こんにちは。金子吉友です。
三笠宮家の彬子女王殿下が、8月7日からブータンを訪問されています。
日本とブータンの外交関係樹立40周年にあたる年で、王妃陛下からのご招待による2回目のご訪問。国王ご夫妻への表敬も済まされました。ここまでは、なんの問題もない、喜ばしいニュースです。
問題は、その隣です。
殿下のご訪問に、ぴったりと寄り添うように随行している人物がいます。伊藤穰一氏──千葉工業大学の学長であり、そして、ジェフリー・エプスタインからの資金提供が発覚してMITメディアラボ所長を辞任した、あの人物です。
なぜ、この人物が、そこにいるのか。
調べていくと、ブータンの国家事業と、千葉工業大学と、皇族を結ぶ一本の線が浮かび上がってきました。
今日はその構造をお話しします。ただし最初にお断りしておきます。 この件には確定した事実と、私の見立てと、まだ裏の取れていない話が混在しています。その三つを、はっきり分けてお伝えします。
ブータンに同行した男──何が起きているのか

まず、事実関係から整理します。
- 2026年8月7日から14日まで、彬子女王殿下がブータンをご訪問。王妃陛下からのご招待による2回目のご訪問で、国王ご夫妻への表敬や茶会が予定されていた
- そのご訪問に、千葉工業大学学長の伊藤穰一氏が同行している
- SNSに投稿された写真では、どこへ行くにも殿下のすぐ隣に伊藤氏がいる
私の見た印象を率直に申し上げます。 これは、ツアーコンダクターです。
訪問先のアレンジメント、面談のセッティング、日程の管理──そのすべてを自分で組んで、随行している。 そう見える写真の並びなのです。
では、なぜ千葉工業大学の学長が、皇族のブータンご訪問に随行しているのか。
答えは、ブータンで動いている巨大な国家プロジェクトにあります。
伊藤穰一とは何者か──エプスタイン問題で失ったものと、その後

話を進める前に、伊藤穰一氏という人物について、記録に残っている事実を確認しておきます。
MITメディアラボ所長の辞任
- 伊藤氏は2011年から2019年まで、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務めていた
- 2019年9月7日、辞任を表明。 少女への性的虐待などで逮捕され、勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタインから資金を受け取っていたことを認めたためです
- MITがエプスタインから受け取った寄付は、約20年間で計80万ドル(当時のレートで約8,500万円)
- さらに、伊藤氏個人が立ち上げた投資ファンドに、約120万ドル(約1億2,500万円)が入っていた
- 辞任の直接のきっかけは、米誌ニューヨーカーが2019年9月6日に報じた記事でした。伊藤氏とメディアラボの同僚が、エプスタインを寄付提供者として不適格な人物と認識したうえで、記録上は匿名扱いにするなど、交友関係を意図的に隠していたと報じられたのです
ここが重要です。 「知らずに受け取ってしまった」のではありません。 不適格だと分かっていて受け取り、そのうえで隠していた、と報じられたのです。
伊藤氏はこの一件で、マッカーサー財団やナイト財団の理事、ニューヨーク・タイムズの社外取締役の職も辞任しました。
島への訪問について
そして、エプスタインの私有島──通称「リトル・セント・ジェームズ」の話です。
この点については、第三者による明確な証言があります。
リンクトイン創業者のリード・ホフマン氏が、「ジョイ・イトウ(伊藤穰一氏)と一緒にエプスタインの島へ行った」と認めています。ホフマン氏によれば、伊藤氏がMITのためにエプスタインから資金を集めるのを手伝ってほしいと頼まれたのがきっかけで、島に1泊したとのことです。
これは伝聞ではありません。2026年2月、ホフマン氏自身がX上で明らかにしたものです。 「伊藤穰一氏に招待されてリトル・セント・ジェームズ島を訪れた」「伊藤氏がMITの資金調達のためにエプスタインから寄付を受けるのを手伝うよう求められた」と述べ、あわせて「エプスタインとの関わりを後悔している」と付け加えています。
公開された関連文書からは、2014年の3月と11月に島への訪問が予定されていたことも示されています。
つまり、「伊藤氏が誘った側である」という点まで、ホフマン氏の口から語られているということです。

さらに、公開されたエプスタイン関連文書をめぐる報道では、伊藤氏の名前が文書中に多数登場し、島への訪問が複数回あったことを示す記録があるとされています。
そして、伊藤氏自身の反応です。 島を訪れたことがあるかと問われた際、彼はこう答えたと報じられています。
「確認したが、犯罪や違法な活動は一切見ていない」
行ったか行っていないかを、明確に否定していないのです。
ここで、公平を期して明確に申し上げます。
伊藤氏は、性犯罪その他の罪で訴追されてはいません。 資金を受け取っていたこと、それを隠していたと報じられたこと、島を訪れていたとされること──これらと、犯罪行為に関与したかどうかは、別の問題です。
私の見立てとしては「疑惑が晴れていない」と申し上げます。 ですが、それは有罪の断定ではありません。 ここは、はっきり分けておきます。
それでも残った肩書き
問題はここからです。
2019年、彼はアカデミズムの世界から一度は追放されました。 そして日本に戻ってきた。
ところが──
- 2021年12月、千葉工業大学「変革センター」の所長に就任
- 2022年1月、同大学の評議員に就任
- 2023年7月、千葉工業大学 第14代学長に就任
そして、それだけではありません。
彼は日本政府のデジタル庁のアドバイザーを務めていました。 政府の有識者会議にも複数関わっていた。アメリカでエプスタイン文書が公開され、日本でも話題になった段階で、ようやくアドバイザーを退いています。
さらに遡れば、初代デジタル大臣の平井卓也氏が、伊藤氏をデジタル監に起用しようとして問題になった経緯もあります。 報道が騒ぎ、立ち消えになりました。
エプスタインから資金を受け取り、島を訪れたとされる人物が、日本政府の要所でアドバイザーを務めていた。
これは、セキュリティクリアランスが機能していない証拠ではないでしょうか。
アメリカで彼を追放した基準と、日本で彼を迎え入れた基準が、まったく違う。 前回の記事でお伝えしたラップトップ事件と同じで、「中身」ではなく「どこを通ってきたか」を見なければ、この違和感は説明できません。
※参照:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49558560Y9A900C1EAF000/
※参照:ABC News
※参照:The Wall Street Journal
https://www.wsj.com/business/epstein-island-emails-reignite-feud-between-elon-musk-and-reid-hoffman-a48703ff
※参照:Fortune
https://fortune.com/2025/11/18/reid-hoffman-epstein-files/
https://abcnews.com/US/linkedin-founder-reid-hoffmans-ties-jeffrey-epstein-face/story?id=127651719
ゲレフ・マインドフルネスシティ──ブータンの国家事業に食い込む

さて、ブータンです。
GMCとは何か
ゲレフ・マインドフルネスシティ(GMC)とは、ブータン国王ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク陛下が2023年12月に発表した、南部に建設中の特別行政区構想です。
- 場所はインドとの国境に近いエリア
- 面積はシンガポールの約2〜3倍という広大な敷地
- ブータンが掲げるGNH(国民総幸福量)の理念を都市設計の中核に据え、経済成長と精神的幸福、環境保全、文化保護の調和を図る実験的プロジェクト
- 狙いは若者の国外流出を抑えること、高付加価値の雇用を創出すること
- 国際空港の建設が本格化し、デジタル資産関連企業のライセンス取得や進出の合意が進んでいる
国家の命運を賭けた、巨大プロジェクトです。
伊藤穰一氏の役職
そして、このプロジェクトの中で伊藤氏が就いている役職を見てください。
① GMC(ゲレフ・マインドフルネスシティ)のボードメンバー
② GIDC(ゲレフ・インベストメント・アンド・デベロップメント・コーポレーション)のトップ
GIDCとは何か。 GMC構想の中で、投資と開発を担う組織です。 つまり──
このプロジェクトの「カネ」と「開発」を握る企業のトップに、日本人の伊藤穰一氏が座っている。
2024年10月に発表された人事です。
なぜ日本人が、ブータンの国家事業の心臓部にいるのか。
時系列で見ると、あまりに速い
この点について、伊藤氏自身がX(旧Twitter)で触れています。
「2023年、ブータン国王陛下と会って以来、ブータンとGMCのビジョンに魅了されてきた。ブータンの価値観に根ざした法制度とデジタルシステムの設計に関わる機会は刺激的だ。ボードメンバーに加わってコミットメントを深める」
時系列を並べてみます。
- 2021年12月:千葉工業大学 変革センター所長に就任
- 2023年7月:千葉工業大学 学長に就任
- 2023年夏:東京でブータン国王と初めて面会。GMC構想を聞く
- 2024年:千葉工業大学の理事長・学長としてブータンを訪問し、包括連携協定を締結
- 2024年10月:GMCボードメンバー就任、GIDCのトップに指名される
- 2025年夏:ブータンの首都ティンプーにNPOの新オフィスをオープン
国王と会ってから、資金と開発を握るポストに就くまで、わずか1年余りです。
行動が、異様に速い。
私はこう見ています。 2023年夏に構想を聞いた時点で、「これは日本が食い込むべきだ、自分がやるしかない」と色めき立った。 そして「私が日本の窓口となって、日本から資金を引っ張ってくる、技術を引っ張ってくる」というセールストークで、自らボードメンバーの座を勝ち取った。
彼はセールストークが非常に上手な人物です。 これは、取引を成立させるための手練手管だったとも取れる構図になっています。
「ダブトン・ハウス」というハブ
そして、日本とブータンをつなぐ実務の拠点として、伊藤氏はNPO法人を立ち上げています。
「ZABUTON HOUSE(ダブトン・ハウス)」です。
- GMCの法域に登録された非営利法人であり、伊藤氏が会長を務めている
- 所在地はGIDCと同じ
- 単なる交流目的のNPOではなく、実務的な現地のハブとして機能している
何をつないでいるのか。
ブータン王室と政府/GIDCとGMC/ブータン政府のガブテック・エージェンシー/MITの関連ネットワーク/そして日本の企業と機関──これらを結節するハブです。
扱う分野は、AI・デジタルインフラ関連、衛星開発、宇宙技術協力、交換留学、共同研究。 現地には日本の茶室も設けられており、そこで要人の接待が行われていると見られます。
協定の積み上がり方も、順を追って見ると意図がはっきりします。
- 2023年:千葉工業大学と、ブータンのDHI、およびガブテック・エージェンシー(政府のデジタル担当部門)との間で、最初のMOU(覚書)を締結。教育・技術・デジタルインフラでの協力が始まる
- 2024年:衛星研究と人材育成に特化した覚書をガブテック・エージェンシーと締結
- 同年:GMCとも覚書を締結し、千葉工業大学の物理的な拠点の設立を決定
- 2025年夏:首都ティンプーにダブトン・ハウスが新オフィスをオープンし、GMCの企業登録制度のもとで非営利法人として正式に登録
大学間の学術交流という入り口から始まって、政府部門との協定、衛星や人材育成という具体分野、現地拠点の設立、そして法人登録へ。段階を追って、確実に「現地に根を張る」形に組み上がっています。
一つひとつは、いずれも真っ当な国際協力に見えます。 ですが、その全部が同じ一人の人物を結節点にして積み上がっているという点が、この構図の特徴です。
デジタル庁の歴代トップも、現地に入っている
そして、動いているのは伊藤氏だけではありません。
- 初代デジタル大臣の平井卓也氏が、ブータンを訪問し、GMCの拠点を視察している
- 4代目のデジタル大臣を務めた平将明氏も、ブータンを訪れている
- 両氏とも、ブータンの首相や国王への表敬を行っている
日本のデジタル政策のトップを歴任した人物が、そろって現地に入っているのです。
ここで思い出していただきたいのが、先ほどの経緯です。 平井卓也氏は、初代デジタル監に伊藤穰一氏を起用しようとした人物です。報道が騒いで立ち消えになりましたが、その後も伊藤氏はデジタル庁のアドバイザーを務め続けました。
そして今、その平井氏がブータンで、伊藤氏が関わる事業の拠点を視察している。
なぜ、元デジタル大臣が一緒に行く必要があるのでしょうか。
日本の公的なデジタル政策の人脈が、そのまま一つの民間ビジネスの推進体制として機能しているように見える。ここが、私の引っかかっている点です。
さらに、千葉工業大学ではブータン人学生向けに、全額奨学金付きの修士課程が開設されています。
- 2年間のプログラム期間中の授業料・宿泊費・食費を全額負担
- 留学期間中は毎月奨学金を支給
- 航空券代も支給、ビザ手続きも大学が代行
- 募集は3名で、すでに締め切られている
手厚い制度です。 それ自体は、悪いことではありません。 ただ、これが何のために設計されているのかは、全体の構図の中で見る必要があります。
千葉工業大学という装置──名誉博士は誰に贈られたか

ここが、今日いちばんお伝えしたい部分です。
2025年5月27日、京都・西芳寺
千葉工業大学が、2025年5月27日、京都の西芳寺で名誉博士称号の贈呈式を行いました。
贈られた相手は、3名です。
① ブータン王国 ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王陛下
② ローレン・パウエル・ジョブズ氏(スティーブ・ジョブズ氏の妻)
③ リード・ギャレット・ホフマン氏(リンクトイン創業者)
式には瀬戸熊修理事長、伊藤穰一学長をはじめ、大学役員や関係者など20人が列席しています。
これは、大学自身が公式に発表している事実です。
この並びを、どう見るか
大学側が示した国王への授与理由は、こうです。
GNH(国民総幸福量)に基づく国家運営、平和的な民主化の主導、若者支援、教育改革、そして2023年に発表されたGMC構想。倫理的でグローバルな視野を重視するリーダーシップが、大学の教育理念と共鳴するため──
分かるようで、分かりません。
なぜ千葉工業大学が、ブータン国王に名誉博士号を贈るのか。
私の見立てを申し上げます。 ブータンのプロジェクトに関わりたいから、千葉工業大学の学長というポストを使って、誠意を示すために国王に名誉博士を授与した。 そう言われてもおかしくない構図になっている、ということです。
そして、リード・ホフマン氏です。
先ほど触れた通り、ホフマン氏は「伊藤氏と一緒にエプスタインの島へ行った」と自ら認めている人物です。 そして現在、そのエプスタインとの関係が調査の対象になっていると報じられています。
その人物が、千葉工業大学の名誉博士になっている。
大学の教育研究に、どれほどの学術的貢献があったのでしょうか。
※ここは慎重に申し上げます。 配信では「変革センターに多額の献金があり、その見返りではないか」と申し上げましたが、この金額について私は裏を取れていません。あくまで私の推測として受け取ってください。
ただ、金額の話を外しても、残るものがあります。
選ばれた3名が、いずれも伊藤穰一氏の個人的な人脈の中にいる、という事実です。
大学の名誉博士という制度が、学術的な功績ではなく、学長個人の人間関係とビジネス上の必要によって使われているのではないか。 問われるべきは、そこです。
彬子女王殿下と千葉工業大学
そして、殿下です。
時系列を正確に並べます。
- 2020年4月:彬子女王殿下が千葉工業大学の特別教授、および地球学研究センター主席研究員(非常勤)に就任
- 2021年12月:伊藤氏が変革センター所長に就任
- 2023年4月:ブータン国王のご親族が来日し、京都で殿下と面会
- 2023年夏:伊藤氏が東京でブータン国王と面会
- 2024年3月頃:殿下が初めてブータンをご訪問
- 2024年10月29日:殿下に千葉工業大学名誉博士が贈呈される
- 2026年8月:殿下の2回目のブータンご訪問。伊藤氏が随行
ここは、はっきりさせておかなければなりません。
殿下が千葉工業大学の特別教授に就任されたのは2020年4月で、伊藤氏が着任する前です。 殿下は伊藤氏の縁で大学に入られたのではありません。
殿下はオックスフォード大学で博士号(D.Phil.)を取得された、日本美術史の本格的な研究者です。 トルコのアナトリア地域での考古学的な共同研究など、実質的な研究活動を長く続けてこられました。 名誉博士の授与理由にも、その共同研究と学生への教授が明記されています。
つまり、殿下の側には何の落ち度もありません。問題にしているのは、その学術的な信用が、誰の、どんな目的のために使われているのか、という一点です。
皇族が海外を表敬訪問される。その隣に、ビジネスの当事者が随行する。 現地では、その並びが「日本の国家的な後ろ盾」として機能します。
これが、私の言う「皇族が利用されている」という意味です。
※参照:千葉工業大学 公式発表
https://chibatech.jp/news/imolkd00000034bb.html
麻生家との血縁と、私が踏み込まない一線

もう一点、血縁関係についてです。
これは公開された事実として確認できます。
- 彬子女王殿下のお父君は寬仁親王殿下、お母君は寬仁親王妃信子殿下
- 信子妃殿下は麻生家のご出身です。お父君は麻生太賀吉氏
- 麻生太郎氏は、信子妃殿下の兄にあたります
- したがって、麻生太郎氏は彬子女王殿下の伯父にあたります
- なお、信子妃殿下の母君は麻生和子氏で、そのお父君は元首相の吉田茂です
血縁関係は、以上の通りです。
そして、ここから先について、はっきり申し上げます。
「麻生太郎氏がこの件の背後にいる」という話については、私はまだリサーチができていません。
配信の中で、周辺人物の資金の出所として麻生系の企業の名前が出てくるという指摘に触れましたが、その関係について私は裏を取れていません。
ですから、ここまでの言及にとどめます。
血縁関係が存在することと、その人物が事業に関与していることは、まったく別の話です。 前者は事実、後者は現時点で何の証拠もない。この二つを混ぜてはいけません。
同様に、GMCやダブトン・ハウスの周辺には他にも複数の人物がいます。 配信では、その人たちの出身国や経歴に触れました。 ですが、それも私の側で確認できていないことばかりです。
そして、もう一つ申し上げておきます。
人物の出自や国籍で「怪しい」と判断するのは、分析ではありません。
見るべきは、どこの出身かではなく、「誰がどのポストに就いたか」「カネがどこからどこへ流れたか」「その決定を誰が下したか」です。 そこには公開された記録があり、検証できます。
出自を根拠にした疑いは、検証できません。だから、そこには乗りません。
まとめ──問題は人物ではなく、構造である

今日お話ししたことを、三つに分けて整理します。
【確定した事実】
- 伊藤穰一氏は、エプスタインからの資金提供を認めて2019年9月にMITメディアラボ所長を辞任した。メディアラボへの寄付は約80万ドル、個人ファンドへは約120万ドル
- ニューヨーカーは、不適格な人物と認識したうえで交友関係を隠していたと報じた
- リード・ホフマン氏は「伊藤氏と一緒にエプスタインの島へ行った」と認めている
- 伊藤氏は2023年7月から千葉工業大学の学長であり、日本政府のアドバイザーも務めていた
- 伊藤氏はGMCのボードメンバーであり、GIDCのトップである
- 千葉工業大学は2025年5月27日、ワンチュク国王・ローレン・パウエル・ジョブズ氏・リード・ホフマン氏の3名に名誉博士を贈呈した
- 彬子女王殿下は2020年4月から千葉工業大学の特別教授で、2024年10月に名誉博士を受贈された
- 麻生太郎氏は殿下の伯父にあたる
【私の見立て】
- 伊藤氏のエプスタイン疑惑は、晴れていない(ただし訴追はされていません)
- 名誉博士の授与は、学術的功績ではなく、伊藤氏の人脈とビジネス上の必要によって動いている疑いがある
- 今回のご訪問において、伊藤氏は事実上のツアーコンダクターとして動いている
- 皇族の権威が、民間のビジネスの信用補完に使われている
【裏の取れていない話】
- 麻生太郎氏の関与
- 周辺人物の背後関係
- リード・ホフマン氏の献金額
これらは、現時点では何も言えません。
表層ではなく、構造を見てください
この件の本質は、伊藤穰一という個人の善悪ではありません。
問うべきは、こういうことです。
なぜ、アメリカのアカデミズムが追放した人物を、日本の大学が学長として迎え、日本政府がアドバイザーとして遇したのか。
アメリカでは、資金の出所が不適格だというだけで、所長の職も、財団の理事も、上場企業の取締役も、すべて失いました。
日本では、同じ人物が、学長になり、政府の有識者会議に座り、そして皇族のご訪問に随行しています。
基準が、違うのです。
そして、その基準の緩さが、何を可能にしているか。 皇族という、日本が持つ最も重い信用が、一民間人のビジネスの前面に置かれる、という事態です。
「信用」という、いちばん高価な資産
もう少しだけ、踏み込ませてください。
この構図で動いているのは、実はカネではありません。「信用」です。
考えてみてください。 ブータンという国から見たとき、この一連の並びはどう映るか。
- 日本の大学が、自国の国王に名誉博士号を贈った
- その大学の学長が、自国の国家事業の投資部門のトップに就いている
- 日本の元デジタル大臣が二人、現地を視察に来ている
- そして、日本の皇族が国王ご夫妻を表敬訪問され、その学長が隣に立っている
これは「日本という国が、このプロジェクトを後押ししている」というメッセージそのものです。
実際に日本政府が国として何かを保証したわけではありません。 にもかかわらず、そう見える。そう見えることに、計り知れない価値があるのです。
投資を呼び込むうえで、これほど強い後ろ盾はありません。
そして、この「信用」は、誰のものだったでしょうか。
大学の名誉博士という制度の信用は、その大学が百年かけて積み上げたものです。 皇族の表敬訪問が持つ重みは、日本という国が歴史の中で積み上げたものです。 どちらも、一個人が一代で作れるものではありません。
それが、一年余りで組み上がった事業の前面に置かれている。
カネであれば、返せます。 ですが、信用は、一度使われてしまえば取り返せません。 万一この事業をめぐって何かが起きたとき、傷つくのは伊藤氏個人ではなく、大学であり、皇室であり、日本という国の名前です。
「誰が得をするのか」と問うたとき、答えははっきりしています。
この構図で最も大きな利益を得るのは、その信用を借りている側です。そして、最も大きなリスクを負うのは、信用を貸している側です。
なぜ、これが問題として扱われないのか
もう一つ、私が不思議に思っていることがあります。
これだけの経緯がある人物が、日本の大学の学長を務め、政府のアドバイザーを務め、そして皇族のご訪問に随行している。
それでも、大手メディアはこれを問題として扱いません。
千葉工業大学自身も、「問題はない」という立場です。
アメリカでは、資金の出所が不適格だというだけで、すべての公職を失った。日本では、同じ事実があっても、何も起きない。
この差は、どこから来るのでしょうか。
私は、日本側に「検証する仕組みがない」ことが大きいと見ています。
セキュリティクリアランス制度が実質的に機能していない。 政府の有識者会議に誰を入れるかを、誰がどう審査しているのかが見えない。 大学の名誉博士を誰に贈るかも、実質的には内部の判断だけで決まる。
チェックする機構がなければ、問題は「起きない」のではなく、「見えない」だけです。
だからこそ、こうして記録に残る事実を並べて、順番に見ていく作業が必要なのだと思っています。
繰り返しますが、殿下に落ち度はありません。 殿下は、ご自身の研究と国際親善を誠実に果たされているだけです。
問われるべきは、それを差し出す側と、受け取る側の設計です。
そして私たち日本は、この構造をどう見るのか。
真の独立とは、真の主権とは、何か。 自分たちの国の信用を、誰が、何のために使っているのかを、自分たちで確かめられることではないでしょうか。
この件は、まだ入り口です。私も引き続き調べます。
ここまでお読みくださりありがとうございます。また次の記事でお目にかかりましょう。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 伊藤穰一氏は、犯罪に関与していたのですか?
いいえ。伊藤氏は性犯罪その他の罪で訴追されていません。 記録として確認できるのは、エプスタインからメディアラボへ約80万ドル、伊藤氏個人のファンドへ約120万ドルの資金が渡っていたこと、その交友関係を意図的に隠していたとニューヨーカーが報じたこと、そしてリード・ホフマン氏が「伊藤氏と一緒に島へ行った」と認めていることです。資金と交友の問題と、犯罪行為への関与は別の問題であるという点は、はっきり分けてお考えください。本記事は前者を問題にしています。
Q2. 彬子女王殿下に問題があるということですか?
まったく違います。 殿下はオックスフォード大学で博士号を取得された日本美術史の研究者であり、千葉工業大学の特別教授にご就任されたのは2020年4月、伊藤氏が同大学に着任する前です。トルコでの共同研究など実質的な学術活動を続けてこられました。本記事が問題にしているのは、殿下の学術的信用と皇族としての権威が、誰の、どんな目的のために使われているのかという一点です。 殿下ご自身に落ち度は一切ありません。
Q3. 麻生太郎氏は、この件に関与しているのですか?
現時点で、それを示す証拠は何もありません。 確認できるのは血縁関係だけです。彬子女王殿下のお母君である信子妃殿下は麻生家のご出身で、麻生太郎氏は信子妃殿下の兄、つまり殿下の伯父にあたります。 ですが、親族であることと、事業に関与していることは、まったく別の話です。 私はこの点について裏を取れていないため、血縁関係の事実確認までにとどめています。
Q4. ゲレフ・マインドフルネスシティ(GMC)そのものが問題なのですか?
GMC構想自体は、ブータンが国家として進めている正規のプロジェクトです。 若者の国外流出を抑え、高付加価値の雇用を生むという狙いも、それ自体は理解できるものです。本記事が問題にしているのは、そのプロジェクトの資金と開発を握るポストに、エプスタイン問題で一度アカデミズムを追われた人物が就いていること、そしてそこへ日本の大学の名誉博士号と、皇族のご訪問が動員されている構図です。ブータンやGMCを批判しているのではありません。
金子吉友 / あつまれニュースの森 / 2026年8月13日配信「エプ疑惑 伊藤穰一が同伴【三笠宮彬子女王ブータン訪問】その背景に麻生太郎の影」より

