こんにちは。金子吉友です。
「アメリカがイスラエルを見捨て始めた」「ネタニヤフ、ついに終わりの足音」――いま、世界中のメディアがそう書き立てています。副大統領が同盟国の閣僚を公然と罵倒し、世論調査では共和党の若者の過半数がイスラエルに背を向け、当のネタニヤフ首相は選挙・世論・裁判・同盟国の離反という四方から追い詰められている。一見すると、長く続いたイスラエルの「無敵神話」がいよいよ崩れ落ちる瞬間に見えます。
しかし、私はこのニュースをまったく逆から読んでいます。報道が「見捨てられるイスラエル」と書くときこそ、その裏で何が動いているかを疑うべきだからです。ネタニヤフという一人の政治家が消えても、後継として控えるのは別の強硬派。そしてイスラエルは、影響力を失うどころか、ヨーロッパの小国の政権を丸ごと「作り替え」、世界中に親イスラエル政権を量産しています。
今日は、2026年6月29日の配信でお伝えした内容をもとに、「表層」ではなく「構造」を見る視点で、いま中東とイスラエルをめぐって起きていることを整理していきます。
「見捨てられるイスラエル」という報道を、なぜ逆から読むべきか

まず、最新のイラン情勢から押さえておきましょう。
2026年6月17日、トランプ大統領とイランのペゼシキアン大統領が覚書(MOU)に署名しました。ところが、それからわずか10日後、停戦は早くも空文化します。先に仕掛けたのはアメリカ軍でした。6月27日、米軍がイラン沿岸の5カ所を空爆。これに対してイランは6月28日、クウェートのアリ・アル・サレム空軍基地(米軍基地)と、バーレーンにあるアメリカ第5艦隊の司令部に向けて、弾道ミサイルとドローンで報復しました。ホルムズ海峡を通るタンカーへの攻撃をきっかけに、米軍がイランを叩くのはこれで3週間で3度目です。
本来であれば、両者は核協議のテーブルにつくはずでした。ところが6月30日にカタールのドーハで予定される再協議は、核ではなくホルムズ海峡と停戦違反をめぐる話にすり替わっています。肝心の核協議は、一向に進みません。
これは偶然ではありません。核協議が進めば、イランの核開発をめぐる「脅威論」という、イスラエルが軍事行動を正当化するための最大の口実が消えてしまうからです。だからこそ、停戦は結ばれては破られ、議題は核から目先の小競り合いへと逸らされ続ける。「合意はするが、決して着地はさせない」――この繰り返しのなかで、緊張だけが温存されていきます。米軍が3週間で3度もイランを叩いているという異常な事態が、「停戦」という言葉で覆い隠されているのです。
こうした緊張のなかで報じられているのが、「アメリカがイスラエルを見捨て始めた」という物語です。たしかにトランプ大統領はネタニヤフをぼろくそに言っている、と報じられています。しかし、これを報じているのはアクシオスというイスラエル寄りのメディアです。私はこれを、ただの見せかけ、いわば「お芝居」だと理解しています。
なぜなら、アメリカとイスラエルは技術・防衛・諜報の分野で統合をさらに進めようとしているからです。米国の技術や諜報情報がイスラエルに合法的に共有されていく――そうした法整備が水面下で進んでいることは、これまでの配信でも繰り返しお伝えしてきた通りです。劇的にアメリカがイスラエルと袂を分かつ、などということは、構造的に考えられないのです。
※参照:Axios「Republicans are falling out of love with Israel」(2026年6月28日付) https://www.axios.com/
米国で進む「イスラエル離れ」──共和党も民主党も背を向け始めた

とはいえ、アメリカ国民のレベルで「イスラエル離れ」が進んでいることは、動かしがたい事実です。これは演出ではなく、本物の地殻変動です。
J・D・ヴァンス副大統領の公然批判
その象徴が、J・D・ヴァンス副大統領の発言です。2026年6月18日、ヴァンスはイスラエルの閣僚たちを公の場で名指し批判しました。彼の言葉をそのまま紹介します。
「この3カ月、あなたたちの祖国を守ってきた防衛兵器の3分の2は、アメリカ人の手で作られ、アメリカ国民の税金で支払われたものだ。もし私がイスラエルの閣僚の立場なら、世界で最後に残った唯一の強力な同盟国を攻撃したりはしないだろう」
名指しされたのは、スモトリッチ財務相、ベングビル国家安全保障相などです。ヴァンスはさらに「あらゆる問題を、殺すことで解決などできない」とまで言い切りました。同盟国であるはずのイスラエルの閣僚に向かって、副大統領が「お前たちを守ってやっているのは誰だと思っているんだ」と公然と言い放った格好です。
ただし、私はこのヴァンスの批判もある程度は「茶番」ではないかと疑っています。後で述べるように、ネタニヤフを批判したところで、次に来るのもまた強硬派だからです。
※参照:Haaretz(2026年6月18日付) https://www.haaretz.com/
世論調査が示す世代間ギャップ
数字を見ても、流れは明らかです。
- ピュー・リサーチ:18〜49歳の共和党員のうち、実に57%がイスラエルに非好意的
- ギャラップ:共和党のイスラエルへの同情は70%(2年前から10ポイント低下)
- キニピアック:「アメリカはイスラエルを支援しすぎだ」という回答が、2023年10月7日と比べて3倍に増加
そしてこの流れを象徴するのが、タッカー・カールソンです。彼はトランプのイラン戦争への怒りから「中間選挙では共和党に投票しない」と明言しました。「自国民よりも外国の利益を優先するような政党を、私は支持できない」というのです。キャンディス・オーウェンスは「イスラエルがアメリカを戦争に引きずり込んだ」という趣旨の投稿を繰り返し、論客のニック・フエンテスに至っては「いっそ民主党に入れろ」とまで言い出している。これはPBSなども報じている、共和党内部の深い亀裂です。
AIPAC無敵神話の崩壊とマムダニ旋風
民主党側でも変化は起きています。ニューヨークの予備選で、ゾーラン・マムダニが支援する3人の候補が全員勝利しました。しかも、彼らが破ったのは、いずれもAIPAC(アメリカ最大のイスラエル・ロビー)から多額の献金を受け取っていた現職議員です。イスラエルと繋がりのある議員が、次々と落選している。AIPACの「無敵神話」は、確実に崩れ始めています。この経緯は、以前の記事「イスラエル・ロビー〝無敵神話〟はなぜ崩れたのか」でも詳しく解説しました。
ここで起きているのは、右の共和党では「アメリカ・ファースト」を掲げる層が、左の民主党では進歩派が、それぞれ別の入り口から同じ「イスラエル離れ」にたどり着いている、という現象です。左も右も――アメリカ国民が、自国の利益よりイスラエルを優先する政治に、はっきりと背を向け始めた。これは一過性のブームではなく、世代交代をともなう構造的な変化です。なお、AIPACが弱体化する一方で、より穏健な顔をした「J Street」のような組織が影響力を伸ばしている点にも注意が必要です。ロビーは消えるのではなく、姿を変えて生き延びようとしているからです。この三層構造については「アメリカを支配するイスラエル・ロビーの正体」で詳述しました。
※参照:PBS NewsHour https://www.pbs.org/newshour/
ネタニヤフを追い詰める4つの包囲網

こうした逆境のなかで、ネタニヤフ自身もいよいよ追い詰められています。彼を取り囲む包囲網は、大きく4つです。
第一に、選挙。超正統派(ハレディ)の徴兵免除をめぐる対立がこじれ、イスラエルの国会クネセトは解散に追い込まれました。総選挙は遅くとも2026年10月27日まで、早ければ9月に行われます。
第二に、世論。イスラエル民主主義研究所の調査では、61%の国民が「ネタニヤフは次の選挙に出馬すべきではない」と回答。チャンネル12の調査でも59%が同様の答えでした。国民の6割が「もうやめてくれ」と言っているのです。
第三に、裁判。ネタニヤフは収賄・詐欺・背任の3つの事件で裁判にかけられており、2026年6月24日、98回・18カ月に及んだ証言をついに終えました。判決はまだですが、彼はヘルツォグ大統領に恩赦を願い出ており、率いる連立与党は時効そのものを取り消す法案まで進めようとしています。司法から逃げ切ろうという魂胆です。そもそも裁判を避けるためにこそ戦争を継続してきた人物ですから、何の不思議もありません。
第四に、同盟国アメリカの離反。先に述べたヴァンスの批判に象徴される動きです。
選挙、世論、裁判、そして同盟国の離反。この4方面からガチガチに包囲されているのが、いまのネタニヤフの姿です。「不死身」とまで言われた男に、ようやく終わりの足音が聞こえてきた――多くのメディアはそう報じています。
※参照:The Times of Israel https://www.timesofisrael.com/
後継者ナフタリ・ベネットも強硬派という現実

では、ネタニヤフが去った後、誰がその椅子に座るのか。ここが最も重要なポイントです。
受け皿「ベアド連合(共に)」とは何か
最有力とされるのが、野党連合「ベアド(共に、の意)」です。2026年4月26日に結成されたばかりの、できたてほやほやの選挙連合で、元首相経験者のナフタリ・ベネットが率いる「ヤミナ」と、ヤイル・ラピドの「イェシュ・アティド」が組んだものです。世論調査では、ネタニヤフのリクード党と互角に渡り合うところまで来ています。
リーダーのナフタリ・ベネットは、ぜひ覚えておいていただきたい人物です。イスラエル軍の精鋭部隊サイレト・マトカルの出身で、除隊後はアメリカでハイテク企業を立ち上げ、それを売却して若くして大富豪になりました。その後ネタニヤフの首席補佐官を務め、さらにヨルダン川西岸の入植者協議会(入植地を束ねる組織)の事務局長に就任。2021年から2022年にかけては、反ネタニヤフの連立をまとめ上げて首相の座につきました。軍・カネ・政治のすべてを経験した人物です。
看板は替わっても中身は同じ

このニュースだけを見ると、ベネットは「政権交代の希望」に映るかもしれません。ついにネタニヤフがいなくなり、イスラエルもまともな国になる――そう思いたくなります。しかし、表層ではなく構造を見る必要があります。
ベネットの主張を見れば一目瞭然です。彼ははっきりと「パレスチナ国家は認めない」「二国家解決などとんでもない」と言い切っています。一貫してヨルダン川西岸の併合を志向してきました。対イランでは、2026年6月のピアーズ・モーガンとのインタビューで「もう一度首相になれば、私はイラン政権にとって最悪の悪夢になる」とまで豪語しています。さらに「イスラエルという国家がなければ、中東はジハード主義者が跋扈し、再び9.11のような出来事が起こる。イスラエルはアメリカにとって空母のような役割を果たしている」とも語っています。
つまり、主張そのものはネタニヤフとまったく共通している。看板は替わっても、中身は同じ強硬派なのです。ネタニヤフという個人がいなくなればイスラエルは変わる、中東は平和になる――そう一見思ってしまいますが、その後に待ち構えているのは、別の強硬派です。この「ネタニヤフ退陣」をめぐる演出については、「『もう一度9.11が必要だ』発言の真相」でも触れた通り、個人の交代劇に目を奪われてはいけません。
注意すべきは、ベネットが今、やや中道寄りの主張を見せている点です。これはネタニヤフを批判して支持を集めるための戦術であり、メディアもそのイメージを後押ししています。イスラエル国民もそれに引っ張られる可能性がある。しかし、彼の本性は強硬派です。「新しい顔」が本当に新しいのかどうか――履歴書を一枚めくれば、答えはすぐに見えてきます。むしろネタニヤフよりも、対イランで強硬に転じる危険すらあるのです。
そしてこの「規定路線」を、イスラエルのメディアは静かにサポートしています。ネタニヤフは退場し、ベネットが次の首相になる。その筋書きが、すでに着々と準備されつつあるということです。
スロベニア政権の「作り替え」とブラックキューブの影

そして、今回の配信で最も注目すべきなのが、ヨーロッパの小国スロベニアで起きた政権の「作り替え」です。
スロベニアでは今年、新しい首相が誕生しました。彼は就任するや、前政権が決めたパレスチナ国家の承認を凍結し、大使館をテルアビブからエルサレムへ移転すると発表します。EU加盟国がエルサレムに大使館を移すのは、これが初めてです。象徴的だったのは、就任からわずか数分で、政府庁舎からパレスチナの旗が降ろされたことでした。
問題は、なぜこんな転換が起きたのかです。実は、この選挙の前に「ブラックキューブ」という会社がスロベニアに人を送り込んでいました。ブラックキューブとは、元モサド・元イスラエル国防軍の将校たちが作った民間の諜報会社、いわば「民間モサド」です。報道機関やNGO、政治家を標的に、依頼を受けて秘密の工作を行うことで知られています。
驚くべきことに、この介入をスロベニアの情報機関自身が「外国による選挙干渉だ」と認めているのです。前政権を揺さぶる工作が行われた、と。もちろん新首相本人は不正な工作への関与を否定していますし、ブラックキューブが選挙を操作したと断定はできません。しかし、スロベニアの情報機関がそう認めているという事実は重い。EUで最も親パレスチナだった政権が倒れ、EUで最も親イスラエルの政権が生まれた――この「政権の作り替え」が、私たちの目の前で起きたのです。
興味深いことに、新首相がパレスチナの旗を降ろした一方で、スロベニアの大統領は抗議の意思として大統領府にパレスチナの旗を掲げ返しました。国そのものが分断するような、ねじれた状況が生まれています。それでもイスラエルのメディア、エルサレム・ポストやタイムズ・オブ・イスラエルは、この政権交代を大歓迎で報じています。彼らがこれほど食いついているという事実こそ、この出来事の意味を雄弁に物語っているのではないでしょうか。
スロベニアは、ヨーロッパにある美しい小国です。一見すると、私たちの暮らしとは遠い場所の話に思えます。しかし、ひとつの主権国家の外交方針が、選挙を経た数分のうちに180度ひっくり返る。その背後に民間諜報会社の影がちらつく。これが「他人事」でないことは、これから述べる日本の状況を見れば分かります。
※参照:The Jerusalem Post https://www.jpost.com/
「親イスラエル政権の量産」と日本への侵食

ここまでの話を整理すると、ひとつの構造が浮かび上がります。アメリカでイスラエルの影響力は世界中で後退しているように見える。しかしその裏側で、彼らはヨーロッパの小国の政権を作り替え、自分たちに都合のいい政府を生み出している。イスラエル国内でも、ネタニヤフが去っても別の強硬派が待っている。
反グローバリズム運動という隠れ蓑
イスラエルは、世界中の右派勢力を支援して「親イスラエル政権を量産」しているのではないか――これが今回の核心です。注意すべきは、彼らが「反グローバリズム」という旗印を隠れ蓑にしている点です。イギリスのリフォームUK、フランスのマリーヌ・ルペン率いる国民連合、ドイツのAfD(アリス・ヴァイデル)――その幹部連中は、例外なくイスラエルとの繋がりを持っています。アメリカのMAGA運動も例外ではありません。
「反グローバリズム」を掲げている組織の実態を、私たちは注意深く見ていく必要があります。彼らがイスラエルからの支援を受けている可能性がある以上、反グローバリズムという運動そのものが、イスラエルによって乗っ取られたマーケティングである可能性すらあるのです。この「反グローバリズムの乗っ取り」という論点は、「ピーター・ティールが創設した秘密結社『Dialog』の正体」とも深く繋がっています。
パランティアと自衛隊──無防備な日本
そして日本です。アメリカがイスラエルに飲み込まれ、その日本はアメリカに飲み込まれている。パランティアやアンドリルといったAI企業が、次々と日本に進出してきています。自衛隊は先日、パランティアのAIを採用したアメリカとの共同演習を行ったばかりです。
ご存じない方も多いかもしれませんが、スイスもドイツもパランティアの技術を警戒しています。ドイツは一度採用したものの危険とみなして契約を解除し、スイスは元から契約していません。それなのに、日本はノーガードでパランティアを採用してしまった。日本にもイスラエルの代理機関は数多く存在し、ときにキリスト教団体のような姿をしています。気をつけなければなりません。この問題は「自衛隊に『パランティアAI』が入った日」で詳しく論じています。
イスラエルという国は、いわば世界中にセル(細胞)をばらまくように代理人を配置し、工作員を抱えるスパイのネットワークを持っています。膨大なスポンサー、いわゆる「メガドナー」たちのグループがいて、資金力がある。テック企業やSNS、メディアも、その多くがユダヤ系資本の影響下にあります。そして政治家の多くがAIPACに買収されている。この多層的な支配構造があるからこそ、いつでも世界の世論を動かすことができるのです。
アメリカ福音派を縛る「スコフィールド聖書」のからくり
もうひとつ、見逃せない論点があります。アメリカの福音派(エヴァンジェリカル)が、なぜここまで熱烈にイスラエルを支持するのか、という問題です。
その鍵を握るのが「スコフィールド聖書」です。サイラス・スコフィールドという人物が作った注釈付き聖書によって、「イスラエルの建国を支持することがキリスト教徒の使命である」という教えが信者のあいだに拡大していきました。しかし重要なのは、その背後にユダヤの資本と国際派弁護士たちのネットワークが存在し、この思想を計画的に「マーケティング」していたという点です。
最近、タッカー・カールソンの番組に神学者のJDホール氏が出演し、この件を包み隠さず暴露しました。なぜアメリカの福音派がこれほど強烈にイスラエルを支持するのか――その種明かしを公の場で語る神学者がついに現れたのです。私はこれを、非常にポジティブな出来事だと受け止めています。アメリカの宗教的支持基盤そのものが「作られたもの」だと明かされ始めているからです。
※参照:金子吉友ブログ「自衛隊に『パランティアAI』が入った日」 https://blog.kanekoyoshitomo.com/?p=2059
まとめ──表層ではなく、構造を見よ
最後に、公平に申し上げておきます。ネタニヤフの政治生命が危機にあること、アメリカ国民のあいだでイスラエル離れが進んでいることは、いずれも事実です。トランプがネタニヤフに苛立っているという報道も、複数のメディアが裏付けています。ベネットが完全にネタニヤフの後を継ぐと決まったわけでもなければ、スロベニアの政権交代にブラックキューブが決定的に関与したと断定できるわけでもありません。そこには留保すべき点があります。
しかし、それでも残る、動かしがたい事実があります。アメリカとイスラエルは技術・防衛・諜報の統合を進めている。ネタニヤフの後継候補もまた強硬派である。EUで最も親パレスチナだった政権が、たった一度の選挙で最も親イスラエルの政権に置き換わった。そして「反グローバリズム」を掲げる世界中の右派政権の幹部が、イスラエルと繋がっている。
メディアは「イスラエルが見捨てられた」「ネタニヤフが終わった」という表面像で、この問題を片付けようとします。けれども、表層ではなく構造を見てください。一人の指導者が去ることと、構造が変わることは、まったく別の話です。むしろ「見捨てられるイスラエル」という報道こそ、私たちの目を構造から逸らすための演出かもしれないのです。
そして私たち日本は、そのアメリカを通じて、静かに侵食されつつあります。自衛隊のシステムに外国のAIが入り込み、それに誰も抗議しない。スロベニアで起きた「政権の作り替え」は、決して遠い国の出来事ではありません。膨大な資金力、メディアとSNSの掌握、買収された政治家、宗教を装った支持基盤、そして民間の諜報会社――これらを組み合わせれば、一国の世論も外交も、外から作り替えることができる。その手法は、すでに世界各地で実証されています。日本だけが例外でいられる保証は、どこにもありません。
大切なのは、ニュースの見出しに一喜一憂しないことです。「イスラエルが追い詰められた」と聞いて安心し、「ネタニヤフが辞めた」と聞いて中東に平和が訪れると期待する――その反応こそ、相手の思う壺なのかもしれません。真の独立とは、真の主権とは、いったい何なのか。私たちは何度でも、その問いに立ち返らなければなりません。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
今回の内容をさらに詳しく解説した動画は、私のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ「イスラエルが見捨てられる」という報道を逆から読むべきなのですか? A. 報道の多くがイスラエル寄りのメディア発であり、米イ関係は技術・防衛・諜報の統合という形で構造的に深まり続けているからです。一人の指導者への批判や世論の変化があっても、両国の制度的な結びつきは変わっていません。表面的な対立報道が、その構造から目を逸らさせる演出として機能している可能性があります。
Q2. ナフタリ・ベネットはネタニヤフとどう違うのですか? A. 経歴は異なりますが、政策の本質は共通しています。ベネットも「パレスチナ国家を認めない」「ヨルダン川西岸の併合を志向する」「対イラン強硬」という点でネタニヤフと一致しており、看板が替わっても中身は同じ強硬派です。現在は批判のために中道寄りの主張を見せていますが、本質は変わらないと見るべきです。
Q3. ブラックキューブとは何ですか? A. 元モサド・元イスラエル国防軍の将校たちが設立した民間の諜報会社で、「民間モサド」とも呼ばれます。報道機関・NGO・政治家を標的にした秘密工作で知られ、スロベニアの政権交代をめぐっては、同国の情報機関が「外国による選挙干渉」と認める事態になっています。
Q4. 日本にとって、この問題はどう関係しますか? A. アメリカがイスラエルの影響を強く受け、その日本はアメリカに深く依存しています。自衛隊がパランティアのAIを採用したように、警戒すべき技術がノーガードで導入されつつあります。ドイツやスイスが警戒する技術を無防備に受け入れる日本の姿勢は、主権の観点から問い直す必要があります。

