なぜ欧州の反グローバリズム政党はそろって親イスラエルなのか──現職大臣が認めた「前例のない同盟」と英議員650人中180人のカネ

こんにちは。金子吉友です。

昨日は、アメリカがイスラエル勢力とイスラム勢力に引き裂かれているという話をいたしました。今日は、視点を入れ替えます。引き裂いている側が、ヨーロッパで何をしているのか。

そして今日の話は、私の推測ではありません。イスラエルの現職の大臣が、自分の口で認めたことです。

結論を先に申し上げます。イスラエルは、ヨーロッパの「反グローバリズム」政党を、丸ごと取り込みにいっています。そしてそれを、隠していません。

私はこの数か月、「反グローバリズムというのは、ひょっとするとイスラエルのマーケティングなのではないか」という仮説を、このチャンネルで何度か申し上げてきました。今日で、その裏が取れたと思っています。

目次

まず全体の枠組みを確認します──二極構造と、赤緑同盟がなぜ強いのか

各論に入る前に、この1週間の配信で組み立ててきた枠組みを、もう一度だけ確認させてください。この地図の上に今日の話を乗せていただくと、格段に分かりやすくなります。

私が申し上げているのは、世界の新しい秩序が「文明の衝突」という二極構造に移行している——というより、すでに移行してしまっている、という見立てです。

  • 西洋文明のグループ:アメリカ、ヨーロッパ、日本、そしてイスラエル
  • イスラム文明のグループ:サウジアラビア、トルコ、パキスタン。そこにロシア、中国、イランが加わる

イランがこちら側に入ることは、私の中ではほぼ確実だと見ています。 理由は単純です。今回のイラン戦争で、イランはアメリカという大国を負かしました。 アメリカとイスラエルという最強のコンビを相手に、堂々と渡り合った。イランは中東の大国であることを、世界に対して証明してしまったんです。 西側メディアだけを見ていると、まったく分からないと思いますが。

ロシアも同じです。 ウクライナ戦争は、アメリカとイギリスによるロシアの政権転覆作戦だったわけですが、それが失敗した。 そして中国は、経済ではグローバリストとうまく付き合いながら、中華思想というイデオロギーが強固なので、決して飲み込まれない。 情報も国境も封鎖できることを、コロナのときに証明しました。

さて、ここで視聴者の方からいただいたコメントを紹介させてください。「これは文明の対立というより、宗教の対立ではないか」と。おっしゃるとおりです。文明という言葉の中に、宗教は当然含まれます。

そして厄介なのは、そこにイデオロギーまで入り込んでいることなんです。

西側は、宗教は多少ばらけていても、価値観としてはおおむね統一されています。 ところが向こう側は、宗教もばらばら、イデオロギーもばらばらです。 その混線の中から生まれたのが、赤(マルクス主義)と緑(イスラム主義)の同盟ですね。

この同盟が、いまアメリカで猛烈に効いています。 DSA(アメリカ民主社会主義者)が支援する候補が、民主党予備選でAIPAC系の候補を次々と破っている。ニューヨークでは3連勝しました。

そして興味深いのは、DSAが支援する候補には、ムスリムが非常に多く、そしてなぜか女性も非常に多いという点です。なぜか。イデオロギーが混ざっているからです。 マルクス主義があり、LGBTなどの価値観があり、そこにイスラム主義がくっついている。ムスリム系の女性候補が異様に多いこと自体が、レッドグリーン同盟の象徴だと私は見ています。

さらに、ニューヨーク市長マムダニ氏の資金源をたどると、一つの筋がムスリム同胞団に行き着くという話も、昨日の記事で触れました。緑の勢力が、赤の勢力を支援している。この構図は、相関を見ればかなり明らかです。

昨日の補足──CAIRが2019年に置いていた「30名」という目標値

ムスリム同胞団1991年文書の5段階の浸透計画

本題に入る前に、昨日の話に数字を一つだけ足させてください。

昨日お見せしたムスリム同胞団の1991年文書。5段階の浸透計画のうち、第4段階は「上院議員が誕生すれば到達」と申し上げました。そこに置くはずだった数字が、一つ残っていたんです。

2019年11月、CAIR(アメリカ・イスラム関係評議会)の25周年の晩餐会でのことです。事務局長のニハド・アワド氏が、こう発表しました。

CAIRが2019年に発表した連邦議会30名の長期計画
  • 連邦議会に30名を送り込む
  • うち上院議員は2名以上
  • さらに200人以上を、州や地方の公職に育成する

現状は4名です。全員が民主党です。 そして昨日お話ししたアブドゥル・エルサイード氏が11月に当選すれば、初のイスラム教徒の上院議員が生まれます。

断っておきますと、CAIRはハマスとの関係を否定しています。 そして候補者を育成すること自体は、ごく普通の政治参加でもあります。 日本の業界団体だって、応援する議員を育てます。

それでも、です。昨日見た「第4段階の入口」は、偶然ではありませんでした。 6〜7年前に、目標値を置いて始めた計画だった。 ここまでが、緑の側の話です。

ここからが、今日の本題です。もう一方の側を見ます。

※参照:CAIR「2026 Directory of Muslim Elected Officials」(公選職255人・26州) https://www.cair.com/press_releases/record-breaking-cair-cair-action-identify-255-muslim-elected-officials-in-new-2026-directory/

イスラエルの現職大臣が、自分の口で認めた「前例のない同盟」

チクリ大臣が認めた欧州保守右派との前例のない同盟

「深い保守右派と、これまでにないような同盟システムを築いた」

アミハイ・チクリ氏という人物がいます。イスラエルのディアスポラ問題・反ユダヤ主義対策担当大臣です。

本来この大臣の仕事は、海外に住むユダヤ人コミュニティの意向を汲んで、彼らを支援することです。 ところがこの人は、まったく違うことをやっています。

2026年8月11日ごろから、X上で拡散されている映像があります。 そこでチクリ大臣は、こう語っています。

「ヨーロッパでこれまでにないような同盟システムを、深い保守右派と築いた」

名前を挙げられたのは、スペインの右派政党Vox(ボックス)、そしてフランスの国民連合(マリーヌ・ルペン氏の政党)です。主流メディアが「極右」と呼び、そしてそろって「反グローバリズム」を掲げている政党ですね。

さらに具体的に、こうも言っています。

  • Voxのアバスカル党首を「スペインでもっともシオニスト的な声」
  • フランスのバルデラ氏とルペン氏について「本物の近さが生まれた」「今やすべての世論調査でトップにいる」

自国の大臣が、他国の政党をここまで名指しで褒める。これは外交ではありません。同盟の宣言です。

ここは事実を切り分けます

ただし、ここは正確に申し上げなければなりません。

拡散している投稿には、続きがあります。 「メディアを買収した」「脅し、恐喝した」という文言です。

これはチクリ氏の発言ではありません。投稿者の解釈です。 公開情報の中に、その証拠は示されていません。 ですから私は、そこは使いません。

言えるのは「大臣が公然とこう言った」という一点だけです。ですがその一点だけで、十分に重いんです。

そして、これは急に始まった話でもありません。少なくとも2年前から、一貫しています。

ルペンに「感嘆符10個付きで、素晴らしい」

ルペン氏を感嘆符10個付きで称賛したチクリ大臣の発言

2024年7月1日、イスラエル公共放送Kanのラジオ番組での発言です。チクリ大臣は、マリーヌ・ルペン氏についてこう述べました。

「彼女がフランス大統領になることは、イスラエルにとって素晴らしい。感嘆符10個付きだ」

感嘆符10個です。フランスの大統領選挙について、イスラエルの現職大臣が、特定の候補を名指しで支持したわけです。

理由として挙げられたのは4つです。

  • ルペン氏がハマスに対して強硬な姿勢を取っていること
  • 国際刑事裁判所(ICC)についてイスラエル寄りの姿勢を示していること(ネタニヤフ首相にはICCの逮捕状が出ていますから、これは実務的に切実な問題です)
  • 反ユダヤ主義と戦うという姿勢を明確にしていること
  • 2023年11月12日、パリで行われた反ユダヤ主義に反対するデモに参加したこと

決め手になったのは、4つ目です。そしてマクロン大統領は、そのデモに参加しませんでした。 チクリ氏は、この二人を明確に対比しています。

ここで、フランス国内の事情を押さえてください。ルペン氏の父親であるジャン=マリー・ルペン氏は、ホロコーストのことを「歴史の細部」と呼んだ人物です。 ですからフランスのユダヤ人団体は、長年この政党を避けてきました。 悪い感情しか持っていない、と言っていい。

そのことを、チクリ大臣は知った上で、こう言いました。

「私はユダヤ人コミュニティと競争しているわけではない。まずイスラエルの視点で見ている」

現地のユダヤ人が何十年もかけて引いてきた線より、イスラエルの国益が優先される。そう明言したわけです。

この後、マクロン大統領はネタニヤフ首相に電話をかけて抗議しています。「内政干渉として受け入れられない」と。

「一人の大臣が暴走したのではないか」と思われたかもしれません。ところが、国として制度が動いています。

どこまで進んだのか──接近の地図と、外務省が自分で外した一線

イスラエルが接近する欧州右派政党の地図

イスラエルがいま接近している欧州の政党を、並べてみます。

  • フランス:国民連合(RN)
  • スペイン:Vox
  • ハンガリー:フィデス(オルバン前首相の政党)
  • オランダ:PVV(自由党)
  • スウェーデン:スウェーデン民主党
  • イタリア:メローニ首相の政党(ただしメローニ氏は世論を敏感に読み、イスラエルに批判的な態度を取ることもあります)

とりわけハンガリーのオルバン氏は、EUの対イスラエル批判を拒否権で止め続け、イスラエル側から「EU内のファイアウォール」とまで評価されていました。 日本の保守界隈でも人気の高い首相でしたが、イスラエルとこれほど緊密だったことは、あまり知られていません。

制度として動いた3つ

これは「政治家同士が仲がいい」という話ではありません。制度が3つ動いています。

① 2025年2月──リクードが欧州議会の会派「パトリオッツ・フォー・ヨーロッパ」の公式オブザーバーに就任

リクードはネタニヤフ首相の政党です。パトリオッツ・フォー・ヨーロッパは、ハンガリーのフィデス、オランダのPVV、スペインのVoxが中心となっている欧州議会の会派ですね。非欧州の政党がここに入るのは、初めてです。

② 2025年2月──サアール外相が、国民連合・Vox・スウェーデン民主党との正式な対話を指示

ここは、そもそも何をボイコットしていたのかを説明しないと意味が伝わりません。

イスラエル外務省には長年、ヨーロッパの極右政党とは公式に接触しないという方針がありました。 外交官が会うことを禁じられていたんです。 相手の政治家がイスラエルを訪問しても、政府の誰も会わない。そういう扱いでした。理由は、これらの政党が抱えてきた反ユダヤ主義の歴史です。だから相手にしない、と決めていた。

その線を、2025年2月にサアール外相が自分から外しました。

イスラエル側の説明はこうです。「これらの政党の綱領すべてに賛成しているわけではないし、指導者の発言すべてに賛成しているわけでもない。しかし、我々は彼らと対話ができると考えている」

長年守ってきた一線を、相手が変わったからではなく、自分の都合で外した。ここが大事なところです。

③ 2025年3月──エルサレムの反ユダヤ主義会議に、バルデラ氏らを招待

主流のユダヤ人指導者たちからは、ボイコットされました。 それでも招待は行われた。これがイスラエル政府の、正式な動きです。

ただし、AfDだけが外されています

ここも正確に押さえてください。ドイツのAfDだけは、いまも公式接触が避けられています。

党首のアリス・ヴァイデル氏個人は「AfDこそドイツでユダヤ人を守る唯一の存在だ」とまで言っています。 ところが党が割れているんですね。 共同党首は武器輸出に批判的です。

国民連合もVoxも解禁された。AfDだけが解禁されていない。 つまりヴァイデル氏は戦略的にすり寄ってはいるけれど、まだ買われていない——これは私の読みです。

※参照:Times of Israel/JTA(チクリ大臣と欧州右派の関係) https://www.timesofisrael.com/hosting-europes-far-right-again-minister-says-diaspora-criticism-just-a-disagreement/

イギリスはもっと露骨だ──国会議員650人のうち、約180人

英国会議員650人のうち180人が親イスラエル資金を受領

大陸の話はここまでです。ところが、もっと露骨な国があります。イギリスです。

リフォームUKと「リフォーム・フレンズ・オブ・イスラエル」

ナイジェル・ファラージ氏が率いるリフォームUKは、反グローバリズム・反移民を掲げ、いまイギリスでもっとも勢いのある政党です。

その党が、「リフォーム・フレンズ・オブ・イスラエル」という団体を立ち上げました。 もう名前にイスラエルが入ってしまっています。イスラエルの友、です。

そして、その設立を主導した人物を見てください。

  • イスラエルのヘルツォグ大統領のメディア顧問を務めていた人物(ジェイソン・パールマン氏)
  • しかも、まだ顧問の職にあるうちに、ファラージ氏らと会食していたと報じられています
  • 2025年9月に行われたイスラエル旅行は、この団体が全部手配。費用は5万ポンド
  • 副党首のリチャード・タイス氏は、いま議会の標準委員から調査を受けています。 下院で「親イスラエルの影響力」を議論した際に、自分がその旅行に招かれていたことを申告しなかったからです

議員たちは、自腹で行ったのではありません。 イスラエル側の金でイスラエルに行き、そしてその事実を申告しなかった。ここまで浸食されているということです。

保守も労働も、そしてリフォームも

そして、イギリス全体の数字です。調査報道メディア「ディクラシファイドUK」が明らかにしました。

  • 国会議員650人のうち、約180人が親イスラエルのロビーから資金提供を受けている
  • 内訳は保守党130人、労働党41人。リフォームUKの唯一の議員1人も入っています
  • 総額は100万ポンド超。渡航は240回以上で、その費用だけで50万ポンド超
  • 保守派イスラエル友好協会(CFI)には、保守党議員の約8割が会員として名を連ね、資金源は公表されていません

650人のうち180人。議員の4人に1人です。

アメリカの議員が受け取っている金額に比べれば、桁は小さいですが4人に1人という比率は、無視できないでしょう。

そして保守にも労働にも、そして反グローバリズムを掲げるリフォームUKにも、同じ財布から金が入っている。 昨日申し上げた「両建て」が、イギリスでもそのまま成立しています。

ただし、ここも公平に申し上げます。個々の議員が「金を受け取ったから投票行動を変えた」という因果関係は、証明されていません。 資金の事実と、投票の因果は別の話です。そこは分けて考えてください。

※参照:Declassified UK(英国議員への親イスラエル資金) https://www.declassifieduk.org/

「赤緑同盟」は、イスラエルの大臣が使っていた言葉だった

チクリ大臣が定義した赤緑同盟の構図

ここが今日、いちばん驚いていただきたいところです。

2024年7月31日、ジューイッシュ・インサイダーのインタビュー記事があります。記者はラハブ・ハルコフ氏。そこでチクリ大臣は、10月7日以降の状況を「形而上学的な戦い」と呼んだうえで、世界を二つの陣営に分けています。

味方は、イスラエルと、ユダヤ・キリスト教文明の国々。 アメリカやヨーロッパの、キリスト教保守の人たちのことです。

そして敵は、二つあると言います。

  • 一つ目は、急進的なイスラム勢力。 ハマスやイスラム主義の運動ですね。これがです
  • 二つ目が変わっています。彼はこれを「進歩的宗教」と呼びます。 欧米の左派・リベラルのことです。真理の存在を否定し、ジェンダー流動性を礼賛する。だからあれは政治思想ではなく、一種の宗教だというのが彼の言い分です。これがです

そして、この二つが手を組んでいると彼は見る。その連合に、彼はこう名前を付けました。

「レッドグリーン同盟(赤緑同盟)」です。

この言葉を、私はこのチャンネルで何度も使ってきました。 X上でも広まり始めていたので、私も最近になって知って使い始めた言葉です。ところがこれは、イスラエルの大臣が2年前から自分で使っている言葉だったんです。

イスラエル政府の側も、私たちとまったく同じ地図を見ている。赤と緑が組んでいるという同じ図で、同じ相手を名指ししている。

だから、彼の行動には筋が通っているんです。 国民国家の防衛、反・急進イスラム、伝統的家族観。この3つに近ければ、過去に何を言っていた政党でも組む。逆にホロコーストで問題のある発言をした勢力は避ける。 AfDだけが外れている理由も、ここで説明がつきます。

なぜ「極右」でなければならなかったのか──3つの理由

イスラエルが欧州極右に接近する三つの理由

では、なぜ相手が極右でなければならなかったのか。理由は3つあります。

① 主流が離れたから

2023年10月7日以降のガザ戦争を経て、ヨーロッパの中道と左派は、イスラエルに対して非常に厳しくなりました。 これまで親イスラエルだった主流派が、一気に離れてしまった。

味方が減ったのではありません。味方の側を、入れ替えたんです。

② EU内の防波堤を失ったから

2026年4月12日、ハンガリーのオルバン首相が、16年ぶりに敗れました。 勝ったのはペーテル・マジャール氏の政党です。

後継のマジャール政権は、EUの対イスラエル決定を今後も止め続ける保証はできないと明言し、さらにICCの取り決めを守ると表明しました。 つまりネタニヤフ首相は、逮捕を覚悟しなければハンガリーに入れないということです。

拒否権を使ってくれる国が消えた。だから代わりが要るんです。

③ 赤緑同盟への対抗軸が必要だから

イスラム勢力と社会主義勢力の合流に対抗する駒として、ヨーロッパの右派が要る。 そして反グローバリズム政党は、反移民を掲げています。その移民の多くはイスラム系です。 ですからイスラエルから見れば、「反イスラム」という一点で、利害が完全に一致するわけですね。

極右の側にも、組む理由があります

これは一方通行ではありません。受け取る側にも、はっきりした利益があります。

「脱悪魔化」です。

過去の反ユダヤ主義のイメージを洗い流し、政権を狙える「普通の政党」になるための通行証。 これが欲しいんですね。

西側メディアからは「極右」「ファシズム」「ナチズム」とまで評される。政策を見れば、そこまでの内容ではありません。 それでもレッテルは貼られる。そのイメージを、イスラエルと組むことで拭い去れるのではないか。

双方に、それぞれの利益がある。だから続くんです。単なる思想の一致だと見ると、本質を見誤ります。共依存の関係にある、と言った方が正確でしょう。

プーチンが択捉島に上陸した意味──日本はどちらに引き裂かれるのか

ここで、日本の話をします。

先日、ロシアのプーチン大統領が択捉島に上陸しました。 日本政府は反発しましたが、あれは「北方領土を絶対に返さない」というメッセージではありません。

思い出してください。プーチン大統領は、安倍政権のときに二島返還のところまで行ったんです。 ところが「返還した島に米軍基地を置かない」という条件を、安倍総理は保証できなかった。 だから御破算になった。

つまりロシアが投げているのは、こういうメッセージです。

「西洋のグループにずっぽりと入っていると、後々大変なことになる。せめて中立的な立場を取ってくれないか」

日本はウクライナに対して、欧米と足並みを揃えて制裁を科してきました。 一方でロシアは、日本に対してはかなり手心を加えてくれていた。 それも、そろそろ限界だということでしょう。

そして、構造は9.11のときとまったく同じです。 9.11から25年の記事でお話ししたとおり、ジョンソン大統領以降、アメリカがイスラエルに肩入れしすぎたことによって、エジプトやシリアはソ連側に行かざるを得なくなりました。

いま同じことが起きています。アメリカとヨーロッパがロシアを目の敵にするから、ロシアは中国やインドに近づかざるを得ない。 そして日本がそちら側にいるということは、「我々に対して敵であると意思表示している」とロシアには映るわけです。

もう一つ、冷徹に見ておくべきことがあります。

アメリカは、実質的に破綻しています。 ドルは弱くなり、実体的な経済成長ではなくバーチャルな成長で国を引っ張り、政府は莫大な負債を抱えている。 今回のイラン戦争でも、新たな経済制裁を発表するくらいのことしかできなくなりました。

ペトロダラー体制がここまで弱れば、次は暗号資産です。トランプ大統領がステーブルコインに向かっているのは、次の基軸通貨体制を狙ってのことでしょう。

そして、これが結論です。 アメリカはイランに勝てませんでした。ならば中国に勝てるはずがない。「アメリカが日本を守る」というのは方便であって、実際に核で恫喝されたら、アメリカは手も足も出ません。

日本は、中東に行かなければいけない国のはずなんです。 それなのに西側にずっと居座り、ロシアを敵に回し、中国を敵に回している。イランでさえ、今回の戦争で日本にはかなり目をかけてくれていました。それでも日本は「あちら側」なのだと、わかってしまったと思いますよ。

まとめ──看板はそのまま。変わったのは、後ろで支えている手です

西洋文明とイスラム文明の二極構造のまとめ図

最後に、今日の話を一枚の地図の上に戻します。

西側は、アメリカ、EU、日本。その中核にイスラエルがいる。 向こう側は、メッカ共同防衛協定の3か国に、中国、ロシア、イラン。

今日お見せしたのは、その中核が、西側の陣営そのものを作り直しているという事実です。 この構図を維持するために、代理を務める政党を、左から右へ差し替えている。

そして反対側では、CAIRが「30名」という数字を決めて議員を送り込んでいる。 やっていることは、両側とも同じです。カネ、人材の育成、そして議員を作ること。

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。

国民連合もVoxもリフォームUKも、主張を変えたわけではありません。 移民に反対し、国家主権を守れと言い続けている。看板は、そのままなんです。

変わったのは、その政党を後ろから支えているのが誰か、です。

有権者は、反グローバリズムのつもりで一票を入れる。ところがその一票は、イスラエルと組んだ政党を強くする。

掲げている主張が本物かどうかと、その主張が誰の役に立っているかは、別の話なんです。

ヨーロッパは、これまで行き過ぎたリベラル政策——LGBT、多様性、SDGs、そして移民——で、社会がぐちゃぐちゃになりました。その反動として反グローバリズムが伸びている。ところが、そちらに振れば今度はイスラエルが手を伸ばしてくる。

どちらに行っても、イスラエルなのか、イスラムなのか、という綱引きに巻き込まれる。世界がこの二つに引き裂かれるとは、そういうことです。

文明の衝突という枠組みは、自然に生まれたものではありません。作られています。

表層ではなく、構造を見てください。そして、誰が得をするのかで見てください。

そして私たち日本は、この構図にどっぷり浸かったままでいいのか。 真の独立とは、真の主権とは、何か。 その問いは、いまヨーロッパが目の前で見せてくれています。

ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。

今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. チクリ大臣の「同盟を築いた」という発言は、本当にあったのですか?

2026年8月11日ごろから拡散している映像の中の発言です。 ただし同じ投稿に含まれる「メディアを買収した」「恐喝した」という記述は、チクリ氏の発言ではなく投稿者の解釈であり、公開情報に証拠はありません「大臣が公然と同盟の存在を語った」という一点までが、確かな事実です。

Q2. イスラエル外務省が方針を変えたというのは、どういうことですか?

イスラエル外務省には長年、ヨーロッパの極右政党とは公式接触しないという方針がありました。 外交官が会うことすら禁じられていたのです。2025年2月、サアール外相がその線を自ら外し、国民連合・Vox・スウェーデン民主党との正式な対話を指示しました。 相手が変わったからではなく、自分の都合で外したという点が重要です。

Q3. なぜドイツのAfDだけが外されているのですか?

AfDは党内が割れているからです。 党首のアリス・ヴァイデル氏は「AfDこそドイツでユダヤ人を守る唯一の存在」とまで語っていますが、共同党首は武器輸出に批判的で、ホロコーストをめぐる過去の発言問題も残っています。 イスラエル政府はいまも公式接触を避けています。ヴァイデル氏は戦略的にすり寄っているが、まだ買われていない——これは私の読みです。

Q4. 「レッドグリーン同盟」は誰が言い出した言葉ですか?

イスラエルのチクリ大臣が、2024年7月31日のジューイッシュ・インサイダーのインタビューで用いています。 赤は社会主義者、緑はイスラム主義者。この二つが組んでユダヤ・キリスト教文明を潰しにきている、という彼の世界観を表す言葉です。 つまりイスラエル政府の側も、私たちと同じ地図を見ているということです。

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この記事を書いた人

反DS歴史研究者、調査ジャーナリスト。YouTube『あつまれニュースの森』(登録者10万人)にて反グローバリズムの視点で世界情勢・国内政治を解説。

本業だったコンサルタントから徐々に歴史研究にシフトしていく。日々リサーチする中、メディアや歴史が嘘だらけであり、この世界が一部の権力機構によって支配されてきたことに強烈な違和感と憤りを覚えるようになる。

グローバリズムの根源と実態を徹底的に研究。その歴史を旧約聖書まで遡り、現在のいわゆるディープステートのルーツがハザール系とアングロサクソン系の2系統にあることを突き止める。

2021年、YouTubeを開始し、グローバリストのルーツを徹底解剖するオンラインサービス『金子ゼミ』を立ち上げる。

グローバリストにより”修正”された歴史を”修復”する「歴史復元主義」を根本理念とする。

情報発信者としての信条は「左も右もない反グローバリズム・国益第一主義」「不偏不党」。

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