10月7日ハマス奇襲は「起こるに任せた」のか──元米陸軍大佐マクレガーの告発と、4つの動かせない事実

こんにちは。金子吉友です。

「あれは偽旗テロではない。だが、イスラエルは”起こるに任せた”のだ」――。安全保障の中枢にいた一人の元軍人が、YouTube番組でそう言い切りました。2023年10月7日、1200人もの命が失われたハマスの奇襲。その真相をめぐって、これまで数々の疑惑が囁かれてきましたが、ついに元米陸軍大佐、しかもトランプ第一次政権で国防長官の上級顧問を務めた人物が、実名で証言したのです。

証言したのはダグラス・マクレガー大佐。実戦経験を持つ軍人であり、およそ陰謀論者と呼べる人物ではありません。その彼が、証拠を積み上げながら「あの日、イスラエルは攻撃が来ることを分かっていて、あえて見過ごした」と語った。これは非常に重い。

今日は、2026年7月2日の配信でお伝えした内容をもとに、この10月7日の「動かせない事実」と、それが指し示す構造について、順を追って読み解いていきます。

目次

マクレガー大佐の告発──「偽旗ではない、だが”起こるに任せた”」

マクレガーの証言

まず、マクレガー大佐が何を語ったのかを整理します。彼が出演したのは、ジャーナリストのジェームズ・パトリック氏が運営するYouTube番組「The Big Picture」。2026年6月29日に公開された回で、そのタイトルはずばり「イスラエルが意図を引いている」というものでした。

ここで、なぜマクレガー氏の証言がこれほど重いのかを確認しておきましょう。彼はトランプ第一次政権でドイツ大使に指名され、国防長官の上級顧問を務めた人物です。湾岸戦争などで実際の戦闘を経験した退役軍人でもあります。つまり、軍事と安全保障の中枢を内側から知る立場にいた。ネット上の匿名の告発者でも、扇動を生業とするインフルエンサーでもありません。その彼が、自らの経歴を賭けて実名で語っている。この重みは、他の誰の発言とも比べものになりません。

そして大事なのは、マクレガー氏が「自作自演のテロではなかった」とはっきり区別している点です。ハマス自身が実際に攻撃を実行した。しかしイスラエルは、それが来ることを把握していながら、あえて「起こるに任せた」――英語で言えば「allowed to happen」、そして「setup(仕掛けられた)」だ、と主張しているのです。

彼がそう考える根拠は、大きく分けて4つあります。第一に、世界最高峰と言われるイスラエルの監視体制。マクレガー氏は2020年に実際にイスラエルの監視本部を訪れており、彼らがガザ内部の人間を一人ひとり丁寧に追跡していたと証言します。誰が発砲し、誰がしなかったか、トンネルにどう対処するかまで把握していた。彼らはガザの中で何が起こるのかを事前に知りうる立場にあった、と言うのです。

考えてみてください。国境にはフェンス、センサー、カメラが張り巡らされ、地下トンネルの動きすら追える。ドローンが常時上空を飛び、通信も傍受している。世界で最も厳重に監視された地域の一つが、ガザです。その監視網が「あの日に限って」、しかも数千発のロケットと大規模な地上侵入という、これ以上ないほど大がかりな作戦を前に、まったく機能しなかった。これを「たまたまの油断」で片付けられるだろうか――マクレガー氏の違和感は、まさにその一点にあります。

彼の結論は明快です。「これは明らかにセットアップ、仕掛けだった。自国民や世界から、ガザに住む人々に対する”望み通りの反応”を引き出すために設計されたものだ」。ここで言う「望み通りの反応」とは、ガザへの大規模侵攻を正当化する世論のことにほかなりません。

※参照:The Big Picture(James Patrick) https://www.youtube.com/

10月7日、4つの動かせない事実

4つの動かせない事実

マクレガー氏の主張が「陰謀論」で済まされないのは、それがいくつもの確認された事実の上に立っているからです。イスラエル自身や国連が認めた公式の記録が、その土台にあります。

女性監視兵の警告と黙殺

イスラエル軍には、国境を人力で監視する「タツピタニヨット」と呼ばれる女性兵士たちがいました。彼女たちは2023年の夏を通じて、ハマスが国境の監視所を破壊する訓練や、イスラエルの戦車の模型を攻撃する訓練を堂々と行っている様子を監視し、繰り返し上層部に報告していました。ところが、その警告はことごとく弾かれた。ある監視兵は、攻撃の可能性を訴え続けたところ「馬鹿を言うのをやめないなら軍法会議にかける」とまで脅されていた、と複数のメディアが報じています。

エジプトからの10日前の警告

さらに決定的なのが、エジプトからの警告です。エジプトの情報機関を率いるアッバス・カメル氏が、ハマスの攻撃の10日前に、ネタニヤフの事務所に直接「ガザで何か大きなことが起きようとしている」「異常で恐ろしい作戦だ」と警告していました。国家の情報機関のトップが、直々に警告していたのです。これはファクトです。

3時間の空白

そして、攻撃が始まった後、反応部隊が現場に到着するまで、多くの場所で数時間を要しました。元国連武器査察官のスコット・リッター氏は、IDFに「その場で待機せよ」というスタンドダウン命令が出されていたと指摘しています。もし部隊がすぐ駆けつけていれば、犠牲者も人質の数もはるかに少なかったはずです。その3時間、ハマスは次々と民間人を殺害していきました。

ハンニバル指令の発動

4つ目が、後で詳しく述べるハンニバル指令の発動です。これはハアレツや国連、イスラエル軍自身の調査で確認されている事実です。

これら4つは、いずれも「うっかり」では説明のつかないものばかりです。一つひとつを取れば「情報の見落とし」「対応の遅れ」と強弁できるかもしれません。しかし、世界最高水準の監視能力を持つ国が、複数の独立したルートから繰り返し警告を受けながら、そのすべてを無視し、さらに部隊を待機させた――この一連の流れを「偶然の失敗の重なり」で説明するのは、あまりに無理があります。マクレガー氏が「明らかにsetup(仕掛け)」と表現したのは、まさにこの不自然さの総体を指しているのです。西側メディアが当初描いた「慢心と油断が招いた悲劇」という物語は、事実が明らかになるにつれて、少しずつ綻びを見せています

ハンニバル指令とは何か──自国民をも撃つ論理

ハンニバル指令

ハンニバル指令とは、一言で言えば「イスラエル軍の兵士が敵に捕虜として連れ去られることを、あらゆる手段を使ってでも阻止せよ」という命令です。「あらゆる手段」――極端に言えば、兵士が捕虜になるくらいなら、その兵士もろとも攻撃して阻止せよ、という論理です。後で人質交換の材料にされるくらいなら、という発想です。

10月7日、この指令が実際に発動されました。国境付近で拉致が報告されると、無人の攻撃ドローンが差し向けられ、午前11時半頃には「ガザへ戻る車は一台も通すな」という命令が出されました。その車が拉致された人質を運んでいるかもしれない、それでも攻撃対象にする、という判断です。

調査報道メディア「グレイゾーン」のマックス・ブルメンタール氏は、イスラエル国防省の記録や映像を引きながら、多数の自国民がイスラエル軍自身の手で犠牲になったのではないかと告発しています。ベエリという共同体では、10数人の人質が捕らえられていると分かっていた家に、イスラエルの戦車が2発の砲弾を撃ち込みました。生き残ったのは、12歳の双子を含む10数人のうち、わずか2人だったといいます。

つまり、10月7日の犠牲者の中には、ハマスによってではなく、イスラエル軍自身の攻撃によって命を落としたイスラエル国民が相当数含まれていたこれはファクトなのです。もし反応部隊がすぐに現場へ駆けつけ、ハンニバル指令のような論理が働かなければ、犠牲者の数も、人質に取られた人の数も、はるかに少なかったはずです。あえて犠牲を増やすかのような判断が、現場で下されていた――この事実の重さを、私たちは軽く見てはいけません。

なお、当初西側で盛んに報じられた「赤ちゃんが斬首された」「集団レイプがあった」といった話については、ブルメンタール氏は証人の不在や証言の矛盾を指摘し、その多くが裏付けを欠くプロパガンダだったと結論づけています。こうしたセンセーショナルな話が、事実確認を経ないまま世界中に拡散し、ガザ侵攻を正当化する感情的な燃料になった。情報がどう作られ、どう使われたのか。ここにも「誰の目で見るか」という問いが突き刺さります。付け加えれば、ハンニバル指令という名称自体、イスラエル軍の中で長く半ば公然の秘密として存在してきたものであり、今回突然現れた概念ではありません。過去にも兵士の拉致事件のたびに取り沙汰されてきた、いわば「国家の論理」の一断面なのです。

※参照:The Grayzone https://thegrayzone.com/

事実と仮説の境界線──どこまでが確定で、どこからが見立てか

事実と仮説の境界線

ここで、冷静に線を引いておく必要があります。何が確定した事実で、どこからが見立てなのか。これを混同すると、議論そのものの信頼性が失われるからです。

確定している事実は、女性監視兵の警告が黙殺されたことエジプトが10日前に警告していたこと反応部隊が数時間遅れたこと、そしてハンニバル指令が発動され、自国民が味方の攻撃で犠牲になったことです。これらはイスラエル自身や国連、複数の主要メディアが認めています。

一方で、「イスラエルが意図的にこの攻撃を仕掛け、設計した」というマクレガー氏の結論は、あくまで彼の見立てです。状況から見てその可能性は高いと考えられますが、断定できる事実とは言い切れません。ここはきちんと区別しておかなければなりません。私自身も、そこは慎重に扱うべきだと考えています。

大切なのは、確定した事実だけでも、すでに「単なる情報機関の失敗」という公式説明では到底説明がつかない、ということです。

なぜ、この線引きにこだわるのか。それは、話を「自作自演」まで飛躍させてしまうと、かえって議論全体の信頼性が失われるからです。「イスラエルが全部やった」と断定してしまえば、一つでも反証が出た瞬間に、すべてが「陰謀論」として一蹴されてしまう。逆に、確定した事実だけを積み上げて「これは失敗では説明できない」と示すほうが、はるかに強い。マクレガー氏が「自作自演ではない」とわざわざ区別したのも、おそらく同じ理由からでしょう。証明できることと、推測にとどまることを厳密に分ける。その禁欲的な態度こそが、彼の証言に重みを与えているのです。私たちが情報に接するときも、この姿勢を見習うべきだと思います。感情的な断定ではなく、事実の積み重ねで語ること。それが、プロパガンダに流されないための、最良の防御になります。

同じ日を、世界はこう報じた──5人の識者の視点

5人の識者

同じ10月7日という出来事を、世界のメディアはまったく異なる目で報じました。西側主流のニューヨーク・タイムズなどは当初「史上最悪の情報機関の失敗」「慢心と油断が招いたもの」と報道しました。ところが時間が経つにつれ、そのNYTですら「警告は無視されていた」「一部でハンニバル指令が使われた」という事実を、後追いで認めざるを得なくなっていきます。興味深いことに、イスラエル紙ハアレツやタイムズ・オブ・イスラエル、Ynetなどは、むしろ自国に最も厳しく事実を暴いてきました。中東のアルジャジーラはパレスチナの文脈で、ロシア系のRTは「イスラエルは把握していて怒るに任せた」という見方を増幅しています。同じ一日が、立つ位置によってこれほど違って見える。だからこそ「誰の目で見るか」が決定的に重要になるのです。

問題は、「誰の目で世界を見るか」です。この事件を深く追った識者たちの視点を並べてみましょう。

  • マックス・ブルメンタール(グレイゾーン):ハンニバル指令と自国民犠牲の追及
  • スコット・リッター(元国連武器査察官):スタンドダウン命令と自軍による攻撃を指摘
  • ペペ・エスコバル(地政学アナリスト):イスラエルの政治的計算という文脈
  • ラリー・ジョンソン(元CIA分析官):攻撃の事前把握と黙認
  • ジョン・ミアシャイマー(国際政治学者):イスラエル・ロビーという構造

彼らに共通するのは、これを「単なる失敗」とは見ていない、という点です。とりわけラリー・ジョンソンやペペ・エスコバルは、より大きな文脈で捉えています。ネタニヤフ政権が長年ハマスを間接的に泳がせてきた、という事実です。

そもそもハマスは、エジプトのムスリム同胞団から派生して誕生しました。その後、イスラエルはカタール経由などでハマスに資金が流れることを黙認し、間接的に育ててきた。なぜか。ガザを統治していたファタハと対抗させ、パレスチナを「ファタハ対ハマス」に分断するためです。一枚岩のパレスチナは、イスラエルにとって最も恐ろしい。だからこそ、対抗勢力を育てて内部から割る。これは統治の常道です。

中東のテロ組織――アルカイダもISも――は、アメリカやイスラエルの金と武器が流れて肥大化してきた歴史があります。アルカイダが肥大化したのは、1980年代のソ連によるアフガニスタン侵攻がきっかけでした。これに対抗するため、アメリカはパキスタンの情報機関を通じて、現地の「ムジャヒディン(義勇兵)」に金と武器をばらまいた。目的は対ソ連です。その後、ISに対してもオバマ政権時代にアメリカの資金が流れていたことが分かってきています。トランプ大統領も選挙戦でこれに言及していました。

つまり、中東のテロ組織は、西側諸国やイスラエルが育ててきたと言っても過言ではない。ハマスも例外ではなかった。ファタハを牽制し、パレスチナを分断するために間接的に育てられ、泳がされてきた――大局から見れば、これはほぼ正しい見解だと私は考えています。だからこそラリー・ジョンソンやペペ・エスコバルは、10月7日を「モサドの失敗」ではなく「イスラエルの政治的計算」と読むのです。攻撃を許容し、それを口実にガザを制圧し、大イスラエル構想を進めるカードとして使った、と。この構造は、以前の記事「イスラエル・ロビー〝無敵神話〟はなぜ崩れたのか」でも触れたロビーの力学と地続きです。

もし事実なら──世界の反応の連鎖

世界の反応の連鎖

では、もしマクレガー氏の見立てが事実だと証明されたら、何が起こるのか。これは「仮説が事実だった場合の思考実験」として押さえておきましょう。

まず、イスラエルという国家の本質が世界に露呈します。次に、米国のイスラエル離れが決定的に加速する。すでに共和党でも民主党でも、そしてヴァンス副大統領のレベルでも、イスラエルへの視線は厳しくなっています。そして最終的に、イスラエルはかつてない国際的孤立に追い込まれる。

「なぜ自国民を犠牲にする国のために、血を流すのか」――この問いが、アメリカ国民の胸に突き刺さることになります。もし10月7日が「起こるに任せた」ものだったと広く受け入れられれば、それはイスラエルという同盟国への信頼の根幹を揺るがします。自国民の命さえ、より大きな目的のためのカードとして使う国。その国のために、なぜアメリカの若者が戦い、アメリカの税金が使われるのか――この素朴な問いは、いったん灯れば消えません。すでにその火は、共和党のMAGA層からも、民主党の進歩派からも、同時に上がり始めています。この米国のイスラエル離れについては、「『見捨てられるイスラエル』報道の罠」で詳しく論じました。

そしてマクレガー氏は、こう締めくくっています。「イスラエルの傲慢さ、思い上がりは息が詰まるほどだ。しかしそれは、彼らが我々をコントロールしているからだ。イスラエルがアメリカをコントロールしているからだ。それはいつ終わるのか。イスラエルがもはやアメリカの軍を、議会を、大統領をコントロールしなくなった時だ。だが今、彼らはその全てをコントロールしている」。国防長官の顧問だった人物の言葉として、これは重い。

窮地のイスラエルに残された危険なオプション

危険なオプション

いま、イスラエルは窮地に立たされています。内では10月7日の検証が進み、外では同盟国アメリカに見放されつつある。追い詰められた者ほど、危険な賭けに出るものです。

アナリストたちが警告する危険なオプションは、大きく2つです。1つは、新たな偽旗テロ、あるいは危機の演出で結束を取り戻すこと。もう1つは、7月4日から始まるイラン国葬で、姿なき最高指導者モジタバの暗殺を狙うこと。後者については、元CIA分析官ラリー・ジョンソン氏が警告しており、昨日の記事「ハメネイ国葬でイスラエルは暗殺を仕掛けるのか」で詳しく扱いました。

なぜ「窮地の者ほど危険な賭けに出る」のか。ネタニヤフ首相自身が、収賄・詐欺・背任の裁判で追い詰められており、首相の座を失えば牢獄行きがほぼ確定していると言われているからです。彼にとって、戦争は延命装置です。停戦が定着し、平時に戻れば、待っているのは司法の裁きだけ。だからこそ、緊張を保ち、必要なら新たな衝突の火種を作る強い動機がある。国家の存亡と、一人の政治家の保身が、危険な形で重なっているのです。10月7日の教訓は、まさにここにあります。「あの日、警告は無視された」という事実を知った今、私たちは次の「起こるに任せる」瞬間を、見過ごしてはならないのです。

ここで思い出すべきは、9・11との類似です。9・11は「偽旗」ではありませんでした。アメリカ政府は、アルカイダのテロ要員が国内に送り込まれ、その容疑者たちが飛行訓練を受けていることを掴んでいながら、「起こるに任せた」のです。10月7日の構図と、驚くほど似ています。攻撃を捏造するのではなく、来ると分かっている攻撃をあえて防がない。そうすれば、実行犯は本物ですから証拠も残らず、しかも望み通りの「大義」が手に入る。これが、最も巧妙で、最も証明の難しいやり方なのです。

一方、USSリバティ号事件のように、イスラエルが自作自演の攻撃を仕掛けた実例もあります。1967年、イスラエル軍がアメリカの情報収集艦リバティ号を攻撃し、多数の米兵が死傷した事件です。これはトーマス・マッシー議員が議会で告発するまで、長らく「事故」として封印されていました。明らかにイスラエルによる意図的な攻撃だったにもかかわらず、です。この歴史は「米国は本当にイスラエルの同盟国なのか」で詳述しています。

要するにイスラエルは、「自作自演で仕掛ける」パターンと、「来る攻撃を起こるに任せる」パターンの、両方の前科を持つ国だということです。60日間の停戦期間中、イスラエルが何かを仕掛け、それをイランのせいになすりつける可能性は、十分に警戒しなければなりません。

まとめ──表層ではなく構造を、そして日本への問い

構造を見る

最後に、公平に申し上げておきます。マクレガー氏の「イスラエルが仕掛けた」という結論は、あくまで彼の見立てであり、断定できる事実ではありません。しかし、女性監視兵の警告の黙殺、エジプトの10日前の警告、3時間の空白、そしてハンニバル指令による自国民の犠牲――これらはすべて、確定した事実です。この事実の重みだけでも、私たちは「単なる失敗だった」という説明を鵜呑みにするわけにはいきません。

そのニュースは、誰の目を通して届いているのか。事実と解釈を、自分で選り分けられているか。国家は目的のためにどこまでのことをしうるのか。これは反ユダヤ主義の話ではありません。問うているのは、「国家の本質」です。表層ではなく、構造を見てください。

ここで見落としてはならないのが、アメリカ政治の底で進む地殻変動です。マクレガー氏の言う「イスラエルがアメリカの軍・議会・大統領をコントロールしている」状態は、次の大統領が誰になっても続くように設計されつつあります。共和党側はMAGAを装った「イスラエル・ファースト」の候補が立ち、民主党側では、いま急速に伸びるアメリカ民主社会主義者(DSA)が現職を次々と破っている。ニューヨーク市長選でマムダニ氏がクオモ氏を破ったのは象徴的で、あのカマラ・ハリス氏までもがDSAに接近し、マムダニ氏と密かに面談したと報じられています。つまり次の選挙は、「イスラエル・ファースト対パレスチナ・ファースト(+行き過ぎた社会主義)」という二択になりかねない。そしてイスラエルは、どちらが勝っても困らないよう、軍事技術と諜報部門の統合を巨大な法案パッケージに忍び込ませ、成立させようとしている。誰が大統領になっても、軍と情報はイスラエルが掌握する――そういう構造が、いま作られているのです。

そして私たち日本です。アメリカがイスラエルに飲み込まれ、その日本はアメリカに飲み込まれている。この「入れ子構造」を知っておかなければなりません。中東の激動は、エネルギーを通じて、そのまま私たちの暮らしに直結します。にもかかわらず、日本政府はイスラエルを支持する立場を崩さず、10月7日の疑惑も、ガザのジェノサイドも、レバノンやヨルダン川西岸の入植地で連日起きている暴力も、ほとんど報じようとしない。日本政府の立場と矛盾するからです。それどころか、ガザで実際にパレスチナ人を殺傷しているイスラエル製の攻撃型ドローンの技術を、日本政府は購入契約しているのです。パランティアのAIを無警戒に採用する姿勢とあわせて、この国の危うさが見えてきます。この点は「自衛隊に『パランティアAI』が入った日」で論じた通りです。そろそろ指導者を変え、この構造を直視する時が来ているのではないでしょうか。

目を開いて、構造を見る。誰かに与えられた物語をそのまま信じるのではなく、その物語を「誰が」「何のために」語っているのかを問う。それは特定の民族や宗教を憎むこととは、まったく違います。むしろ、事実に誠実であろうとする態度そのものです。真の独立とは、真の主権とは何か。そして私たちは、自分の頭で世界を見る力を持っているか。私たちは何度でも、その問いに立ち返らなければなりません。

ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。

今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. マクレガー大佐は「10月7日は自作自演だった」と言ったのですか? A. いいえ。彼は「自作自演のテロではなかった」と明確に区別しています。ハマス自身が攻撃を実行したうえで、イスラエルがそれを事前に把握しながら「起こるに任せた(allowed to happen)」「仕掛けられた(setup)」ものだ、という主張です。攻撃を捏造したのではなく、防げたのに防がなかった、という指摘です。

Q2. どこまでが確定した事実で、どこからが推測ですか? A. 女性監視兵の警告の黙殺、エジプトによる10日前の警告、反応部隊の3時間の遅れ、ハンニバル指令の発動と自国民の犠牲は、イスラエル自身や国連、複数メディアが認めた事実です。一方、「イスラエルが意図的に仕掛け、設計した」という点はマクレガー氏の見立てであり、断定できる事実ではありません。

Q3. ハンニバル指令とは何ですか? A. イスラエル軍の兵士が敵の捕虜になることを、あらゆる手段を使ってでも阻止せよという命令です。極端な場合、兵士が捕虜になるくらいならその兵士もろとも攻撃する、という論理を含みます。10月7日にはこれが発動され、人質のいる家屋への砲撃などで、自国民が味方の攻撃により犠牲になったことが確認されています。

Q4. なぜイスラエルがハマスを「泳がせてきた」と言えるのですか? A. ハマスはエジプトのムスリム同胞団から派生し、その後イスラエルはカタール経由などでの資金流入を黙認してきたとされます。狙いは、ガザを統治していたファタハと対抗させ、パレスチナを分断することにありました。ラリー・ジョンソン氏やペペ・エスコバル氏は、この長年の構造こそが10月7日の背景にあると指摘しています。

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この記事を書いた人

反DS歴史研究者、調査ジャーナリスト。YouTube『あつまれニュースの森』(登録者10万人)にて反グローバリズムの視点で世界情勢・国内政治を解説。

本業だったコンサルタントから徐々に歴史研究にシフトしていく。日々リサーチする中、メディアや歴史が嘘だらけであり、この世界が一部の権力機構によって支配されてきたことに強烈な違和感と憤りを覚えるようになる。

グローバリズムの根源と実態を徹底的に研究。その歴史を旧約聖書まで遡り、現在のいわゆるディープステートのルーツがハザール系とアングロサクソン系の2系統にあることを突き止める。

2021年、YouTubeを開始し、グローバリストのルーツを徹底解剖するオンラインサービス『金子ゼミ』を立ち上げる。

グローバリストにより”修正”された歴史を”修復”する「歴史復元主義」を根本理念とする。

情報発信者としての信条は「左も右もない反グローバリズム・国益第一主義」「不偏不党」。

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