%。桁が違います。ただし前年の3.04%から上昇し、前年比9.5%増、4年連続で過去最多と、増加スピードは速い。ヨーロッパの国々は、気づいたときにはもう議論ができなくなっていました。日本にはまだ議論する時間があります。だからこそ、受け入れの総量・帰化の要件・参政権の線引きという入口の三点を、今のうちに決めておく必要があると考えます。

